昭和52年

年次経済報告

安定成長への適応を進める日本経済

昭和52年8月9日

経済企画庁


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第II部 均衡回復への道

第1章 盛り上がりを欠く民間設備投資

第4節 現状における民間設備投資の評価

民間設備投資は49,50年度と2年間にわたり減少を続けたあと51年度には増加したがその伸びは緩やかなものであった。この結果,GNPに占める民間設備投資の比率は著しく低下し,昭和40~45年度平均の18.1%から50年度には13.8%,51年度には13.2%となった。

最近の動向をみると,次のような点を指摘することができる。まず第1に鉄鋼,化学では昭和48年当時に着工され,あるいは計画が立案されその後着工されたものが最近まで工事が進捗していた。第2に,NC化(一般機械),自動化(印刷),工程の短縮(繊維,電気機械など)など,生産能力の増加を伴わない始理化,省力化,システム化投資の割合が上昇してきている。第3に新SPキルンの導入(セメント),連続鋳造技術の採用(鉄鋼),サーモメカニカル・パルプ製法への転換(紙・パルプ)など省資源・省エネルギー投資の割合も上昇してきている。(最近における技術革新の現状については 付表第1表 参照。)第4に,需要の伸びに応じて民生用電気機器,自動車,食料品,電力,ガス,サービスなどで能力増強投資を中心に設備投資が増加している。

52年度の設備投資計画を日本開発銀行調査によりみると以上のような最近の動向を反映して,(1)鉄鋼が継続プロジェクトの竣工から大幅に減少するほか,化学も前年度に引続き減少すると見込まれている。(2)印刷,一般機械などは増加に転じ合理化投資割合も上昇すると見込まれている。繊維は減少率が小幅化するなかで合理化投資割合が上昇すると見込まれている。(3)セメントは増加に転じ,紙・パルプも減少率が小さくなるなかで省資源・省エネルギー投資が増加するとみられる。また(4)民生用電機器,自動車,食料品,電力,ガス,サービスなどは前年度に引続き能力増強投資を中心に増加が見込まれているほか,卸・小売も増加に転ずると見込まれている。以上のように,能力が過剰な分野ではストック調整が進められている一方,合理化等を進める余地のある分野及び能力増強の必要な分野では投資が行われている。


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