昭和29年

年次経済報告

―地固めの時―

経済企画庁


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各論

交通・通信

通信

昭和28年度における加入電話及び通話度数の諸指標は 第41表 のようで、新たに開通された加入電話数は前年度の20万に対し約25万である。これがため東京都心部における電話の一般市中売買価格は前年度の半値以下に下がり、新規加入の場合の負担額と略同一となった。この現象は単に東京のみでなく、全国一般的にいいうることであって、28年度のような好況期にあっては、電話の需要が増加し、一般市中売買価格も騰貴するのが常であるにかかわらず、このように下落を示したことは電話施設の増強が急速に進んだことの証左でもある。

第41表 加入電話と通話度数

他面、9月初旬には、東京、大阪、名古屋間の長距離即時通話が開始され、その後、なおマイクロウェーヴによる長距離多重回線の確保、テレビジョンの中継も可能となった。これらの施設の増強を可能ならしめた主な原因は、28年8月の電話料金改訂によって資金源が確保されたことにある。

28年2月より開始されたテレビジョン放送は、1ヶ年間に聴視者数1万7000名の多きに達した。テレビジョン受信装置の価格は、いまだ必ずしも廉価とはいえないにもかかわらず、このように急激な膨張を示したことの中にも、28年度の日本経済の姿をみることができるであろう。そしてまた、送信施設として東京の中央でわずかの距離の間に、一基の建設費1億5,000万円から2億円といわれる放送用高塔を3基も建設しうるところに、異常な消費性向のあることを見逃すことができない。


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