昭和55年

年次経済報告

先進国日本の試練と課題

昭和55年8月15日

経済企画庁


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第II部 経済発展への新しい課題

第3章 国際経済摩擦への対応

前章でみたように,日本経済の今後の発展にとって石油制約に対応していくことが最も重要であるが,それだけでは国際環境変化に十分対応できない。というのは,石油制約によって消費国全体の成長が低い水準にとどまっていること等により各国の政策は国内重視に傾きがちであることから,貿易面での摩擦も強まっているからである。単に貿易摩擦だけでなく,国際緊張の強まりや各国の国際的役割分担等の諸問題も通商その他の経済問題に影響を及ぼすようになってきている。加工貿易型経済をもち,それだけに石油制約に対して良好なパフォーマンスを達成しなければならないわが国にとって,こうした国際経済摩擦を防止・解消していくことは重要である。それだけでなく先進国としての経済力や生活水準を達成したわが国に対して,平和で自由な国際経済社会の秩序維持に努め,世界経済の発展に貢献していく役割を求める“世界の声”も強まっている。わが国の新しい発展は,こうした課題にこたえてこそ,可能となるのである。


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