昭和42年
年次経済報告
能率と福祉の向上
経済企画庁
第1部 昭和41年度の日本経済
昭和41年度は景気上昇の年であつた。
41年になつて次第にテンポをはやめていた鉱工業生産は,年度中年率20%の勢いで上昇した( 第1図 )。
今回の景気上昇は,昭和30年代の同じ局面とくらべても遜色がないほどにはやかつた。とくに,前回とくらべると,需給バランスの改善がいちじるしく,設備稼働率の上昇,生産者製品在庫率の低下,工業品物価の値上がりが目立つた。企業収益の回復もいちじるしく,売上げより利益の伸びが大きかつた( 第1表 )。これは,生産にくらべて,需要が急速に増加していつたからである。総需要の増加額を四半期別国民所得統計(ただし35年価格・季節修正値・年率)によつてみると,40年上期中の6,800億円,同下期中の2,900億円に対して,41年上期中1兆6,400億円,同下期中2兆2,100億円と増加幅を拡げた。