昭和32年

年次経済報告

速すぎた拡大とその反省

経済企画庁


[前節] [目次] [年次リスト]

各論

国民生活

むすび

 昭和31年度の国民生活の向上は経済の発展率に比べると相対的に低いとはいえ、貯蓄を増やしながら年率5%に近い消費の上昇が続き戦前を約2割上回る水準に達しているので、まず恵まれた年であったとみなければなるまい。しかし、大都市における住宅事情等は近年にない改善がみられたとはいえまだまだ住宅難緩和には程遠い状態にある。また低所得貧困世帯の改善等も残された大きな問題といわなければならない。これらの問題は戦争の傷痕という特殊事情の影響もあるが、我が国の資源不足や産業構造の特殊な状態に根ざす原因が多いので経済の発展とともに自然的に解決できるとは限らないから、国民経済の発展に併行して特別な考慮を一段と進める必要があろう。


[前節] [目次] [年次リスト]