昭和44年

年次経済報告

豊かさへの挑戦

昭和44年7月15日

経済企画庁


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第2部 新段階の日本経済

3. 成長経済の苦悩

高度成長は日本経済の水準を高めるとともに国際的地位を向上させた。日本経済にとつて宿命的な体質ともいわれたいわゆる二重構造も高度成長の過程で解消の方向に向かつている。成長が日本経済の古い意味の貧困とアンバランスを解消しつつあるのである。しかしながら,このような成長過程は,同時に,新らしいアンバランスを作り出す過程でもあつた。農業,中小企業の相対的立遅れや消費者物価の上昇にみられるような経済的なアンバランスのほか,社会資本の立遅れ,公害問題などの社会的なアンバランスも生まれ,それらが国民の間の不満や不安感の一因にもなつている。以下,このような成長にともなう苦悩ともいうべき面の実態を明らかにし,遅れた部門の発展の可能性をみてみよう。


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