昭和３７年度の日本経済

金融

昭和３７年度の金融情勢

　昭和３７年度の金融は、ひっ迫から緩和へと向かった。そのきっかけとなったのは、財政資金が散超基調に転化したことであり、更に下期に入ると金融引締政策の解除等の政策的な配慮がこれに加わった。この金融緩和は景気回復を先導する役割をになったが、その経済各部門への浸透の足取りは重かった。それは金融緩和の進展を制約するいくつかの要因が存在していたためである。すなわち、日銀券の増発基調が強く、現金需給の好転を限られたものにしたうえ、企業金融町でも企業間信用が異常な膨張を示すなど、景気調整過程中のしこりが累積していたからである。このような情勢の中で「新金融調節方式」の導入、公定歩合の再引き下げ等が行われて金融正常化の進展が図られた。

　以下、これらを中心に３７年度年度間の金融情勢の推移を概観してみたい。