月例経済報告(平成14年7月)

―景気は、依然厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きがみられる。―

平成14年7月11日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、依然厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きがみられる。

  • 失業率が高水準で推移するなど、雇用情勢は依然として厳しい。個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。
  • 輸出は大幅に増加しており、生産は持ち直しの動きがみられる。業況判断は全体として改善がみられ、設備投資は減少しているものの、先行きについて下げ止まる兆しもみられる。
  • 公共投資は、このところ平成13年度第2次補正予算の効果がみられる。

先行きについては、輸出の大幅な増加や生産の持ち直しの影響が、今後経済全体に波及していくなかで、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、このところの世界的な株安やドル安により世界経済の先行き不透明感が高まっており、我が国の最終需要が下押しされる懸念がある。

(政策の基本的態度)

政府は、自律的経済成長を実現するため、民間需要・雇用の拡大に力点を置いた構造改革を進めることとし、経済活性化戦略、税制改革、歳出改革などを内容とする「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(6月25日閣議決定)を早期に具体化する。

また、デフレ克服に向け、政府・日本銀行は引き続き一体となって強力かつ総合的な取組を行う。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。

個人消費は、需要側と販売側の動向を総合してみると、横ばいで推移するなかで、一部に底固さもみられる。所得面で弱い動きが続いていることなどから全体的な基調の改善には至らないものの、消費者マインドに改善の動きがみられることなどから一部の業種や支出項目においては増加の動きがみられる。
需要側の動向をみると、昨秋以降底固さがみられる。消費総合指数は3ヶ月前と比べ増加している。支出項目ごとの動向について家計調査をみると、実質消費支出は、一時的な要因により大きく減少した項目がみられる一方で、食料が引き続き前年を上回るなど主に基礎的な支出項目に底固さがみられる。
販売側の動向をみると、全体的に弱い動きとなっている。小売業販売額は弱い動きが続いている。チェーンストア販売額は、弱い動きが続いているものの、このところ減少幅を縮小してきている。百貨店販売額は、昨夏以降一進一退の動きを続けており、均してみれば横ばいとなっている。新車販売台数は、軽乗用車と小型乗用車が引き続き好調に推移しているものの、普通乗用車が大幅に前年を下回ったことから、前年をやや下回った。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っているものの、テレビが大幅に増加したことなどから、全体では減少幅を大きく縮小した。旅行は、国内旅行はほぼ前年横ばいとなり、海外旅行は前年を下回っているものの減少幅を縮小してきている。
消費者マインドは、依然として水準は低いものの、やや改善がみられる。
なお、ワールドカップサッカーが個人消費に与えた影響としては、テレビの販売動向に一時的なプラスの効果がうかがわれた。また、小売業・飲食業等においては、来客数減少等によるマイナスの効果が大きかったものと見込まれる。外国人入国者数は、前年同時期と比べ約3万人の増加となった。

設備投資は、減少しているものの、先行きについて下げ止まる兆しもみられる。

設備投資は、生産及び企業収益の減少等を背景に平成13年に入って以降減少が続いてきた。需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、平成13年1-3月期以降減少が続いている。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、平成13年に入って以降減少が続いていたが、このところ下げ止まりつつある。なお、ソフトウェア投資は、比較的堅調に推移している。
設備投資の今後の動向については、機械設備投資の先行指標である機械受注が平成13年1-3月期以降減少基調で推移してきたが、このところ下げ止まりつつあることからみて、次第に下げ止まりに向かうものとみられる。ただし、日銀短観の平成14年度設備投資計画において減少が見込まれていることなどを考慮すれば、下げ止まった後も低調に推移することが見込まれる。

住宅建設は、弱含みとなっている。

住宅建設は、平成13年に入り、貸家は増加したものの、これまで堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したこと等から、平成13年度は、前年度比3.3%減の117.3万戸と平成10年度以来3年ぶりに120万戸を下回る低い水準となった。
5月は、前月と比べ持家は減少したものの、貸家、分譲住宅は、大規模物件の着工が多かったことなどから大幅に増加し、年率126.9万戸となった。先行きについては、雇用・所得環境が厳しいこと、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下しており、こうしたことが引き続き住宅着工を減少させる要因になるものと見込まれる。

公共投資は、総じて低調に推移しているが、このところ平成13年度第2次補正予算の効果がみられる。

公共投資は、総じて低調に推移している。国の平成13年度第2次補正後予算をみると、「改革推進公共投資」特別措置もあり、ほぼ前年度並みを確保している。地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。このような状況を反映して、1-3月期の公共工事請負金額は12四半期連続で、大手50社受注額も5四半期連続で前年を下回った。
平成14年度の公共事業関連予算をみると、国の当初予算においては、施設費を含む公共投資関係費について、前年度比10.7%減と規模を縮減しつつ、「予算編成の基本方針」の重点7分野に重点化している他、地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比10.0%減としつつ、国の歳出予算と歩を一にして歳出の徹底した見直しと重点的な配分を行うこととしている。
4-6月期の公共投資については、国の平成13年度第2次補正予算の大半が今年度に繰り越されていると見込まれることから、その下支え効果が発現するものと考えられる。5月の公共工事請負金額、大手50社受注額は、前年を上回った。

輸出は、アジア向けを中心に大幅に増加している。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。

輸出は、世界的な景気回復を背景に、半導体等電子部品など電気機器と一般機械が大幅に増加、輸送用機器も堅調に推移しており、全体でも大幅に増加している。地域別にみると、アジア向け輸出は、電気機器、一般機械を中心に大幅に増加している。アメリカ向け輸出は、電気機器と一般機械を中心に緩やかに増加している。EU向け輸出は、電気機器、輸送用機器を中心に増加に転じている。今後については、世界的な景気回復が、引き続き我が国輸出にとっての増加要因になるとみられるが、このところの世界的な株安やドル安によって、世界経済の先行きについて不透明感が高まっていることに留意する必要がある。
輸入は、電気機械を中心とした生産の持ち直しの動きを背景にIT関連など機械機器の輸入が増加しているものの、鉱物性燃料などが減少しており、全体としては横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、機械機器の輸入が堅調に推移しており、緩やかに増加している。EUからの輸入は横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、航空機など機械機器が増加していることを要因として、増加している。
国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加している。輸入数量が横ばいで推移するなか、輸出数量が増加していることが、黒字幅の拡大に寄与している。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、持ち直しの動きがみられる。

鉱工業生産は、昨年初めから大幅に減少していたが、1-3月期には5期ぶりに増加に転じ、4月に続き5月も増加した。輸出が大幅に増加していることや在庫調整がおおむね終了していること等を背景に、生産は、持ち直しの動きがみられる。
ただし、設備投資の減少が続くとみられること等、懸念すべき点もあることには留意する必要がある。なお、製造工業生産予測調査によると6月は横ばい、7月は減少が見込まれている。
一方、第3次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。

企業収益は、下げ止まりの兆しがみられる。また、企業の業況判断は、中小企業を中心に依然厳しさがみられるものの、全体として改善がみられる。倒産件数は、高い水準となっている。

企業収益は、「法人企業統計季報」によると、平成13年7-9月期以降、電機機械などの製造業を中心に大幅な減益となっていた。平成14年1-3月期は製造業で減益が続いているものの、非製造業で増益に転じ、全体として減益幅が縮小した。また、日銀短観によると、平成14年度については、上期はおおむね横ばい、下期は大幅な増益を見込んでいる。
企業の業況判断について、日銀短観をみると、中小企業を中心に低い水準にあり、依然厳しさがみられるものの、製造業、非製造業とも全ての規模で改善している。先行きについても、中小企業非製造業で若干悪化が見込まれている以外は、改善を見込んでいる。
また、5月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで1,730件になるなど、高い水準となっている。

雇用情勢は、依然として厳しい。残業時間が増加しているものの、完全失業率が高水準で推移し、賃金も弱い動きが続いている。

5月の完全失業率は、前月比0.2%ポイント上昇し5.4%となった。完全失業者について求職理由別にみると、最も多い非自発的な離職による者の増加幅は横ばいとなっている。雇用者数については、このところ下げ止まっていたが、5月は前月比で減少した。
新規求人数は、2ヶ月連続で前月比増加し、新規求人倍率、有効求人倍率とも上昇しており、求人は持ち直しつつある。製造業の残業時間については、生産の動きを反映し、5ヶ月連続で増加している。企業の雇用過剰感は、製造業で低下したものの、依然として高い水準にある。
賃金の動きをみると、定期給与は前月比で減少しており、弱い動きが続いている。

3.物価と金融情勢

国内卸売物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、弱含んでいる。

輸入物価は、このところ、契約通貨ベース、円ベースともに上昇している。国内卸売物価は、横ばいとなっている。最近の動きをみると、電気機器、電力・都市ガス・水道は下落しているものの、原油高を背景として、石油・石炭製品は上昇している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サービス(外食など)はやや上昇しているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

金融情勢をみると、株式相場は、大幅に下落した後、やや上昇した。対米ドル円相場は、上昇した。

短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、6月は、日本銀行による金融緩和措置を反映して、0.001~0.002%で推移した。2、3ヶ月物は、6月は、おおむね横ばいで推移した。長期金利は、2月上旬から4月上旬にかけてやや低下した後、おおむね横ばいで推移したが、株価や為替の動向を懸念する市場の見方などから、6月下旬に低下した。
株式相場は、米国株式相場の下落等を背景に、大幅に下落した後、月末にかけて、やや上昇した。
対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、3月下旬に133円台まで下落した後、日米の景気の先行きに対する見方などを背景に上昇基調で推移し、6月は、119円台まで上昇した。対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、4月以降、114円台後半から117円台前半で、ほぼ横ばいで推移した後、6月上旬にやや下落し、中下旬は、117円台前半から119円台前半で推移した。
マネタリーベース(月中平均残高)は、日本銀行の潤沢な資金供給など(6月日銀当座預金平均残高15.0兆円)を背景に、高い伸び率となっている(6月:前年同月比27.6%)。M2+CD(月中平均残高)は、このところ、3%台半ばで推移している(6月速報:前年同月比3.4%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、96年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、昨年初来低下傾向で推移して来たが、このところ横ばい圏で推移している。企業の資金繰り状況を見るとやや改善の動きが見られ、民間債と国債との流通利回りスプレッドがこのところやや縮小している。

4.海外経済

世界の景気は、緩やかに回復している。

世界の景気は、緩やかに回復している。
アメリカでは景気の回復は緩やかになっている。個人消費は緩やかに増加している。住宅建設は増加傾向にある。設備投資の減少幅は縮小しており、非軍需資本財受注は増加している。生産は緩やかに増加している。雇用は持ち直しているものの、失業率は上昇した。物価は安定している。
アジアをみると、景気は回復している。中国では、景気の拡大テンポはやや高まっている。韓国、タイでは、景気は拡大している。台湾、シンガポール、マレイシアでは、景気は回復している。
ヨーロッパをみると、(1)ユーロ圏では、景気は持ち直している。ドイツでは、景気は緩やかに持ち直している。フランスでは、景気は着実に持ち直している。(2)イギリスでは、景気は持ち直している。
金融情勢をみると、ドルは、アメリカの貿易収支赤字の拡大、株価の下落や経済の先行き懸念等から、6月中旬以降大幅に減価した。アメリカの株価は、企業会計不信の高まりや企業業績予想の下方修正、新たなテロへの懸念等から6月を通じて下落基調で推移した。また、その他の主要な株式市場でも株価は下落基調で推移した。アメリカの長期金利は、証券市場における米国債への資金シフト等から6月前半まで下落し、その後おおむね横ばいで推移した。台湾では6月下旬に利下げを実施した。
国際商品市況をみると、原油価格は6月上旬は弱含んだものの、その後はアメリカの原油在庫の減少やOPEC臨時総会での減産継続決定等から上昇基調で推移した。
世界経済の先行きについては、このところの世界的な株安やドル安が今後の景気回復に不透明感を増している。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(需要側、内閣府試算値、後方3ヶ月移動平均)は、平成14年4月(速報値)季節調整済3ヶ月前比1.0%増の後、5月(速報値)は同0.4%増となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベースにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペーパー (https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、4月季節調整済前月比2.0%増の後、5月(速報値)は同3.3%減(前年同月比1.6%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、5月(速報値)は季節調整済前月比2.5%減(前年同月比0.8%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、5月(速報値)は季節調整済前月比1.3%増(前年同月比3.0%減)となった。また、百貨店販売額は、5月(速報値)は、前年同月比1.9%減(店舗調整後)(季節調整済前月比1.5%減(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、5月は、前年同月比0.8%減(店舗調整後)(季節調整済前月比1.2%増(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、5月前年同月比8.7%増の後、6月(速報値)は同0.5%減となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、4月前年同月比10.1%減の後、5月は同1.6%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額の5月は、前年同月比で国内旅行が0.2%増、海外旅行が同6.2%減となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、12月前期差0.2ポイント悪化の後、3月同1.5ポイント改善となった。

<設備投資>

平成14年1-3月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比で5.2%減(前年同期比16.8%減)となっており、うち製造業では同9.3%減(同27.8%減)、非製造業では同3.1%減(同11.0%減)となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、季節調整済前月比で4月は9.0%減(前年同期比18.9%減)の後、5月は同12.3%増(同10.0%減)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成14年度設備投資計画は、製造業で前年度比8.9%減、非製造業で同5.2%減となっており、全産業では同6.7%減となっている。また、中小企業では製造業で同17.4%減、非製造業で同6.7%減となっており、全産業では同9.3%減となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、4月は前年同月比0.3%増の後、5月は16.0%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で4月は8.4%増(前年同月比17.9%減)の後、5月は同0.2%増(同16.6%減)となり、下げ止まりつつある。なお、平成14年4-6月期(見通し、3月時点調査)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で0.3%減(前年同期比19.9%減)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、季節調整済前月比で4月は8.7%増(前年同月比13.7%減)の後、5月は同0.5%増(同16.5%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成13年1-3月期は5.4%減、4-6月期は0.9%減、7-9月期は4.0%増、10-12月は3.4%減、平成14年1-3月期は0.0%減、4月は2.5%増、5月は11.3%増となった。内訳をみると、公庫持家の着工(同)は、平成13年1-3月期は23.4%減、4-6月期は20.9%減、7-9月期は4.6%減、10-12月は16.4%減、平成14年1-3月期は25.4%減、4月は2.3%増、5月は8.5%減となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、平成13年1-3月期は10.8%減、4-6月期は4.5%増、7-9月期は12.0%増、10-12月は12.3%減、平成14年1-3月期は12.1%増、4月は6.4%減、5月は22.5%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成13年1-3月期は10.1%減、4-6月期は3.3%減、7-9月期は5.8%増、10-12月は3.0%減、平成14年1-3月期は3.6%減、4月は2.8%増、5月は7.2%増となった。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109、12月104、平成14年は、2月104、4月114となった。

<公共投資>

平成13年度の国の一般会計(2次補正後)における公共事業関係費は、前年度補正後予算と比較して13.7%減となっている。ただし、平成13年度第2次補正予算においては、産業投資特別会計社会資本勘定における「改革推進公共投資」特別措置の実施により、国費で公共事業1.5兆円、施設費1兆円、計2.5兆円の社会資本整備のための無利子貸付を行い、事業規模で4.1兆円程度を確保することととしている。公共事業関係費に、施設費と今回の「改革推進公共投資」国費分を加えた公共投資関連予算ベースでみると、ほぼ前年度並みを確保している。なお、平成14年度予算においては、施設費を含む公共投資関係費について、前年度比10.7%減と規模を縮減しつつ、「予算編成の基本方針」の重点7分野に重点化している。
地方の予算についてみると、総務省がまとめた普通会計予算(9月補正後)ベースでは、普通建設事業費は、都道府県で前年度比5.7%減、政令指定都市で同9.5%減、両者を合わせると同6.2%減となっている。また、「日経地域情報」調査によれば、一般会計予算(当初)ベースの普通建設事業費は、都道府県で前年度比2.4%減、全市で同3.1%減、特別区で同6.8%減となっており、これらを単純合計すると前年度比2.7%減となる(骨格予算を編成した地方公共団体などを除く)。なお、平成14年度地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比10.0%減としつつ、国の歳出予算と歩を一にして歳出の徹底した見直しと重点的な配分を行うこととしている。また、時事通信社調査によれば、普通建設事業費は、都道府県で前年度比9.8%減、政令指定都市で同12.9%減、中核市で同7.8%減、その他の県庁所在市で同12.6%減となっており、これらを単純合計すると、前年度比10.1%減となっている。(骨格予算を編成した地方公共団体などを除く。)
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で3月7.3%減の後、4月6.7%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で4月18.7%減の後、5月15.6%増となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で4月3.8%減の後、5月3.4%増となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で4月1.6%増の後、5月は8.3%増(前年同月比14.8%増)となった。また、前期比で10-12月期0.5%減の後、1-3月期は6.4%増(前年同期比3.0%減)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で4月8.7%増の後、5月1.5%増(前年同月比2.5%減)となった。また、前期比で10-12月期1.4%増の後、1-3月期は1.1%減(前年同期比5.6%減)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、3月5,857億円の後、4月は6,257億円となり、通関収支差(季節調整値)は、4月7,747億円の後、5月は9,076億円となった。

<生産・出荷・在庫>

5月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、電気機械や一般機械等が増加したことから、前月比3.9%増となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で6月は化学工業や電気機械等により0.0%増の後、7月は電気機械や鉄鋼等により0.3%減になると見込まれている。
5月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比0.2%増となった。また、4月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は98.4となっている。
4月の第3次産業活動指数(季節調整値、速報)は、サービス業、運輸・通信業等が減少した結果、前月比1.5%減となった。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、1-3月期の経常利益は全産業で前年同期比14.6%減、製造業は42.2%減、非製造業は6.9%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、平成14年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比0.2%、下期は同30.2%、通期では前年比16.1%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は14%ポイント改善して△17%ポイント、中小企業は7%ポイント改善して△39%ポイント、全規模合計では9%ポイント改善して△32%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、5月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,730件(前年同月比3.9%増)、負債総額は13,353億円(同32.8%増)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,696件(同1.6%減)、負債総額は10,846億円(同6.2%増)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、上場企業1件を含む110件(同23.5%増)となっており、主な大型倒産としては、東証1部上場の製紙メーカーの日本加工製紙(負債693億円)、ゴルフ場・ホテル経営の川奈ホテル(同1,721億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、5月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.2%ポイント上昇し、5.4%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差11万人増の358万人となった。求職理由別完全失業者数(原数値)は、非自発的な離職による者は、4月161万人(前年同月差50万人増)の後、5月は152万人(同50万人増)となった。自発的離職による者は、4月104万人(同18万人減)の後、5月は121万人(同1万人減)となった。
労働力調査によると、5月の雇用者数(季節調整値)は、男女計で前月比0.9%減の5,302万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、4月季節調整済前月比6.8%増の後、5月は同1.4%増(前年同月比0.0%減)となった。有効求人数は、4月同4.5%増の後、5月は同1.2%増(同6.6%減)となった。新規求職件数は、4月同12.1%増の後、5月は同3.9%減(同14.0%増)となった。有効求職者数は、4月同1.8%増の後、5月は同0.5%増(同9.7%増)となった。新規求人倍率(季節調整値)は4月0.90倍の後、5月0.95倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、4月0.52倍の後、5月0.53倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では4月季節調整済前月比4.3%増(前年同月比2.7%減)の後、5月は同2.3%増(同0.4%増)(速報値)となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」によると、企業の雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では、3月調査の20%ポイントから、6月調査では18%ポイントとなった。製造業では、3月調査の31%ポイントから、6月調査では25%ポイントとなった。非製造業では、3月調査の12%ポイントから、6月調査では13%ポイントとなった。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では4月季節調整済前月比0.1%増(前年同月比1.4%減)の後、5月は同0.5%減(同1.8%減)(速報値)となった。

<物価>

日本銀行「卸売物価指数」の輸出物価(円ベース)は、6月は前月比1.7%の下落(前年同月比0.4%下落)、4-6月平均の3ヶ月前比(1-3月平均対比、以下同じ)は2.0%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、6月は前月比1.4%の下落(前年同月比2.3%下落)、4-6月平均の3ヶ月前比は0.5%の上昇となった。また、国内卸売物価は、6月は、前月比保合い(前年同月比1.0%下落)、3ヶ月前比は保合いとなった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の5月の企業向けサービス価格は前年同月比1.1%の下落(前月比0.3%下落)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、5月は前年同月比0.8%の下落(季節調整済前月比保合い)、3-5月平均の前年同期比は0.8%の下落となった。一般サービスは、5月は前年同月比0.2%の下落、3-5月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、5月は前年同月比1.8%の下落、3-5月平均の前年同期比は2.0%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、6月は前年同月比1.0%の下落(季節調整済前月比保合い)、4-6月平均の前年同期比は1.1%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、6月は、0.001~0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、6月は、0.07~0.09%台で推移した。10年物国債流通利回りは、6月は、1.2%台後半から1.3%台後半で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、6月末には1,024ポイントとなった。日経平均株価は、6月末には10,621円となった。
広義流動性は、6月(速報)は前年同月比1.7%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、6月(速報)は前年同月比4.5%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.5%減)となった。6月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債の発行は無かった。また、国内公募事業債の起債実績は、4,850億円(銀行起債は900億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、5月は前月比で短期は0.072%ポイント上昇し、長期は0.237%ポイント低下したことから、総合では0.032%ポイント低下し1.598%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、資金繰り判断、金融機関の貸出態度ともに、やや改善の動きが見られる。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の6月の現状判断DIは、前月を3.3ポイント下回り、42.9となった。先行き判断DIは、前月を2.4ポイント下回り、47.3となった。