月例経済報告(平成17年5月)

―景気は、一部に弱い動きが続くものの、緩やかに回復している。―

先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、世界経済の着実な回復に伴って、景気回復は底堅く推移すると見込まれる。一方、情報化関連分野でみられる在庫調整の動きや原油価格の動向等には留意する必要がある。

平成17年5月19日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、一部に弱い動きが続くものの、緩やかに回復している。

  • 企業収益は改善し、設備投資は緩やかに増加している。
  • 個人消費は、持ち直しの動きがみられる。
  • 雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。
  • 輸出、生産は横ばいとなっている。

先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、世界経済の着実な回復に伴って、景気回復は底堅く推移すると見込まれる。一方、情報化関連分野でみられる在庫調整の動きや原油価格の動向等には留意する必要がある。

(政策の基本的態度)

政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」の早期具体化により、構造改革の取組を加速・拡大する。
政府は、日本銀行と一体となって、重点強化期間におけるデフレからの脱却を確実なものとするため、政策努力を更に強化する。

各論

1.消費・投資などの需要動向

2005年1-3月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)がマイナスに寄与したものの、民間最終消費支出、民間在庫品増加、民間企業設備がプラスに寄与したことなどから、前期比で1.3%増(年率5.3%増)となった(2四半期連続のプラス)。また、名目GDP成長率は前期比で0.6%増となった(2四半期連続のプラス)。これにより、2004年度の実質GDP成長率は、前年度比で1.9%増(3年連続のプラス)、名目GDP成長率は0.7%増となった(2年連続のプラス)。

個人消費は、持ち直しの動きがみられる。

個人消費は、持ち直しの動きがみられる。この背景としては、所得が底堅さを増し、消費者マインドの改善が続いていることが挙げられる。需要側統計(家計調査)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、3月は増加した。
個別の指標について3月の動きをみると、家計調査では、実質消費支出は前月から横ばいとなった。一方で、販売側の統計をみると、小売業販売額は、気温が低めで推移したことで春物衣料が伸び悩んだことなどから前月に比べて減少したものの、均してみると緩やかに持ち直している。家電販売金額は、薄型テレビやDVDレコーダーの販売が好調なことから前年を上回った。新車販売台数は、3月に前月比で減少した後、4月は増加した。旅行は、国内・海外ともに前年を上回った。外食は、前年を上回った。
先行きについては、雇用情勢の改善が家計の所得改善につながれば、個人消費は増加していくものと期待される。

設備投資は、緩やかに増加している。

設備投資は、企業収益の改善を受けて、緩やかに増加している。機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、おおむね横ばいとなっている。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。これらの統計を合成した設備投資総合指数は、3月は前月比で減少したが、緩やかに増加している。
日銀短観によれば、製造業の2005年度設備投資計画は3年連続で増加している。また、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感は横ばいとなっている。先行指標をみると、機械受注は持ち直している。建築工事予定額は、基調としては増加している。先行きについては、企業収益の改善が続いていることから、増加傾向で推移するものと見込まれる。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。これは、持家の着工が弱含みとなっているが、貸家、分譲住宅が底堅く推移していることによる。総戸数は、3月は、前月比0.6%減の年率116.6万戸となった。総床面積は前月比2.6%増となったが、これは1戸当たり床面積が貸家に比べて広い分譲住宅が増加した影響による。なお、2004年度の住宅建設は、持家が減少したものの、貸家、分譲住宅が増加したことから前年度比1.7%増の119.3万戸となり、2年連続の増加となった。先行きについては、雇用情勢が改善していることに加え、家計の所得環境などが回復していけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。ただし、このところ羽田空港再拡張工事による一時的な受注の増加もみられる。
公共投資の関連予算をみると、国の平成16年度当初予算では、公共投資関係費を前年度比3.3%減としていたところ、2005年2月1日に成立した平成16年度補正予算において、災害復旧等事業費を含め、計1.2兆円の公共事業等を追加するなどの予算措置を講じることとしたため、補正後の公共投資関係費は、前年度比8.2%増となった。平成17年度予算では、公共投資関係費について、前年度比4.0%減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化したほか、各事業の目的・成果に踏み込んできめ細かく重点化している。また、平成17年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、中期的に計画的な抑制を図る中で前年度比3.0%減(規模是正後は、8.2%減)としつつ、重点的な配分を行うとしている。
2005年1-3月期は、公共工事請負金額は、前期に引き続き、前年を下回った。
2005年4-6月期の公共投資については、補正予算等の影響から災害復旧関連工事の増加も見込まれるが、4月の公共工事請負金額は前年を下回るなど、基調としては減少傾向にあると考えられる。

輸出、輸入は、ともに横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。

輸出は、横ばいとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、電気機器が横ばいで推移しているものの、一般機械が弱含み、全体として弱含みとなっている。アメリカ向け輸出は、電気機器が横ばいとなり、輸送用機器が増加し、緩やかに増加している。EU向け輸出は、弱含みとなっている。先行きについては、世界の景気は着実に回復していることに伴って、緩やかに増加していくものと考えられる。
輸入は、機械機器などが増加したものの食料品、繊維製品などが減少し、全体としては横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、機械機器を中心に緩やかに増加している。アメリカからの輸入は、機械機器などが増加したものの化学製品などが減少し横ばいとなっている。EUからの輸入は、機械機器を中心に減少している。
国際収支をみると、輸出数量、輸入数量ともに横ばいとなっており、貿易収支の黒字幅はおおむね横ばいとなっている。一方、サービス収支の赤字幅はおおむね横ばいとなっていることから、貿易・サービス収支の黒字は横ばいとなっている。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、横ばいとなっている。

鉱工業生産は、情報化関連生産財が持ち直しているが、金属製品等で減少していることから、全体としては横ばいとなっている。在庫は、全体としては低水準で推移している。情報化関連生産財の在庫調整が進捗する一方、輸送機械、化学工業等、一部の分野で増加がみられる。
先行きについては、世界の景気が着実に回復していることから、情報化関連生産財の在庫調整の進捗に伴って、持ち直していくことが見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、4月は増加、5月は減少が見込まれている。
また、第3次産業活動は、緩やかに増加している。

企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、減少している。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、2004年10-12月期の経常利益は、売上高の増加等により前年同期比17.6%増と、IT関連財の生産調整を受け、前期と比較し伸びは鈍化したものの、10四半期連続で増益となった。業種別にみると、製造業が25.3%、非製造業が12.4%の増益となっている。「日銀短観」によると、2005年度の経常利益は、製造業、非製造業ともに4年連続の増益を見込んでいる。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、慎重さがみられる。素材価格の上昇やIT関連財の生産調整を受け、大企業製造業の業況判断は、2四半期連続で低下した。
また、企業倒産は、減少している。倒産件数は1,200件を下回り、これは3月としては1992年以来の低い水準となっている。

雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。

完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移するなど、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。
完全失業率は、3月は前月比0.2%ポイント低下し4.5%となった。自発的離職者等の減少により完全失業者が減少した。一方、15~24歳層の完全失業率が高水準となっているなど、厳しい状況もみられる。
新規求人数は緩やかな増加傾向となっている。有効求人倍率は横ばいとなっている。また、雇用者数は、持ち直している。製造業の残業時間は横ばいとなっている。
賃金の動きをみると、定期給与は横ばいとなっている。

3.物価と金融情勢

国内企業物価は、素材価格の上昇によりこのところ上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。

国内企業物価は、このところ上昇している。最近の動きを類別にみると、これまでの原油価格の上昇を反映して、石油製品、化学製品が上昇しているほか、鉄鋼などが上昇している。輸入物価(円ベース)は、原油など国際商品市況の上昇や円安を反映して、上昇している。
企業向けサービス価格は、前年比で小幅な下落が続いている。
消費者物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品は、おおむね横ばいとなっている中で、原油価格の上昇を反映して、石油製品が前月比で上昇に転じている。一般サービス、公共料金は、おおむね横ばいで推移している。
なお、消費者物価は前年比で小幅な下落基調が続いているなど、物価の動向を総合してみると、物価は緩やかなデフレ状況にある。

株価は、急落した後、このところ11,000円(日経平均株価)付近で横ばいとなっている。為替レートは、対米ドルで108円台から104円台まで円高方向で推移した後、このところ107円台となっている。

株価は、米国株価の下落等を背景に急落した後、このところ11,000円(日経平均株価)付近で横ばいとなっている。対米ドル円レートは、米国の景気先行き不透明感や人民元切上げ観測等を背景に、円を買い戻す圧力が強まる中、108円台から104円台まで円高方向で推移した後、このところ107円台となっている。
短期金利は落ち着いている。長期金利は、株価下落等から低下し、このところ1.2%台後半で推移している。企業金融については、企業の資金繰り状況はおおむね改善しており、民間債と国債との流通利回りスプレッドは低水準で推移している。
マネタリーベースの伸びは、2月以降緩やかに増加している。M2+CDの伸びは、横ばいとなっている。

4.海外経済

世界の景気は着実に回復している。

アメリカでは、景気は拡大している。

1-3月期のGDP成長率は前期比年率3.1%と、2004年10-12月期の同3.8%からはやや低下したが、消費が前期比年率3.5%、投資が同4.7%の伸びとなるなど、内需は依然として堅調であり、また、4月の非農業雇用者数は27.4万人の増加となるなど景気の拡大は続いている。
一方、高水準のエネルギー価格が続いていることなどにより、消費者マインドはこのところ低下が続いている。物価は、コスト面での物価上昇圧力による価格転嫁が一部進んでおり、コア物価上昇率が緩やかに上昇する動きもみられる。
5月3日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)においては、フェデラルファンドレート誘導目標水準を0.25%ポイント引き上げ3.00%としたが、現行の金融緩和政策の取りやめは慎重なペースで行うことができるとの方針が引き続き示された。

アジアでは、中国、タイ等で景気は拡大が続いている。

中国では、景気は拡大が続いている。固定資産投資の伸びは2004年前半にかけて低下したものの、依然として拡大が続いている。タイでは、消費や投資を中心に、マレーシアでは、消費が増加するなど、景気は拡大している。台湾では、景気は拡大している。シンガポールでは、景気の拡大は緩やかになっている。韓国では、輸出の伸びが低下しているものの、景気は回復を続けている。

ユーロ圏では、景気は緩やかに回復しており、英国の景気は堅調に回復している。

ユーロ圏では、景気は緩やかに回復しているが、このところ景況感に悪化がみられる。ドイツでは、景気の回復は緩やかになっている。輸出が緩やかに増加する一方、消費は弱い動きが続くなど、内需の 回復が遅れている。フランスでは、消費が緩やかに増加するなど、景気は回復している。
英国では、消費が緩やかに増加するなど、景気は堅調に回復している。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、世界の主要な株価は4月の中旬に景気の先行きに対する不透明感から下落したものの、その後上昇した。主要国の長期金利は緩やかに低下した。また、ドルは4月下旬以降、主要通貨に対しおおむね横ばいで推移した後、増価した。
原油価格は、4月中旬以降、50ドル前後で推移している。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(内閣府試算値)は、2月季節調整済前月比0.4%減の後、3月(速報値)は同0.1%増となった。なお、消費総合指数は四半期別GDP速報(QE)の推計方法の変更に伴い、2月に改定を実施した。作成・改定方法については、ディスカッションペーパーを参照。
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)
家計調査の全世帯実質消費支出は、2月季節調整済前月比1.8%減の後、3月は同0.0%(前年同月比0.0%)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、3月は季節調整済前月比1.3%減(前年同月比0.2%増)となった。
購入頻度が少ない高額消費部分について家計消費状況調査の結果を用い、家計調査と合成した家計消費指数では、3月は実質前年同月比0.6%減となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、2月季節調整済前月比2.6%減の後、3月は同1.2%減(前年同月比0.3%増)となった。また、百貨店販売額は、3月は前年同月比3.2%減(既存店)(季節調整済前月比1.3%減(全店))となった。スーパー販売額は、3月前年同月比5.5%減(既存店)(季節調整済前月比3.2%減(全店))となった。コンビニエンスストア販売額は、3月前年同月比1.5%減(既存店)、同1.9%増(全店)となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、3月季節調整済前月比0.3%減の後、4月(速報値)は同3.5%増となった。なお、最新月はナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分する)によるが、それ以前の月は登録ナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分しない)によるものであり、両者は厳密には一致しない。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、2月前年同月比4.9%減の後、3月は同1.1%増となった。
大手旅行業者13社取扱金額は、国内旅行は2月前年同月比1.1%減の後、3月は同2.5%増となった。海外旅行は2月前年同月比10.5%増の後、3月は同21.2%増となった。
外食(日本フードサービス協会調べ)は、2月前年同月比2.7%減(全店)の後、3月は同3.4%増(全店)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、12月前期差0.1ポイント改善の後、3月は同0.1ポイント改善となった。消費者態度指数(原数値)は、3月前月差2.4ポイント悪化の後、4月は前月差2.2ポイント改善となった。

<設備投資>

設備投資総合指数(内閣府試算値)は、2月(速報値)季節調整済前月比0.5%増の後、3月(速報値)は同2.1%減となった。設備投資総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)。
2004年10-12月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比2.8%減(前年同期比3.0%増)となっており、うち製造業では同1.5%増(同8.6%増)、非製造業では同4.8%減(同0.3%増)となっている。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」でみると、2005年度設備投資計画は、製造業で前年度比5.3%減、非製造業で同16.3%減となっており、全産業では同12.7%減となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、2月(確報値)は季節調整済前月比10.9%減(前年同月比3.6%減)の後、3月(確報値)は同1.9%増(同5.8%増)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の2005年度設備投資計画は、製造業で前年度比3.4%増、非製造業で同0.3%減となっており、全産業では同1.0%増となっている。また、中小企業では製造業で同15.1%減、非製造業で同17.0%減となっており、全産業では同16.5%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、2月(確報値)は前年同月比7.0%増の後、3月(速報値)は同0.1%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、2月は季節調整済前月比4.9%増(前年同月比7.2%増)の後、3月は同1.9%増(同13.2%増)となっている。なお、2005年4-6月期(見通し、3月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比3.1%減(前年同期比2.8%減)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2月は季節調整済前月比16.8%増(前年同月比40.2%増)の後、3月は同25.1%減(同22.8%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、2004年10-12月期は3.7%減、2005年1-3月期は3.3%増、1月は9.9%増、2月は9.9%減、3月は0.6%減となった。内訳をみると、持家の着工(同)は、2004年10-12月期は11.6%減、2005年1-3月期は0.4%増、1月は3.3%増、2月は4.0%減、3月は1.1%減となり、貸家の着工(同)は、2004年10-12月期は0.7%増、2005年1-3月期は7.9%増、1月は10.6%増、2月は4.8%減、3月は9.7%減となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、2004年10-12月期は9.6%減、2005年1-3月期は8.4%増、1月は19.9%増、2月は25.0%減、3月は23.9%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、2004年10-12月期は8.3%減、2005年1-3月期は2.8%増、1月は11.7%増、2月は13.0%減、3月は2.6%増となった。

<公共投資>

国の平成16年度一般会計予算(補正後)を前年度補正後予算と比較すると、公共投資関係費は、前年度比8.2%増となっている。なお、平成17年度一般会計予算では、公共投資関係費について、前年度比4.0%減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
地方の予算をみると、総務省がまとめた都道府県、政令指定都市の普通会計予算額(9月補正後)では、普通建設事業費は前年度比6.9%減、普通建設事業費のうち補助事業費、単独事業費は、それぞれ前年度比7.8%減、6.8%減となっている。なお、平成17年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比3.0%減(規模是正後は、8.2%減)と、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」等に沿った地方歳出の見直しを行っている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で2月は1.5%減の後、3月は40.5%増となった。 同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で2月は14.0%減の後、3月は53.1%増となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で3月は3.1%減の後、4月は11.3%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で1月は13.6%減の後、2月は13.0%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で1月は3.3%減の後、2月は0.8%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2005年2月2.4%減の後、3月3.4%増(前年同月比1.1%増)となった。また、前期比で10-12月期は1.7%減の後、1-3月期は1.0%減(前年同期比1.9%減)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2005年2月4.5%減の後、3月4.6%増(前年同月比1.6%増)となった。また、前期比で10-12月期は0.7%増の後、1-3月期は0.5%増(前年同期比2.7%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、2005年2月は8,117億円の後、3月は7,049億円、通関収支差(季節調整値)は、2005年2月は9,484億円の後、3月は10,045億円となった。

<生産・出荷・在庫>

3月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、電子部品・デバイスや化学工業等の増加があったものの、輸送機械、金属製品等の減少により、前月比0.2%減となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、4月は輸送機械や一般機械等が増加することにより3.5%増の後、5月は輸送機械や情報通信機械等の減少により1.4%減になると見込まれている。
3月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比0.3%減となった。また、3月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は98.4となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、2月(速報)前月比1.0%減となった。また、12-2月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同9-11月平均対比)をみると1.6%増となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、2004年10-12月期の経常利益は、全産業で前年同期比17.6%増、製造業は25.3%増、非製造業は12.4%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、2005年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比2.9%の減益、下期は9.3%の増益、通期では前年比3.3%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は3%ポイント悪化して13%ポイント、中小企業は2%ポイント悪化してマイナス9%ポイント、全規模合計では3%ポイント悪化してマイナス2%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、3月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,140件(前年同月比14.2%減)、負債総額6,217億円(同38.4%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,100件(同18.1%減)、負債総額は5,605億円(同57.2%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、65件(同26.9%減)となっており、東京ファッションタウン(株)(不動産賃貸、負債900億円)、(株)タイム二十四(不動産賃貸、負債500億円)、(株)山武グリーンカントリー倶楽部(ゴルフ場経営、負債369億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、3月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.2%低下し4.5%となった。また、15~24歳層の完全失業率(原数値)は10.3%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差13万人減の297万人となった。
労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、3月の非自発的な離職による者は、前月差4万人増の106万人、自発的な離職による者は、前月差10万人減の107万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、2月季節調整済前月比2.8%増の後、3月は同1.0%減(前年同月比7.7%増)となった。有効求人数は、2月同1.0%減の後、3月は同0.8%増(同11.2%増)となった。新規求職件数は、2月同1.9%減の後、3月は同8.7%増(同9.2%減)となった。有効求職者数は、2月同0.9%減の後、3月は同1.1%増(同6.4%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は2月1.48倍の後、3月1.35倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、2月0.91倍の後、3月0.91倍となった。
労働力調査によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で2月は前月比0.0%減の後、3月は前月比0.1%増の5,357万人となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では2月は季節調整済前月比1.8%減(前年同月比1.2%減)の後、3月は同0.4%増(同1.3%減)(速報値)となった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では2月季節調整済前月比0.3%減(前年同月比0.1%減)の後、3月は同0.3%減(同0.6%減)(速報値)となった。現金給与総額は、事業所規模5人以上では3月前年同月比0.6%減(速報値)となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、平成17年4月(速報値)は前月比1.0%の上昇(前年同月比3.5%の上昇)、3ヶ月前比は3.2%の上昇となった。輸入物価(円ベース)は、4月(速報値)は前月比6.0%の上昇(前年同月比12.5%の上昇)、3ヶ月前比は10.9%の上昇となった。また、国内企業物価は、4月(速報値)は前月比0.6%の上昇(前年同月比1.8%の上昇)、3ヶ月前比は1.0%の上昇となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の3月の企業向けサービス価格は前年同月比0.8%の下落(前月比0.6%の上昇)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、3月は前年同月比0.3%の下落(季節調整済前月比保合い)、1-3月平均の前年同期比は 0.4%の下落となった。一般サービスは、3月は前年同月比保合い、1-3月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。一般商品は、3月は前年同月比保合い、1-3月平均の前年同期比は0.1%の下落となった。公共料金は、3月は前年同月比1.6%の下落、1-3月平均の前年同期比は1.6%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、4月は前年同月比0.5%の下落(季節調整済前月比保合い)、2-4月平均の前年同期比は0.5%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、4月月中は、0.001%~0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、4月は、0.07%台~0.08%台で推移した。10年物国債流通利回り(公社債店頭売買参考統計値)は、4月は、1.2%台~1.3%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、4月末は1,129ポイントとなった。日経平均株価は、4月末は11,008円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、4月末は105.89円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、4月末は136.85円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、4月は前年同月比3.0%増となった。4月の日銀当座預金平均残高は33.0兆円となった。
M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比1.9%増となった(4月速報)。広義流動性は、4月(速報)は前年同月比3.3%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、4月(速報)は前年同月比2.6%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後0.5%減)となった。4月のエクイティ市場での転換社債型新株予約権付社債の発行(国内市場発行分)はなかった。また、国内公募事業債の起債実績は、6,990億円(銀行起債の普通社債は1,800億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、2月は前月比で短期は0.287%ポイント減少し、長期は0.138%ポイント減少したことから、総合では0.227%ポイント減少し1.324%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、資金繰り判断は横ばい、金融機関の貸出態度は改善している。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の4月の現状判断DIは、前月を0.3ポイント上回り、49.8となった。先行き判断DIは、前月を0.5ポイント上回り、50.3となった。