昭和52年
年次経済報告
安定成長への適応を進める日本経済
昭和52年8月9日
経済企画庁
第I部 昭和51年度の日本経済―推移と特色―
51年度の物価は,前半において卸売物価が急騰し,また年度末近くにいたり季節商品の値上がりから消費者物価上昇率の高まりがみられたものの,基調的には引続き安定化の方向をたどった。
これには,コスト面では原材料等投入価格が年度後半にかけて次第に安定化したことに加え,賃金や金融費用などの要素費用の伸びの低下がみられたことが寄与している。しかし,コストの伸びの鈍化にもかかわらず利益率が未だ低水準にあることから,企業は価格引上げによって利益率の回復を図ろうとする意欲が強い。
これに対して,需給面では景気中だるみによる製品在庫の累増が需給バランスを軟調にしたこと及び所得の伸びの緩慢化に対応して消費者の物価意識が一層高まったことなどが企業の価格引上げをはばむ力となっている。