昭和29年

年次経済報告

―地固めの時―

経済企画庁


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各論

交通・通信

海外輸送

海運

昭和28年度中の外航適格船の増加は、42隻、約35万総トンであって、年度末の外航船腹保有量は約240万総トンとなり、前年度末に比較して18%の増加となった。これら外航船腹の貨物輸送量は、輸出入及び第三国間輸送を合計して1870万トンに達し、27年度のそれよりも25%の増加となっている。この輸送実績をさらに検討すると、28年度における日本船の我が国の全貿易量に対する積取比率は、輸入物資については43%、輸出物資については38%であって、対前年度比で輸出では6%程度の向上をみたが、輸入では逆に3%の減少となっている。輸入品輸送に際しては常に満船の状態であり、輸入に関する限り船腹増加はそのまま積取量の増加となる。従って全船腹の増強に伴い、その全輸送量は増加したにも拘わらず、輸入物資積取比率の低下したことは、28年度における船腹の増強以上に輸入量が異常な増加をみせたことを示すものである。

戦後我が国外航輸送の特徴として次の二点が挙げられる。その第一は平均輸送距離の増大である。戦前では、韓、満、支からの輸入量が全輸入量の40%を占めていたものが、現在では見るべきものがほとんどない。例えば、近海塩は地中海塩に、朝鮮米、台湾米は加洲米あるいは北米小麦に、北支炭は北米炭に移ったように、輸入物資の平均輸送距離は戦前の3400海里から5200海里と53%の増大となっている。このために、同一量の物を運ぶためにも遥かに多くの船腹を必要とするわけである。

その第二は積取貨物の低級化である。28年度中における輸入物資の積取比率を主要品目別に見ると 第38表 のようである。

第38表 28年度輸入物資積取比率

日本船は常にいわゆるラフ・カーゴーの輸送に当たり、運賃負担力の高い物資の輸送には参加度が低い。これは日本船の性能が低いためではなく、定期船の劣勢と貿易の弱体化にあり、これがひいては日本海運の収益性を減じ、また輸送される物量に比較して、外国船に支払うべき運賃が多くなる結果をもたらしている。

28年度の外航輸送量の相当大幅の増加にもかかわらず、その収得運賃は1億8,900万ドルと、前年比わずかに2%の増加に止まっている。この原因は、不定期貨物運賃率が27年春以来引き続き低水準に推移している上に、27年中比較的低落度の少なかった油槽船運賃が28年に入ってから約40%も下降したこと、及びニューヨーク航路、インドパキスタン航路のような日本海運にとって最も重要度の高い定期航路において、運賃同盟の歩調が乱れ、遂に自由運賃制となり、特に日本からの輸出貨物運賃のごときは半減の状態にまでおちたこと等である。その上、運賃は常に国内物価とは一応切りはなされて国際市場において決定されるものであるから、28年度における国内物価割高の海運業に及ぼした影響は他産業に比べて大きい。

近年、世界海上荷動量は伸び悩み、世界船腹の需要も停滞している。これに反し、船腹供給面では大戦中の急造粗悪船と老令船の代替を目標として、遂年大量の新造船が出現し、28年度中に世界では約510万総トンが建造されて、世界の全船腹量は9500万総トンを凌駕しようとしている。その上、既に発注されているもののみでも1300万総トンに達している。従って、世界船腹の需給関係は依然供給過剰状態のままに推移するものとみなければならず、従って運賃率の上昇も望み難いと考えなければならない

このような環境において終戦時の壊滅状態から新発足した日本海運は、その企業経営に極度の困難の伴うことは当然である。すなわち外航船のほとんど全てが戦後の新造船であり、その上、新造への着手が被占領時の制約のために立ち遅れた結果、高運賃時代の波に乗り得ないこととなって、外国船のように償却を十分に行っていない。従って日本商船隊の平均船価は諸外国のそれに比較して相当高いものとなっている。例えば英国商船隊の平均船価は1総トン当たり約35,000円であるのに対して、我が国では約55,000円であって約60%高い。

このような高船価の上に、海運業における資本構成の問題がある。英国では戦争終了とともに戦時中の喪失船に対する補償として、2億7,000万ポンドが海運業に与えられ、この資金的基礎の上に立って戦後の海運復興に乗り出した。これに対して英国より大きい被害を受けた我が国では、戦時補償の打切りによってほとんど完全に蓄積資本を喪失したために、戦後の新造船資金をもっぱら借入金に依存せざるを得ないこととなった。昭和11年当時の海運業における資本構成は他人資本23%、自己資本77%であったものが、28年上期では他人資本は実に82%となり、自己資本は18%に過ぎない状態となった。動乱ブームの去った後では金利支払い、元本償還も著しく困難となり、28年末の海運業の借入残高は財政資金936億円、市中資金755億円、合計1,691億円に達している。仮に当初の約定通りに履行したとすれば、償還及び金利支払額は28年度中の全運賃収入680億円の6割にも及ぶ400億円を超すものと推計される。

この間に処して、世界主要海運国がいずれも相当手厚い保護政策をとっているのに対して、我が国でも28年8月、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償制度が実施された。これは貨物船については25年度、油槽船については26年度以降の建造にかかる外航船の建造資金について借入金利支払の一部を補給し、かつ市中金融機関融資額の3割を限度として、貸倒損失を補償しようとするものである。これに要する政府予算は29年度36億円に達する。しかし、現在の日本海運の状況にあっては、この程度の補助では海運再建に最も必要とされる海運資本そのものの育成には多くを期待することはできない。

国際収支の改善に寄与するところの大きい海運ではあるが、個々の海運企業にとっては28年を境として状況ははなはだしく悪化してきた。この際海運業者も徒らに国家のさしのべる保護の手を待つのみでなく、業者の協調、経費の切り詰めなど残されたあらゆる手段をつくして困難の克服に努める必要がある。

次にその財源をみると、国庫に依存するものが5割強を占め、自主財源の貧困が目立つ。自主財源の大宗をなすものはもちろん地方税であり、その徴収状況は近年若干好転してきたが、なおその総額が低くまた地方団体相互間に相当のアンバランスのあることは見逃せない。従って歳入確保のため零細な財源を求め法定外独立税、あるいは超過税率課税を実施している団体もかなりの数にのぼっている。このような自主財源の貧困及び偏在は地方財政調整の上に大きな問題となっており、経費の膨張はますます国庫への依存度を高めるとともに地方債の比重を増大せしめている。この地方債の増大は将来の地方財政自体を圧迫するものとして注目されるが、その他にその公募分が大部分金融機関引受となっていることから地方金融を圧迫するような傾向も強まっている。

しかもなお経費の膨張は財源調達を上回り、27年度決算においても歳計不足となった団体は府県11、市町村1038(27年度末市町村数10000)に及び、その金額もそれぞれ45億円、110億円に達した。さらに事業繰越、支払繰り延べなどの繰越歳出に対する充当財源を控除した実質的決算において財源不足となった団体は2631(35府県、2596市町村)その金額は約300億円と推算されている。そしてこのような状態は28年度にもさして好転したともみられず、依然相当額に及ぶ赤字を出しているものと思われる。

次にその財源をみると、国庫に依存するものが5割強を占め、自主財源の貧困が目立つ。自主財源の大宗をなすものはもちろん地方税であり、その徴収状況は近年若干好転してきたが、なおその総額が低くまた地方団体相互間に相当のアンバランスのあることは見逃せない。従って歳入確保のため零細な財源を求め法定外独立税、あるいは超過税率課税を実施している団体もかなりの数にのぼっている。このような自主財源の貧困及び偏在は地方財政調整の上に大きな問題となっており、経費の膨張はますます国庫への依存度を高めるとともに地方債の比重を増大せしめている。この地方債の増大は将来の地方財政自体を圧迫するものとして注目されるが、その他にその公募分が大部分金融機関引受となっていることから地方金融を圧迫するような傾向も強まっている。

しかもなお経費の膨張は財源調達を上回り、27年度決算においても歳計不足となった団体は府県11、市町村1038(27年度末市町村数10000)に及び、その金額もそれぞれ45億円、110億円に達した。さらに事業繰越、支払繰り延べなどの繰越歳出に対する充当財源を控除した実質的決算において財源不足となった団体は2631(35府県、2596市町村)その金額は約300億円と推算されている。そしてこのような状態は28年度にもさして好転したともみられず、依然相当額に及ぶ赤字を出しているものと思われる。

次にその財源をみると、国庫に依存するものが5割強を占め、自主財源の貧困が目立つ。自主財源の大宗をなすものはもちろん地方税であり、その徴収状況は近年若干好転してきたが、なおその総額が低くまた地方団体相互間に相当のアンバランスのあることは見逃せない。従って歳入確保のため零細な財源を求め法定外独立税、あるいは超過税率課税を実施している団体もかなりの数にのぼっている。このような自主財源の貧困及び偏在は地方財政調整の上に大きな問題となっており、経費の膨張はますます国庫への依存度を高めるとともに地方債の比重を増大せしめている。この地方債の増大は将来の地方財政自体を圧迫するものとして注目されるが、その他にその公募分が大部分金融機関引受となっていることから地方金融を圧迫するような傾向も強まっている。

しかもなお経費の膨張は財源調達を上回り、27年度決算においても歳計不足となった団体は府県11、市町村1038(27年度末市町村数10000)に及び、その金額もそれぞれ45億円、110億円に達した。さらに事業繰越、支払繰り延べなどの繰越歳出に対する充当財源を控除した実質的決算において財源不足となった団体は2631(35府県、2596市町村)その金額は約300億円と推算されている。そしてこのような状態は28年度にもさして好転したともみられず、依然相当額に及ぶ赤字を出しているものと思われる。

次にその財源をみると、国庫に依存するものが5割強を占め、自主財源の貧困が目立つ。自主財源の大宗をなすものはもちろん地方税であり、その徴収状況は近年若干好転してきたが、なおその総額が低くまた地方団体相互間に相当のアンバランスのあることは見逃せない。従って歳入確保のため零細な財源を求め法定外独立税、あるいは超過税率課税を実施している団体もかなりの数にのぼっている。このような自主財源の貧困及び偏在は地方財政調整の上に大きな問題となっており、経費の膨張はますます国庫への依存度を高めるとともに地方債の比重を増大せしめている。この地方債の増大は将来の地方財政自体を圧迫するものとして注目されるが、その他にその公募分が大部分金融機関引受となっていることから地方金融を圧迫するような傾向も強まっている。

しかもなお経費の膨張は財源調達を上回り、27年度決算においても歳計不足となった団体は府県11、市町村1038(27年度末市町村数10000)に及び、その金額もそれぞれ45億円、110億円に達した。さらに事業繰越、支払繰り延べなどの繰越歳出に対する充当財源を控除した実質的決算において財源不足となった団体は2631(35府県、2596市町村)その金額は約300億円と推算されている。そしてこのような状態は28年度にもさして好転したともみられず、依然相当額に及ぶ赤字を出しているものと思われる。

次にその財源をみると、国庫に依存するものが5割強を占め、自主財源の貧困が目立つ。自主財源の大宗をなすものはもちろん地方税であり、その徴収状況は近年若干好転してきたが、なおその総額が低くまた地方団体相互間に相当のアンバランスのあることは見逃せない。従って歳入確保のため零細な財源を求め法定外独立税、あるいは超過税率課税を実施している団体もかなりの数にのぼっている。このような自主財源の貧困及び偏在は地方財政調整の上に大きな問題となっており、経費の膨張はますます国庫への依存度を高めるとともに地方債の比重を増大せしめている。この地方債の増大は将来の地方財政自体を圧迫するものとして注目されるが、その他にその公募分が大部分金融機関引受となっていることから地方金融を圧迫するような傾向も強まっている。

しかもなお経費の膨張は財源調達を上回り、27年度決算においても歳計不足となった団体は府県11、市町村1038(27年度末市町村数10000)に及び、その金額もそれぞれ45億円、110億円に達した。さらに事業繰越、支払繰り延べなどの繰越歳出に対する充当財源を控除した実質的決算において財源不足となった団体は2631(35府県、2596市町村)その金額は約300億円と推算されている。そしてこのような状態は28年度にもさして好転したともみられず、依然相当額に及ぶ赤字を出しているものと思われる。

次にその財源をみると、国庫に依存するものが5割強を占め、自主財源の貧困が目立つ。自主財源の大宗をなすものはもちろん地方税であり、その徴収状況は近年若干好転してきたが、なおその総額が低くまた地方団体相互間に相当のアンバランスのあることは見逃せない。従って歳入確保のため零細な財源を求め法定外独立税、あるいは超過税率課税を実施している団体もかなりの数にのぼっている。このような自主財源の貧困及び偏在は地方財政調整の上に大きな問題となっており、経費の膨張はますます国庫への依存度を高めるとともに地方債の比重を増大せしめている。この地方債の増大は将来の地方財政自体を圧迫するものとして注目されるが、その他にその公募分が大部分金融機関引受となっていることから地方金融を圧迫するような傾向も強まっている。

しかもなお経費の膨張は財源調達を上回り、27年度決算においても歳計不足となった団体は府県11、市町村1038(27年度末市町村数10000)に及び、その金額もそれぞれ45億円、110億円に達した。さらに事業繰越、支払繰り延べなどの繰越歳出に対する充当財源を控除した実質的決算において財源不足となった団体は2631(35府県、2596市町村)その金額は約300億円と推算されている。そしてこのような状態は28年度にもさして好転したともみられず、依然相当額に及ぶ赤字を出しているものと思われる。

第58図 本邦周辺外航運賃の推移

航空

海外輸送の分野に新しく国際航空が加わった。28年10月政府出資10億円を得て新たに設立された日本航空株式会社によって、29年2月より、東京──サンフランシスコ、東京──沖縄の二つの空路の運航が開始された。我が国をめぐる国際航空競争は激甚なものがあって、28年度には10ヶ国、11社の航空機が羽田空港に乗り入れている。そしてこれらによって28年中に出入りした旅客数は9万名を超え、日本人旅客のみでも約1万9000名に達しおり、我が国においてこれら外国航空会社に支払われた運賃は年間約50億円と推定される。今後の旅客の増加を考慮するならば、我が国国際航空輸送開始の国際収支改善への寄与は、軽視し難いものがあるが、しかし激しい競争場裡で今後の地歩を固めて行くことは必ずしも容易ではなく、特に使用航空機を全て輸入にまたなければならないことはこの困難を一層大きくしている。


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