昭和47年

年次経済報告

新しい福祉社会の建設

昭和47年8月1日

経済企画庁


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1. 国際収支

(1) 46年度の国際収支の動向

a 概況

昭和46年度の国際収支は国際通貨情勢の激変および国内不況によつて大きな変動を示し,総合収支で8,043百万ドルの黒字となり,前年度の1,999百万ドルの黒字を6,044百万ドルも上回る大幅黒字となつた。

主な内訳は,貿易収支が8,455百万ドルと前年度を4,016百万ドル上回る大幅黒字を計上した一方,貿易外収支は1,757百万ドルの赤字にとどまり,移転収支は前年度よりは赤字幅を拡大し320百万ドルの赤字となつたが,貿易外収支と移転収支をあわせれば前年度とほぼ同水準の赤字にとどまつたため,経常収支としては6,378百万ドルの黒字(前年度比4,029百万ドル黒字増)となつた。他方,長期資本収支は,外国資本が外人証券投資を主因に流入超幅を拡大したものの,本邦資本による証券投資,直接投資の増加,輸出延払信用供与の高水準維持などによつて1,629百万ドルの流出超となり,前年度に比べて282百万ドルの赤字増となつた。また,短期資本収支は,通貨不安を背景に5~8月に輸出前受金等を中心に大幅流入があつたため2,541百万ドルの流入超(前年度比1,871百万ドルの黒字幅)となり,資本収支全体では912百万ドルの黒字となつた。

このような国際収支の動きのなかで,わが国の46年度の外貨準備は11,205百万ドルの増加となり,46年度末には16,663百万ドルに達した。これは基調的な貿易収支の黒字のほか,年度前半の通貨不安のもとでの短期資本の流入と金融勘定の中での外貨準備へのふりかわりが大きな要因と考えられるが,最近では増加幅減少の傾向がみられる(本報告 第2-2図 )。

b 通貨調整下の国際収支

46年8月の円の変動相場制移行および12月の多国間通貨調整による1ドル=308円レートの決定が,わが国の国際収支に与えた影響を,各段階によつて4つの局面にわけてみたのが 第1-1表 である。基調的黒字を続けてきた貿易収支は,46年度にはいつても増加傾向を示し,4~8月は月平均で648百万ドル,9~12月には737百万ドル,1~2月には773百万ドルと黒字幅を拡大している。これは輸出入に対する円切上げによる効果が46年度中はまだ顕著にあらわれてこず,47年3月以降になつてようやくその影響のきざしがでてきているにすぎないことや,国内景気の低迷による輸出ドライブ,輸入停滞などがその主因であつた。

第1-1表 国際収支の概要

一方,資本収支面の円切上げの影響は46年度中にかなり明瞭にあらわれた。長期資本収支の動きをみると,8月以前においては国際通貨不安のもとでの円切上げ懸念が強まつたため為替差益を見込んだ外人証券投資が大幅に増加し,月平均で46年1~3月が134百万ドル,4~6月が128万ドルの大幅流入超となつたため,収支尻でみると1~3月65百万ドル,4~8月8百万ドルの赤字と赤字幅を大幅に縮小した。変動相場制に移行した9月以降においては,外人証券投資の流出,本邦資本の直接投資および証券投資の増加などによつて長期資本収支の赤字幅は増加の傾向にあり,月平均でみると9~12月212百万ドル,1~2月202百万ドル,3~5月295百万ドルと大幅赤字を記録している。最近では国内株式市場の活況による外人証券投資の流入がふたたび増加しているが,本邦資本の流出増がつづいているため,いぜん大幅な流出超をつづけている(本報告 第2-3図 )。

短期資本収支等(誤差脱漏を含む)の46年度の動きをみると,従来厳重な為替管理のもとであまり活発な変動をみせなかつたが,5月における西ドイツの変動相場制移行を契機に国際通貨不安によつて4~8月の月平均で688百万ドルの大幅流入超になつた。円の変動相場制移行以降は8月までに流入した輸出前受金の引き落とし等によつて9~12月,月平均で212百万ドルの流出超となり,輸出前受金の規制で緩和された1~2月には月平均で444百万ドルの流入超となつたが,最近では輸出前受けの規制が再び強化されて流入は減少し,引き落しが進んだためふたたび流出超となつた。このように短期資本収支面では国際通貨危機の下で輸出前受金の規制および規制緩和にともなつて変動している( 第1-2図 )。

第1-2図 短期資本収支等の推移(月平均)

過去数年において赤字幅拡大傾向にあつた貿易外収支は,運輸収支に大幅改善がみられたこともあつて赤字幅縮小の方向にむかつた。また,円切上げの効果をみると,過去の西ドイツにおけるマルク切上げに際して観光収支や民間移転収支などが大幅の悪化をみせたが,わが国の場合は切上げの影響はいままでのところほとんどみられず,運輸収支への影響もむしろ輸出入動向を反映して赤字幅縮小の方向ヘ転じた。とくに運輸収支においては貨物運賃の受取りが輸出増加,邦船積取比率の向上などを主因に増加し,また支払が輸入停滞,タンカー運賃の軟化を背景として減少したため,前年度比326百万ドルの改善となつた。

移転収支は,民間部門での円切上げの影響はみられなかつたが,石油の利権料,沖縄援助等の支払が増加したため,前年度比92百万ドルと赤字幅を拡大した。

こうした国際収支の動向を背景に,わが国の外貨準備高は変動相場制移行以前の3月末で55億ドル,7月末で79億ドルにふえ,さらに8月末には125億ドルへと急増した。その後の通貨不安のもとで12月末には,152億ドルに達し,円切上げ後の47年3月末には167億ドルとなつたが,それ以降は4月,5月と減少に転じている。

(2) 増勢をつづけた輸出

46年度の輸出は7月まで急増した後,8月以降は円の変動相場制移行にともないドルベースでは同様なテンポの増加をつづける一方,円ベースでは減少ないし停滞傾向を示した。

4半期別に輸出通関額(ドル建て)をみると,4~6月は5,838百万ドル(前年同期比25.4%増),7~9月6,330百万ドル(同24.0%増),と高い伸びをつづけたが,10~12月は6,802百万ドル(同23.6%増),さらに円切上げ後の1~3月には6,164百万ドル(同22.1%増)と伸び率は若干鈍化を示した。このような動きを背景として,46年年度間では25,134百万ドルとなり前年度比24.1%増と大幅増加となつた。

変動相場制移行後の円相場の上昇および多国間通貨調整における円切上げの輸出に与える影響をみると,ドルベースでは名目的な価格上昇があるため輸出量の実態を過大にあらわす一方,円ベースでは国内不況のもとにおいて価格引上げが困難なため,輸出価格を据え置いているものもあるので,円手取りべースでみると輸出実態を過小に評価することになる。

こうしたことから,全体としての輸出量の実態をとらえることはむずかしいが,ドル建ての輸出単価を通関統計の主要品目について推計してみると 第1-3表 のようになる。またこれによつて46年度の輸出量の動きを推計してみると輸出量は46年8月まで増加した後,年末にかけて低迷し,その後回復したものの伸び悩み傾向となつていることがわかる。

第1-3表 輸出単価の推移(ドル建て通関ベース)

また,46年7月時点を100とした場合のドルベースでの輸出通関,輸出信用状の動きおよび円ベースによる輸出通関,14商社輸出成約の動きなどをみると 第1-4図 のようになつている。ドルベースでの輸出通関や輸出信用状などの動きをみると,46年7月までは急増を続け,7~9月で減少ないし横ばいとなり,その後は増加傾向を続けているが最近では増勢鈍化となつている。また円ベースでの輸出通関,14商社成約の動きをみると,7月以降は減少ないし停滞傾向を示している。

第1-4図 輸出関係指標の推移

46年度の輸出を品目別にみると( 第1-5表 ),重化学工業品が18,950百万ドルで前年度に比べて28.4%増となつている。輸出全体に対する増加寄与率でみても,輸出の絶対額が多いだけに,85.9%と輸出増加のほとんどを占め,重化学工業比率は45年度の72.9%から46年度には75.4%へと高まつた。なかでも機械機器,とくに自動車の増加率が76.6%と高く,増加寄与率でみても23.7%,と輸出増加の大きな要因となつた。そのほか,ラジオ,テレビ,船舶等が円切上げにもかかわらず着実な伸びを示し,この結果機械機器は全体で12,774百万ドルとなり前年度に比べて34.2%増となつた。その他の重化学工業品では,金属・同製品は鉄鋼を中心に4,637百万ドル前年度比17.5%増,化学製品も1,539百万ドル19.4%増となつた。これらは円切上げの影響もあつて年度後半の伸びが鈍化したことによる。他方,軽工業品のうち繊維・同製品は化合繊が前年度に引続き高い伸びを示したが,全体としては14.5%の増加にとどまつた。

第1-5表 商品別地域別輸出額

市場別にみると,アメリカ向けが輸入課徴金,港湾スト,鉄鋼および繊維の輸出自主規制等や,円切上げにもかかわらず平均の伸びを上回る25.5%増となつたが,その他先進国向け,その他発展途上地域向けがそれぞれ34.1%増,37.3%増と,前年度水準を大幅に上回り,市場多角化の傾向がみられた。また,円切上げ後の47年1~3月には西欧向けが大幅な増加となり,輸出信用状の動きなどからみても市場多角化がさらに強まつている。

第1-6図 地域別輸出構成の推移

過去数年間の地域別輸出構成をみても( 第1-6図 ),最近ではアメリカ,東南アジアの二大市場向けの構成比が低下してきており,逆に,西欧向け,その他発展途上地域向け,共産圏向けの比率上昇が顕著であり,市場多角化の動きをみることができる。

(3) 円切上げと輸出商品の動向

46年度の商品別輸出動向を変動相場制移行後のドル建て輸出価格と輸出数量の動きによつて検討したものが本報告 第2-5図 および 第1-8図 である。これによると,輸出競争力の強い輸送用機械などは円切上げに見合うドルベース価格の上昇のなかで輸出数量も伸びている。

個別商品についてみると,テレビ,時計,ジグザグミシン,乗用車等のように円切上げにともないドル建て価格が大幅に上昇しているにもかかわらず国際競争力が強いこと等から輸出は好調な推移を示していた( 第1-7表 )。しかし,中小企業で生産される一部品目においては,輸入国との取引上の関係等から円切上げ上昇分を完全に上積みするような契約が困難であつたものもみられた。

第1-7表 輸出単価と輸出数量の関係

第1-8図 機械類の輸出単価と輸出数量の動き

(4) 輸入の動向

a 鈍化傾向の輸入

46年度の輸入は20,256百万ドル,前年度比4.7%増と低い伸びにとどまつた。44年度20.4%増,45年度20.9%増のあと一転して低い伸びとなつたのは国内景気の停滞によるところが大きい( 第1-9表 )。その内容をみると,素原材料が金属原料を中心に45年度25.5%増のあと,46年度は7.7%増となり,製品原材料も3.6%の微増にとどまつた。機械機器では航空機輸入の増加を中心に輸送用機器は大幅に増加したものの設備投資の鎮静化により一般機械,電気機械の輸入が停滞し,機械機器全体では45年度30.2%増に対して46年度は4.5%増と伸び率は大幅に鈍化した。他方,消費財は耐久消費財を中心に13.2%増と高い伸びを示して輸入の下支え要因となつたことが注目される。

第1-9表 類別輸入の動向

このように今回の不況は,鉱工業生産の停滞がわが国の輸入に大きなウエイトを占めている工業用原料の輸入を鈍化させ,設備投資の停滞が機械機器の輸入の伸びを低下させた。これを過去の不況局面と比較してみると,過去の不況局面では減少していた加工製品輸入が雑品を中心に今回は増加していることが特徴的である。その理由としては輸入の構造的変化が徐々に進んでいることがあげられる。また,食料品は過去の不況局面および今回を通じて比較的減少傾向がみられなかつた。輸入総額でみても,かつては不況局面においては大幅な減少を示していたが,40年不況では若干の増加に転じ,今回はさらにわずかながらもその増加額が拡大を示している。輸入規模の拡大とともに加工製品の輸入比率上昇など輸入構造の高度化が徐々に進展していることが反映しているものと思われる( 第1-10図 )。

第1-10図 景気下降局面における輸入の推移(輸入数量指数,季節調査値)

46年度の輸入を品目別にみると,食料品が3,010百万ドル,前年度比11.5%増と高い伸びを示しており,これは肉類などを中心とした輸入割当の増加,魚介類の国内生産停滞などが主因である。素原材料については繊維原料は1,033百万ドル,前年度比6.7%増と全体の伸びを上回つたが,金属原料は国内の鉄鋼生産の減少により,2,470百万ドル,同9.0%減と前年度水準を下回つた。鉱物性燃料は4,980百万ドル前年度比19.7%増と大幅増加を示したが,これは原油に対するOPEC(石油輸出国機構)の値上げ攻勢による価格引上げの影響によるものである。

市場別にみると,アメリカからの輸入が4,988百万ドルで前年度比11.7%の大幅減少となつた。これは金属原料の輸入減少等の要因によるところが大きい。カナダ,オーストラリアから輸入はそれぞれ前年度比9.2%増,18.2%増と好調な伸びを示している。また,西欧からの輸入は,ほぼ前年度水準で推移した。このような背景から先進国地域からの輸入は10,469百万ドル,前年度比1.8%減となつた。発展途上国からの輸入は8,788百万ドル,12.9%増と順調な伸びになつており,これはイラン(37%増),インドネシア(30%増)などからの原油輸入の増加が主因である。共産圏からの輸入は中国大陸(30%増)からを中心に12%増と比較的高い伸びをみせた。

b 輸入における円切上げ劾果

46年の輸入の特徴は,国内景気の停滞による要因のほかに,国際通貨不安と円切上げが輸入動向に大きな影響を与えたことである。円の変動相場制移行前後の7~9月に輸入は大きく落ち込んだが,これには国際通貨不安と円切上げ見込みからのラグズで輸入を差控えた影響が現われている。それ以降10~12月,1~3月と輸入は増加傾向を示したが,これはラグズの解消も大きな要因になつており,さらに消費財等の輸入増加には円の変動相場制移行と円切上げによつて輸入価格が低下したことが作用しているものと思われる。

第1-11図 輸入物価指数の推移

変動相場制移行後の輸入物価の推移をみると円建ての輸入物価は8月以降全体として大きく低下しているが,中でも食料品を除いた消費財の輸入価格の低下が著しい( 第1-11図 )。またこれによると,食料品価格は最近上昇しているが食料品輸入では価格の変動のほかに国内の需給事情や輸入枠の増減によつて輸入額がきまることもあるという特殊事情が働らくため,輸入価格の変動は輸入量に大きな影響は与えていないと思われる。

第1-12図 主要消費財(雑品目)の輸入の推移

さきにみたように,46年度の輸入動向の特徴として,工業用原料,資本財は国内の景気停滞の影響のほかに,円切上げによる価格効果があまり働らかないこともあつて低い伸びにとどまつた半面,消費財の輸入の増加が輸入全体の下支えをしたことがあげられる。そこで,主要消費財の46年8月以降の輸入の推移をみてみると( 第1-12図 ),繊維二次製品(外衣,婦人くつ下など),がん具,書籍,ゲーム用品,運動用具(ゴルフ用品など)等の増加が大きく,それらが消費財輸入の動きをかなり代表していることと考えると,消費財の輸入は8月以降2月まで数量べースで5割以上の急増となつており,この傾向は円切上げの価格効果とあいまつて今後も続くものとみられる。

(5) 46年度の対外経済政策の展開

a 国際通貨情勢の急変

わが国の46年度における対外経済政策の動向は,ここ数年間つづいている国際収支の黒字基調を背景に,またアメリカを中心とした国際通貨不安によつて,大きくゆれ動いた。46年5月の西ドイツのマルクの変動相場制移行を契機として,各国の国際収支不均衡の一因として強く意識されていたわが国の国際収支黒字基調は,円の大幅切上げへの期待となつて諸外国の注目をあつめた。一方,アメリカの国際収支の赤字基調の要因のひとつとして考えられていた日米貿易の不均衡は,46年にはいつてもいつそう深刻となり46年1~7月には年率28億ドルに達した。

このような情勢のなかで8月15日には,いわゆるニクソン声明が出されアメリカの新経済政策の内容が明らかにされた。その内容は,一連の減税措置,賃金・物価の90日間凍結,金・ドルの一時的交換停止,10%の輸入課金の賦課,などを主軸としたもので,この新政策の発表は世界経済に与えた影響は多大なものがあり,とくに翌日より実施された輸入課徴金はわが国の対米輸出に少なからず影響を与えるものと憂慮された。

こうしたなかで政府は,1ドル=360円レートの維持に終止符をうち,8月28日より暫定的に変動為替相場制に移行することを決めたが,それ以降の円レートは小幅ながら上昇を続けた。

アメリカの新経済政策発表のあとを受けて,各国における通貨の多国間調整への努力は,9月末のIMF総会,そして10ヵ国蔵相会議などによつて検討がなされ,12月18日には各主要国の新基準レートの決定がなされた。それによると,ドルが金に対して7.89%切下げられて,わが国の円レートは1ドル=308円(IMF方式でドルに対して16.88%の切上げ)ときめられ,国際通貨危機は一応の決着をみた。

通貨調整以降の諸外国の為替市場をみると,47年2月以降,主要国通貨のほとんどは対ドル基準レートを上回る状態を示した。これは米欧間の金利格差が大きかつたほか,アメリカの国際収支赤字がいぜんとして続き,ドル交換の見通し難からドル売りがふたたび強まつたことが主因である。また,欧州経済は1971年には概ね低迷を続け,各国において財政金融面からの新たなリフレ措置がとられその結果1972年にはいつてからは景気回復の動きを示している。

b 46年度の対外経済政策の内容

以上のような世界経済の情勢のもとで,わが国の46年度中にとられた主な対外経済政策は 第1-13表 のようなものであつた。

第1-13表 46年度の対外経済政策の推移

(a) 輸入自由化

わが国の輸入自由化は,昭和46年6月末現在の残存輸入制限品目は60品目であつたが,46年10月に新たに20品目の自由化が行なわれ,さらに47年4月に6品目が追加され47年5月1日現在33品目(BTN品目分類の変更のより1品目減少)に減少した。その結果,わが国の自由化率は97%弱となつた。

(b) 関税引下げ

46年4月にケネディ・ラウンドの繰上げ実施が行なわれたほか,46年度において124品目の関税引下げが行なわれた。さらに,47年4月に47年度の関税引下げが238品目に対して実施された。

(c) 特恵関税の供与

46年8月から,発展途上国に対する一般特恵関税の供与が実施された。これによる受益国は,韓国,中国(台湾),タイなどを中心に96ヵ国であつたが,47年度からはさらに10ヵ国および香港など18地域が追加された。

(d) 対内直接投資の自由化

46年4月に,対内直接投資の自由化として自動車関連業種を中心に自由化され,8月には第4次自由化が実施された。その内容は,第2類自由化(自由化率100%)業種として228業種,個別審査対象業種として石油精製販売,皮革製品,電子計算機などの7業種を選定し,上記以外の業種を第1類(同50%)自由化業種と選定した。この第4次自由化の結果わが国の自由化率は94%に達した。

また,第4次自由化の一環として,対内証券投資の自由化を含めて,既存企業の株式取得の自動認可限度は,外国投資家全体で25%未満,1外国投資家当たりでは10%以下と決定した。

(e) 海外投融資の自由化

海外直接投資については,46年7月から日銀自動許可限度額が撒廃された。

外国証券投資については,証券投資信託および保険会社に対して46年7月から外国証券の購入における限度額が撒廃され,一般投資家に対しても金額限度なしで外国証券の購入が認められた。

また,海外不動産取得については日銀限りの自動許可となつた。

(f) 為替管理の自由化

46年6月以降,一般居住者の外貨保有期間が1カ月間に延長され,47年5月より外国為替等の集中制度が廃止された。また,46年6月には海外渡航手続の簡素化が行なわれた。

このような諸政策の実施を中心に46年度における対外経済政策が進められた。

さらに政府は47年5月に,当面の対外経済均衡を達成するための政策として,円対策7項目からなる対外経済緊急対策の実施を決定した。その内容も財政金融政策の機動的展開,輸入促進対策,輸出取引き秩序の確立,資本輸出対策,外貨活用対策,経済協力の推進,それらに対する立法措置の7項目を主軸とするもので,これによつて政府は内外均衡の同時達成を目標に基本姿勢を示した。


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