月例経済報告(平成13年11月)

―景気は、一段と悪化している。―

平成13年11月14日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、一段と悪化している。

  • 個人消費は、弱含んでいる。
  • 失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。
  • 輸出、生産が大幅に減少し、企業収益、設備投資も減少している。

先行きについては、米国における同時多発テロ事件等の影響もあり、世界経済が同時的に減速するなど、懸念が強まっている。

(政策の基本的態度)

政府は、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」に基づき、構造改革の道筋を示す「改革工程表」をとりまとめた。さらに、構造改革を強力かつ迅速に遂行するため、先行して決定・実施すべき施策を10月26日に「改革先行プログラム」として決定したところであり、その早急な実施に努めることとしている。これを受けて平成13年度補正予算を11月9日に国会に提出した。こうした措置を講ずるほか、経済財政諮問会議において、内外の情勢を絶えず監視・分析し、さまざまな状況の変化に、構造改革の推進を始めとする新たな政策対応ができるよう予め検討している。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、弱含んでいる。

消費総合指数をみると、このところ弱い動きが続いている。
また、需要側統計である家計調査でみると、実質消費支出は、平成13年9月は前月を下回り、このところ弱い動きが続いている。
販売側統計をみると、小売業販売額やチェ-ンストア販売額は、依然として弱い動きが続いている。百貨店販売額は、秋物衣料に動きがみられたことなどにより、前年を上回った。
耐久消費財についてみると、新車販売台数は、これまで好調に推移していた新型車の受注減により前年を下回り、弱い動きが続いている。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っていることなどから、弱い動きが続いている。
旅行は、海外旅行は大幅に減少し、国内旅行も前年を下回っている。
こうした需要側と販売側の動向を総合してみると、個人消費は、弱含んでいる。
個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期給与は引き続き前年を下回っており、弱い動きが続いている。現金給与総額は引き続き前年を下回っている。
消費者マインドは、雇用環境の悪化等により悪化傾向にある。
なお、米国における同時多発テロ事件等の影響については、消費者マインドの悪化傾向に寄与した可能性や、海外旅行の大幅な減少が考えられる。

設備投資は、減少している。

設備投資は、平成12年中は増加基調が続き、景気を支える要素であったが、生産の減少、企業収益の鈍化等を背景に平成13年に入り頭打ちに転じ、このところ減少している。「法人企業統計季報」でみると、4-6月期の設備投資は、減少している。大中堅企業について「法人企業動向調査」でみると、7-9月期(実績見込み)は、製造業、非製造業ともに減少している。また、機械設備投資の参考指標である資本財出荷は、年明け以降減少を続けている。
設備投資の今後の動向については、日銀短観の平成13年度設備投資計画において非製造業を中心に減少が見込まれていること、機械設備投資の先行指標である機械受注が1-3月期以降減少基調で推移し10-12月期も減少の見通しとなっていることなどからみて、減少が続くものとみられる。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。

住宅建設は、平成11年以降おおむね年率120万戸前後で推移していたが、昨年堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したことを主因として、年明け以降弱含み、平成13年4-6月期は115万戸程度となり、前期比で2四半期連続の減少となった。この背景としては、雇用・所得環境が厳しさを増していること、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることがあると考えられる。7-9月期は年率120万戸を上回ったが、これは、マンションの着工が大幅に増加したことなどによる。
先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少していることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。平成13年度当初における公共事業関連予算をみると、国の公共事業関係費は前年度に近い予算現額を確保しているものの、地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。
このような状況を反映して、7-9月期の公共工事請負金額は、引き続き前年を下回った。四半期での前年割れは、2年半にわたっている。また、大手50社受注額も3四半期連続で前年比マイナスとなっている。ただし、いずれも1-3月期、4-6月期に比較して、マイナス幅は順次縮小している。
10-12月期の公共投資については、地方の投資的経費の減少傾向が続いていることなどを踏まえると、引き続き前年を下回ると考えられる。

輸出、輸入は、ともに大幅に減少している。貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。

輸出は、世界経済の減速を背景として、電気機器や一般機械などが減少していることから、大幅に減少している。地域別にみると、アジア、EU向けは減少している。アメリカ向けは、自動車輸出がこのところ増加しているものの、全体の基調としては減少している。米国における同時多発テロ事件等が世界経済に与える影響に対する懸念が強まっており、世界経済の減速が長期化した場合、これが我が国輸出のさらなる下押し要因として作用するものとみられる。
輸入は、内需の弱さを反映して大幅に減少している。品目別では、IT関連財など機械機器が大幅に減少している。地域別にみると、機械機器の減少を主因にアメリカからの輸入は大幅に減少している。アジアからの輸入も、これまで堅調であった中国からの輸入が減少傾向にあるなど、アジア全体でも減少している。EUからの輸入も、減少傾向にある。
国際収支をみると、輸出・輸入数量ともに大幅に減少していることから、貿易・サ-ビス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。

2.企業活動と雇用情勢

生産は大幅に減少し、在庫率は高水準にある。

鉱工業生産は、今年に入ってから3四半期連続で大幅に減少している。輸出の減少等により、IT関連品目の生産を減少させていることなどが背景にある。
生産の先行きについては、10月は減少、11月は増加が見込まれている。また、在庫が減少しているものの、在庫率は依然として高い水準にあること及び米国における同時多発テロ事件等の影響を含め、今後の需要動向が不透明であることは、生産の先行きに関して懸念すべき点である。
一方、第3次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。
また、農業生産の動向をみると、米の作況は「やや良」となっている。

企業収益は、減少している。また、企業の業況判断は、製造業を中心に大幅に悪化しており、一層厳しさが増している。倒産件数は、やや高い水準となっている。

企業収益は平成11年以降改善が続いていたが、「法人企業統計季報」によると、人件費が増加してきたこと、売上高の増収幅が縮小してきたこと等により、全体としては頭打ちとなっており、平成13年4-6月期には電気機械を中心に製造業では減益に転じた。また日銀短観によると、平成13年度は増益を見込んでいた下期も減益の見込みに転じ、年度を通しても減益の計画となった。「法人企業動向調査」によると7-9月期における大中堅企業の経常利益の判断(前期比「増加」-「減少」)は、「減少」超幅が拡大している。
企業の業況判断について日銀短観をみると、大企業・製造業では電気機械などの加工産業だけではなく、鉄鋼、化学など素材産業も急速に悪化するなど、一層厳しさが増している。また、「法人企業動向調査」で大中堅企業の業界景気の判断をみると、製造業、非製造業ともに悪化している。
また、9月の倒産件数は、東京商工リサ-チ調べで1,592件となるなど、やや高い水準となっている。

雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。

9月の完全失業率は、前月比0.3%上昇し、5.3%とこれまでにない水準となった。これは、雇用者数がサ-ビス業等を除き減少していること、同時に完全失業者数も大きく増加していることによる。完全失業者については、最近増加していた自発的な離職による者に加え、非自発的な離職による者も増加している。
また、新規求人数は、前年同月比、前月比ともに減少している。製造業の残業時間については、11ヶ月連続で前月比減となっている。完全失業者全体に占める失業期間1年以上の者の割合も、増加傾向にある。このように、雇用情勢は厳しさを増している。
賃金の動きをみると、現金給与総額、定期給与は前年を下回っており、弱い動きが続いている。

3.物価と金融情勢

国内卸売物価、消費者物価は、ともに弱含んでいる。

輸入物価は、このところ、契約通貨ベ-ス、円ベ-スともに下落している。国内卸売物価は、平成13年入り後弱含んでいる。最近の動きをみると、技術革新や需要の減少等を背景に、電気機器や化学製品などが値下がりしていることから、下落幅はやや拡大している。また、企業向けサ-ビス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サ-ビスは横ばいとなっているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

金融情勢については、株式相場は、10月は、米国における同時多発テロ事件前の水準まで上昇した。

短期金利についてみると、オ-バ-ナイトレ-トは、10月は、日本銀行による金融緩和措置を反映して、概ね0.002%~0.003%で推移した。2、3ヶ月物は、4月以降、低位での推移が続いており、10月は、ほぼ横ばいで推移した。長期金利は、昨年秋より低下基調で推移してきたが、7月から8月上旬にかけて上昇した後、ほぼ横ばいで推移している。
株式相場は、昨年春より下落基調で推移している。米国における同時多発テロ事件の影響等から、9月中旬には一段と下落した。10月は、米国株価の動向等を背景に、米テロ事件前の水準まで上昇した。
対米ドル円相場は、9月下旬に117円台まで上昇した後、10月下旬には123円台まで下落し、月末にかけて、121円台から122円台で推移した。対ユ-ロ円相場は、6月から7月にかけて109円台に下落した後横ばいで推移し、10月は、109円台から111円台で推移した。
M2+CD(月中平均残高)は、昨年後半以降、おおむね前年同月比2.0%増程度で推移してきたが、年明け以降、郵便貯金からの資金シフト等を受けて、やや伸び率を高めている(10月速報:前年同月比3.6%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、96年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、年明け以降低下傾向にある。

4.海外経済

世界経済は、同時的に減速している。

世界経済は、同時的に減速している。
アメリカの景気は弱い状態となっており、景気後退入りの懸念がある。個人消費は、テロ事件の直接の影響は収まりつつあるが、事件以前にくらべて弱含んでおり、消費者信頼感は大幅に低下している。また、住宅投資は頭打ちとなっており、設備投資が引き続き大幅に減少していることから、内需は減少している。在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し、稼働率が低下している。雇用は大幅に減少しており、失業率は急速に上昇している。
ヨ-ロッパをみると、ドイツでは、景気は減速している。フランスでは、景気の拡大テンポは鈍化している。イギリスでは、景気は緩やかに拡大している。
アジアをみると、中国では、個人消費や固定資産投資が堅調に推移しているが、輸出の伸びが鈍化していることから、このところ景気の拡大テンポは鈍化している。韓国では、生産や輸出が減少するなど、景気は減速している。
金融情勢をみると、ドル、株価ともに堅調に推移したが、月末にはやや弱含んだ。アメリカでは、11月6日のFOMCで短期金利の誘導目標水準が0.50%ポイント引き下げられ、2.00%とされた。これにより、フェデラル・ファンド・レ-トは1961年9月以来の低水準となった。また、ユーロ圏、イギリスでも政策金利がそれぞれ0.50%ポイントずつ引き下げられた。
国際商品市況をみると、世界経済の減速に伴う需要減少懸念などから、原油価格は下落基調で推移した。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(需要側、内閣府試算値、後方3ヶ月移動平均)は、平成13年8月(速報値)季節調整済3ヶ月前比0.6%減の後、9月(速報値)は同0.1%減となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベ-スにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペ-パ-(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、8月季節調整済前月比1.2%減の後、9月(速報値)は同0.3%減(前年同月比3.7%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、9月(速報値)は季節調整済前月比0.1%増(前年同月比2.4%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、9月(速報値)は季節調整済前月比0.2%減(前年同月比2.9%減)となった。また、百貨店販売額は、9月(速報値)は、前年同月比3.0%増(店舗調整後)(季節調整済前月比2.2%増(店舗調整前))となった。
チェ-ンストア販売額(日本チェ-ンストア協会調べ)は、9月は、前年同月比3.9%減(店舗調整後)(季節調整済前月比1.1%増(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、9月は前年同月比2.3%減の後、10月(速報値)は同0.4%減となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、8月前年同月比6.5%減の後、9月は同5.4%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額の9月は、前年同月比で国内旅行が0.3%減、海外旅行が同26.9%減となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では、8月前年同月比2.0%減の後、9月(速報値)は1.2%減(事業所規模30人以上では同0.1%減)となり、うちきまって支給する給与は、9月(速報値)同1.2%減(事業所規模30人以上では同0.1%減)となった。実質賃金は、事業所規模5人以上では、8月前年同月比1.4%減の後、9月(速報値)は同0.4%減(事業所規模30人以上では同0.8%増)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、6月前期差0.7ポイント上昇(改善)の後、9月同4.0ポイント低下(悪化)となった。

<設備投資>

4-6月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業)でみると、季節調整済前期比で1.5%減(前年同期比2.3%増)となっており、うち製造業では同6.4%減(同10.5%増)、非製造業では同0.4%減(同1.8%減)となっている。
7-9月期(実績見込み)の設備投資を内閣府「法人企業動向調査」(大中堅企業)でみると、季節調整済前期比で6.3%減(前年同期比0.3%減)となっており、うち製造業では同10.3%減(同3.6%減)、非製造業では同4.2%減(同1.5%増)となっている。
経済産業省「経済産業統計」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、季節調整済前月比で8月は1.0%減(前年同期比13.8%減)の後、9月は同4.9%減(同16.6%減)となっている。
日本銀行「企業短期経済観測調査」(9月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成13年度設備投資計画は、製造業で前年度比2.8%増、非製造業で同7.0%減となっており、全産業では同3.1%減となった。また、中小企業では製造業で同17.7%減、非製造業で同13.0%減となっており、全産業では同14.3%減となった。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で8月は8.7%増(前年同月比13.4%減)の後、9月は同13.2%減(同11.8%減)となり、減少傾向にある。なお、10-12月期(見通し)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で0.5%減(前年同期比12.1%減)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、季節調整済前月比で8月は10.7%減(前年同月比7.1%減)の後、9月は同8.9%減(同6.5%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成13年1-3月期は5.5%減、4-6月期は1.6%減、7-9月期は6.0%増となった。内訳をみると、公庫持家の着工(同)は、1-3月期は25.6%減、4-6月期は22.5%減、7-9月期は0.8%増となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、1-3月期は12.3%減、4-6月期は1.5%減、7-9月期は25.9%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、1-3月期は9.1%減、4-6月期は5.2%減、7-9月期は9.1%増となった。
住宅金融公庫を利用した持家の着工(全体の新設住宅着工の約15%)の先行指標である公庫への融資申込み戸数(個人向けマイホ-ム新築資金)は、平成12年度第2回募集(受付期間:8月7日~9月22日)に51,192戸(前年同回比42.1%減)となった後、第3回募集(受付期間:10月30日~12月22日)は35,486戸(同4.5%減)、第4回募集(受付期間:1月22日~3月23日)は33,375戸(同11.5%減)となり、低水準にとどまっている。また、平成13年度第1回募集(受付期間:4月23日~5月28日)は28,432戸、第2回募集(受付期間:7月16日~8月27日)は23,009戸、第3回募集(受付期間:9月17日~10月15日)は11,837戸となっている(平成13年度から受付回数が年4回から年6回になったため、単純に比較できない)。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサ-チ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110となっている。

<公共投資>

平成13年度の国の一般会計予算(当初)をみると、公共事業関係費は前年度当初予算とほぼ同額の9.4兆円を確保している。なお、今般国会に提出した平成13年度補正予算(案)においては、当初予算に計上していた公共事業等予備費(3,000億円)については減額補正したものの、災害対策費(3,100億円)等を計上している。
地方の予算についてみると、総務省がまとめた普通会計予算(当初)ベ-スでは、普通建設事業費は、都道府県で前年度比3.3%減、政令指定都市で同6.5%減、両者を合わせると同4.1%減となっている。また、「日経地域情報」調査によれば、一般会計予算(当初)ベ-スの普通建設事業費は、都道府県で前年度比2.4%減、全市で同3.1%減、特別区で同6.8%減となっており、これらを単純合計すると前年度比2.7%減となる(骨格予算を編成した地方公共団体などを除く)。同調査によれば、一般会計予算(9月補正後)ベ-スの普通建設事業費は、都道府県で前年度比5.4%減となっている(補正予算を編成した44道府県ベ-ス)。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で8月4.6%増の後、9月は3.4%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で8月7.6%増の後、9月は14.1%減となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で8月4.1%減の後、9月は9.6%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベ-ス、季節調整値)は、前月比で8月5.8%増の後、9月は4.1%減(前年同月比13.7%減)となった。また、前期比で4-6月期6.2%減の後、7-9月期2.8%減(前年同期比12.9%減)となった。
通関輸入(数量ベ-ス、季節調整値)は、前月比で8月0.5%減の後、9月は7.4%減(前年同月比9.5%減)となった。また、前期比で4-6月期2.9%減の後、7-9月期4.0%減(前年同期比5.0%減)となった。
貿易・サ-ビス収支(季節調整値)の黒字は、8月は2,365億円、通関収支差(季節調整値)は、8月6,323億円の後、9月は7,136億円となった。
米国同時多発テロの影響で、航空便が数日ストップしたことによる航空貨物の輸出・輸入への影響については、輸出(航空貨物)は8月の27.5%減(前年比)に対し9月は27.8%減、輸入(航空貨物)は8月の13.0%減に対し9月は18.7%減と、ともに大幅な減少基調の中の動きであり、内外需の冷え込みの中、テロの直接的な影響は明確にはみられない。

<生産・出荷・在庫>

9月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、輸送機械や電気機械等が減少したことから、前月比2.9%減増となった。また、1-3月期で前期比3.7%減、4-6月期で同4.1%減の後、7-9月期では同4.3%減であった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で10月は鉄鋼や電気機械等により0.5%減の後、11月は電気機械や鉄鋼等により0.7%増になると見込まれている。
9月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比1.3%減となった。また、9月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は115.7となっている。
8月の第3次産業活動指数(季節調整値・速報)は、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業等が減少した結果、前月比0.1%減となった。
平成13年産水稲の全国作況指数(10月15日現在)は、103の「やや良」となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、4-6月期の経常利益は全産業で前年同期比1.0%増、製造業は21.2%減、非製造業は17.1%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査)によると、平成13年度の経常利益は、全規模・全産業で上期前年同期比18.6%の減益の後、下期には同1.1%の減益が見込まれており、通期でも9.2%の減益を見込んでいる。
また、内閣府「法人企業動向調査」(9月調査)によると、7-9月期の大中堅企業の経常利益の判断(前期比「増加」-「減少」)は、全産業で10%ポイント悪化して△32%ポイントとなった。一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、全規模で製造業は13%ポイント悪化して△43%ポイント、非製造業は6%ポイント悪化して△31%ポイント、全産業では9%ポイント悪化して△36%ポイントとなった。
また、内閣府「法人企業動向調査」(9月調査)で、7-9月期の大中堅企業の業界景気の判断(前期比「上昇」?「下降」)をみると、製造業は12%ポイント悪化して△54%ポイントとなり、非製造業は13%ポイント悪化して△44%ポイント、全産業では12%ポイント悪化して△47%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサ-チ「倒産月報」によると、9月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,592件(前年同月比0.4%増)、負債総額は32,949億円(同303.8%減)となっており、帝国デ-タバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,568件(同4.4%増)、負債総額は30,013億円(同287.7%増)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は137件(同82.7%増)となっており、主な大型倒産としては、東証1部上場の大手ス-パ-、マイカル(負債額1兆6,000億円)、マイカル関連で不動産賃貸のマイカル総合開発(同4,225億円)、ホテル経営の日本ビュ-ホテル(同700億円)、大手総合配管機器メ-カ-のベンカン(同567億円)など。上場企業では、店頭(ジャスダック)上場で紳士服小売のはるやまチェ-ン(同128億円)が倒産した(東京商工リサ-チ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」の9月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差22万人増の356万人となった。
求職理由別完全失業者数(原数値)は、非自発的な離職による者は、8月前年同月差6万人増の後、9月は10万人増となった。自発的離職による者は、8月前年同月差10万人の後、9月は18万人増となった。
労働力調査によると、雇用者数は、全産業計では季節調整済前月比で8月0.3%減の後、9月は0.7%減となった(9月前年同月比1.0%減)。産業別雇用者数(原数値)は、建設業は9月前年同月比4.8%減、製造業は同4.4%減、卸売・小売業、飲食店は同2.3%減、サ-ビス業は同5.0%増、運輸・通信業は同0.5%増となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、季節調整済前月比で8月3.8%減の後、9月は4.2%減となった(9月前年同月比8.5%減)。新規求人倍率(季節調整値)は8月1.02倍の後、9月1.00倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、8月0.59倍の後、9月0.57倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では8月季節調整済前月比1.1%減(前年同月比11.4%減)の後、9月は同3.2%減(同14.7%減)(速報値)となった。
労働力調査特別調査(13年8月調査)によると、失業期間1年以上の完全失業者数は92万人、前回調査(13年2月調査)比9万人増となった。完全失業者全体に占める失業機関1年以上の者の割合は27.4%、前回調査の26.1%から1.3%ポイント上昇となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では、8月前年同月比2.0%減の後、9月(速報値)は、1.2%減(事業所規模30人以上では、同0.1%減)となり、うちきまって支給する給与は、9月(速報値)同1.2%減(事業所規模30人以上では同0.1%減)となった。

<物価>

日本銀行「卸売物価指数」の輸出物価(円ベ-ス)は、10月は前月比0.5%の上昇(前年同月比2.8%上昇)、8-10月平均の3ヶ月前比(5-7月平均対比、以下同じ)は2.2%の下落となった。輸入物価(円ベ-ス)は、10月は前月比0.5%の上昇 (前年同月比1.7%上昇)、8-10月平均の3ヶ月前比は3.9%の下落となった。また、国内卸売物価は、10月は夏季電力料金の適用期間終了などにより、前月比0.4%の下落(前年同月比1.1%下落)、3ヶ月前比は0.7%の下落となった。
日本銀行「企業向けサ-ビス価格指数」の9月の企業向けサ-ビス価格指数は前年同月比1.1%の下落(前月比保合い)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、9月は前年同月比0.8%の下落(季節調整済前月比0.5%下落)、7-9月平均の前年同期比は0.8%の下落となった。一般サ-ビスは、9月は前年同月比保合い、7-9月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、9月は前年同月比1.7%の下落、7-9月平均の前年同期比は1.8%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、10月は前年同月比1.0%の下落(季節調整済前月比保合い)、8-10月平均の前年同期比は1.1%の下落となった。

<金融>

無担保コ-ルオ-バ-ナイトレ-トは、10月は、概ね0.002%~0.003%で推移した。3ヶ月物ユ-ロ円TIBORは、10月は0.08%台で推移した。10年物国債流通利回りは、10月は1.3%台後半で推移した後、中下旬にかけて1.3%台前半で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、5月上旬には1,440ポイントまで上昇した後、10月末には1,059ポイントとなった。日経平均株価は、5月上旬には14,529円まで上昇した後、10月末には10,366円となった。
対米ドル円相場はインタ-バンク直物中心相場、対ユ-ロ円相場はインタ-バンク17時時点の相場。
広義流動性は、10月(速報)は前年同月比2.1%増となった。マネタリ-ベ-スは、日銀当座預金が増加したことから、10月は前年同月比14.3%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、10月(速報)は前年同月比4.1%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.9%減)となった。10月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が400億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、7,050億円(うち銀行起債分3,200億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、8月は前月比で短期は0.030%ポイント低下し、長期は0.142%ポイント低下したことから、総合では0.062%ポイント低下し1.648%となった。