月例経済報告(平成13年9月)

―景気は、引き続き悪化している。―

平成13年9月13日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、引き続き悪化している。

  • 個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、一部で弱い動きがみられる。
  • 失業率は過去最高の5%台となり、求人や残業時間も弱含んでいる。
  • 輸出、生産が大幅に減少し、設備投資も減少している。

先行きについては、世界経済の一層の減速や在庫率が高水準にあることなど、懸念すべき点がみられる。

(政策の基本的態度)

政府は、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」に従い、日本経済の再生のための構造改革を断行することとしており、構造改革を強力かつ迅速に遂行するため、先行して決定・実施すべき施策を「改革先行プログラム」としてとりまとめ、平成13年度補正予算を編成する。

なお、日本銀行においては、8月14日に金融市場調整方針を変更し、日本銀行当座預金残高を6兆円程度に増額するとともに、長期国債の買い入れを月6千億円ペースに増額すること等を決定した。

各論

1.消費・投資などの需要動向

平成13年4-6月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間最終消費支出がプラスに寄与したものの、民間企業設備、民間住宅がマイナスに寄与したことなどから、前期比で0.8%減(年率3.2%減)となった。また、名目GDPの成長率は前期比で2.7%減となった。

個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、一部で弱い動きがみられる。

消費総合指数をみると、このところ減少が続いている。
また、需要側統計である家計調査でみると、実質消費支出は、平成13年7月は前月を上回ったものの、このところ弱い動きが続いている。
販売側統計をみると、小売業販売額やチェーンストア販売額は、依然として弱い動きが続いている。百貨店販売額は、夏物クリアランスセールや中元ギフトセールの開催時期を早めたことの反動などにより、前年を下回った。
耐久消費財の販売については、新車販売台数は、新型車が好調に推移していることから、前年を上回った。一方、家電販売金額は、エアコンが引き続き大幅に増加したものの、パソコンの前年比減少幅が大きく拡大していることなどから、弱い動きが続いている。
旅行は、海外旅行は前年をやや下回ったものの、国内旅行は上回っており、総じてみると好調な動きとなっている。
こうした需要側と販売側の動向を総合してみると、個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、一部で弱い動きがみられる。
個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期給与は引き続き前年を下回っており、弱い動きが続いている。また、現金給与総額は特別給与の増加により前年比横ばいとなった。

設備投資は、減少している。

設備投資は、平成12年中は増加基調が続き、景気を支える要素であったが、生産の減少、企業収益の鈍化等を背景に平成13年に入り頭打ちに転じ、このところ減少している。「法人企業統計季報」でみると、4-6月期の設備投資は、減少している。また、機械設備投資の参考指標である資本財出荷は、年明け以降減少を続けている。
設備投資の今後の動向については、日銀短観の平成13年度設備投資計画において非製造業を中心に減少が見込まれていること、機械設備投資の先行指標である機械受注が1-3月期以降減少基調で推移し7-9月期も減少の見通しとなっていることなどからみて、減少が続くものとみられる。

住宅建設は、減少している。

住宅建設は、平成11年以降おおむね年率120万戸前後で推移してきたが、平成13年4-6月期は115万戸程度となり、前期と比べ2四半期連続で減少している。これは、昨年堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、年明け以降公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移していることが主因である。この背景としては、資産価格が長期的に下落傾向にある中、雇用・所得環境が厳しさを増していることなど、消費者の住宅取得マインドが低下していることが考えられる。7月は年率122.7万戸となり単月では水準を戻したが、これは共同建分譲住宅の着工が前月と比べ大幅に増加したことによる。
先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少していることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。工事の前払金保証契約実績に基づく公共工事請負金額は、昨年6月以降3月まで継続して前年を下回り、年度末にかけて発注が集中する1-3月期の受注においても、前年を大きく下回る指標がみられた。
平成13年度当初における公共事業関連予算をみると、国の公共事業関係費は前年度に近い予算現額を確保しているものの、地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。
このような状況を反映して、4-6月期の受注額、請負金額は引き続き前年を下回った。ただし、7月の請負金額は前年を上回ったほか、大手50社受注額も前年に近い額となるなど、このところマイナス幅は縮小している。
7-9月期の公共投資については、予算状況や執行方針などを踏まえると、引き続き前年を下回る可能性がある。

輸出は、大幅に減少している。輸入は、減少している。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。

輸出は、世界経済の減速を背景として、半導体等電子部品などの電気機器に加え一般機械などが減少していることから、大幅に減少している。地域別にみると、アジア、アメリカ、EUのいずれの地域向けも減少している。今後も、世界経済の減速が続いた場合、これが我が国輸出の下押し要因として作用するものと見込まれる。
輸入は、内需の弱さを反映して、半導体等電子部品などの機械機器を中心に減少している。地域別にみると、アジアからの輸入はアジアNIEsからの輸入が機械機器を中心に大幅に減少するなど減少傾向で推移しており、アメリカ・EUからの輸入も減少している。
国際収支をみると、輸出・輸入数量ともに減少しているが、輸出数量が輸入数量の減少を上回って減少していることを要因として、貿易・サービス収支の黒字は、減少している。

2.企業活動と雇用情勢

生産は大幅に減少し、在庫率は高水準にある。

鉱工業生産は、今年に入ってから2期連続で大幅に減少し、7月も減少した。輸出の減少等により、IT関連品目の生産が減少していることが主因である。
生産の先行きについては、8月は増加、9月は減少が見込まれている。また、IT関連品目を中心に在庫が減少しているものの、在庫率は依然として高い水準にあることは、生産の先行きに関して懸念すべき点である。
一方、第3次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。

企業収益は、頭打ちとなっており、電気機械を中心に製造業では減益となっている。また、企業の業況判断は、製造業を中心に引き続き悪化している。倒産件数は、やや高い水準となっている。

企業収益は平成11年以降改善が続いていたが、「法人企業統計季報」によると、人件費が増加してきたこと、売上高の増収幅が縮小してきたこと等により、全体としては頭打ちとなっている。さらに、平成13年4-6月期には電気機械を中心に製造業では減益に転じており、日銀短観によると平成13年度上期は全産業で減益に転じる見込みとなっている。
企業の業況判断について日銀短観をみると、大企業・非製造業では横ばいとなったが、電気機械を中心に製造業で引き続き大幅に悪化するなど、厳しさがみられる。また、「法人企業動向調査」で大中堅企業の業界景気の判断をみると、製造業、非製造業ともに悪化している。

また、7月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで1,534件となるなど、やや高い水準となっている。

雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率が過去最高の5%台となり、求人や残業時間も弱含んでいる。

7月の完全失業率は、前月比0.1%上昇し、5.0%と過去最高になった。
他にも、雇用情勢の厳しさを示す動きが引き続きみられる。新規求人数は前月比、前年同月比とも増加に転じたものの、新規求職件数が大幅に増加したため、新規求人倍率、有効求人倍率とも前月比低下となった。製造業の残業時間については、9ヶ月連続で前月比減となっている。雇用者数は、全体では概ね横這いで推移しているものの、製造業において弱い動きがみられる。「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合も、4-6月期は上昇している。

3.物価と金融情勢

国内卸売物価、消費者物価は、ともに弱含んでいる。

輸入物価は、このところ、契約通貨ベース、円ベースともに下落している。国内卸売物価は、平成13年入り後弱含んでいる。最近の動きをみると、石油・石炭製品などは値上がりしているものの、電気機器や非鉄金属などが値下がりしていることから、下落している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、外食の下落の効果が一巡したことなどにより一般サービスは前年と比べ横ばいとなっているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。(なお、消費者物価指数は平成12年基準への改定が実施され、平成13年入り後の前年比下落率が旧基準に比べ0.3%ポイント程度拡大している。)
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

金融情勢については、株式相場は、7月以降、一段と下落している。

短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、8月は、日本銀行による金融緩和措置を反映して、0.01%近傍で推移した。2、3ヶ月物は、4月以降、低位での推移が続いており、8月は、日銀の金融緩和拡大を受けてさらに低下した。長期金利は、昨年秋より低下基調で推移してきたが、国債の需給悪化を懸念する市場の見方などもあって、7月から8月上旬にかけて上昇した後、横ばいで推移した。
株式相場は、昨年春より下落基調で推移している。3月中旬から5月上旬にかけて一旦上昇したものの、7月以降、企業業績の悪化を懸念する市場の見方などもあって、一段と下落している。
対米ドル円相場は、6月以降、円安基調で推移し、7月上旬には126円台まで下落したが、その後上昇に転じ、8月末にかけて118円台に上昇した。対ユーロ円相場は、6月から7月にかけて109円台に下落した後、8月は108円台から110円台で推移した。
M2+CD(月中平均残高)は、昨年後半以降、おおむね前年同月比2.0%増程度で推移してきたが、年明け以降、郵便貯金からの資金シフト等を受けて、やや伸び率を高めている(8月速報:前年同月比3.4%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、96年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷などを背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和などを背景に、年明け以降低下傾向にある。

4.海外経済

アメリカの景気は、弱い状態となっている。アジアでは景気は減速している。

世界経済をみると、全体として成長に減速がみられる。
アメリカでは、企業収益の悪化から設備投資が大幅に減少する一方で、個人消費に底堅い動きがみられ、住宅投資が増加していることなどから、内需は緩やかながら増加している。在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し、稼働率が低下している。雇用は製造業等を中心に減少しており、失業率は上昇している。景気は、弱い状態となっている。先行きについては、所得税減税の効果が注目される一方、輸出の減少などが懸念材料となっている。
ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は減速している。フランスでは、景気は安定した拡大を続けているものの、企業の先行き見通しは悪化している。イギリスでは、景気の拡大テンポは鈍化している。
アジアをみると、中国では、個人消費や固定資産投資が堅調に推移しているが、このところ輸出の伸びが鈍化していることから、景気の拡大テンポはやや鈍化している。韓国では、生産や輸出が減少するなど、景気は減速している。
金融情勢をみると、世界的に株安傾向が強まっている。ドルは、7月から8月中旬にかけて年初来のドル高傾向をやや修正する動きがみられた。アメリカ、ユーロ圏では、それぞれ8月21日、30日に、いずれも0.25%ポイントの利下げが決定された。
国際商品市況をみると、CRB先物指数は、世界経済の減速による需要減を受けて、1年10か月ぶりに200ポイントを割り込んだ。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(需要側、内閣府試算値、後方3ヶ月移動平均)は、平成13年6月(速報値)季節調整済3ヶ月前比1.5%減の後、7月(速報値)は同0.6%減となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベースにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペーパー (https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、6月季節調整済前月比2.7%減の後、7月(速報値)は同1.5%増(前年同月比1.6%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、7月(速報値)は季節調整済前月比0.6%増(前年同月比1.0%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、7月(速報値)は季節調整済前月比0.6%減(前年同月比2.7%減)となった。また、百貨店販売額は、7月(速報値)は、前年同月比1.6%減(店舗調整後)(季節調整済前月比5.3%減(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、7月は、前年同月比4.7%減(店舗調整後)(季節調整済前月比0.5%減(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、7月は前年同月比7.3%増の後、8月(速報値)は同5.5%増となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、6月前年同月比0.0%増の後、7月は同4.3%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額の7月は、前年同月比で国内旅行が3.2%増、海外旅行が同0.2%減となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では、6月前年同月比0.9%減の後、7月(速報値)は横ばい(事業所規模30人以上では同1.4%増)となり、うちきまって支給する給与は、7月(速報値)同0.5%減(事業所規模30人以上では同0.5%増)となった。特別に支払われた給与は、7月(速報値)同0.8%増(事業所規模30人以上では同3.2%増)となった。実質賃金は、事業所規模5人以上では、6月前年同月比0.2%減の後、7月(速報値)は同0.9%増(事業所規模30人以上では同2.4%増)となった。

<設備投資>

4-6月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業)でみると、季節調整済前期比で1.5%減(前年同期比2.3%増)となっており、うち製造業では同6.4%減(同10.5%増)、非製造業では同0.4%減(同1.8%減)となっている。
経済産業省「経済産業統計」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、季節調整済前月比で6月は3.5%減(前年同期比5.7%減)の後、7月は同6.7%減(同8.5%減)となっている。
日本銀行「企業短期経済観測調査」(6月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成13年度設備投資計画は、製造業で前年度比7.7%増、非製造業で同7.1%減となっており、全産業では同1.3%減となった。また、中小企業では製造業で同20.4%減、非製造業で同18.4%減となっており、全産業では同18.9%減となった。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で6月は6.6%減(前年同月比9.5%減)の後、7月は1.6%減(同5.1%減)となり、全体として減少傾向にある。なお、7-9月期(見通し)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で5.1%減(前年同期比8.6%減)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、季節調整済前月比で6月は2.1%減(前年同月比8.9%減)の後、7月は同21.1%増(同22.1%増)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成13年1-3月期は5.5%減、4-6月期は1.6%減、6月は7.9%減、7月は11.0%増となった。内訳をみると、公庫持家の着工(同)は、1-3月期は25.6%減、4-6月期は22.5%減、6月は15.6%増、7月は7.4%減となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、1-3月期は12.3%減、4-6月期は1.5%減、6月は0.2%減、7月は38.3%増となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、1-3月期は9.1%減、4-6月期は5.2%減、6月は4.6%減、7月は11.7%増となった。
住宅金融公庫を利用した持家の着工(全体の新設住宅着工の約15%)の先行指標である公庫への融資申込み戸数(個人向けマイホーム新築資金)は、平成12年度第2回募集(受付期間:8月7日~9月22日)に51,192戸(前年同回比42.1%減)となった後、第3回募集(受付期間:10月30日~12月22日)は35,486戸(同4.5%減)、第4回募集(受付期間:1月22日~3月23日)は33,375戸(同11.5%減)となり、低水準にとどまっている。また、平成13年度第1回募集(受付期間:4月23日~5月28日)は28,432戸、第2回募集(受付期間:7月16日~8月27日)は23,009戸となっている(平成13年度から受付回数が年4回から年6回になったため、単純に比較できない)。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117となっている。

<公共投資>

平成13年度の国の一般会計予算(当初)をみると、公共事業関係費は前年度当初予算とほぼ同額の9.4兆円を確保している一方、公共事業等予備費については前年度5,000億円に対して本年度は3,000億円の計上となっている(昨年度は7月25日に使用の閣議決定)。
地方の予算についてみると、総務省がまとめた普通会計予算(当初)ベースでは、普通建設事業費は、都道府県で前年度比3.3%減、政令指定都市で同6.5%減、両者を合わせると同4.1%減となっている。また、「日経地域情報」調査によれば、一般会計予算(当初)ベースの普通建設事業費は、都道府県で前年度比2.4%減、全市で同3.1%減、特別区で同6.8%減となっており、これらを単純合計すると前年度比2.7%減となる(骨格予算を編成した地方公共団体などを除く)。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で6月2.0%増の後、7月は同17.0%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で6月7.3%減の後、7月は2.9%減となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で6月7.1%減の後、7月は4.7%増となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で6月0.3%減の後、7月は4.6%減(前年同月比12.3%減)となった。また、前期比で1-3月3.1%減の後、4-6月6.2%減(前年同期比11.1%減)となった。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で6月12.1%減の後、7月は3.6%増(前年同月比0.2%増)となった。また、前期比で1-3月2.0%減の後、4-6月2.9%減(前年同期比0.3%減)となった。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、6月は184億円、通関収支差(季節調整値)は、6月6,482億円の後、7月3,338億円となった。

<生産・出荷・在庫>

7月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、電気機械や輸送機械等が減少したことから、前月比2.8%減となった。また、1-3月期で前期比3.7%減の後、4-6月期では同4.1%減であった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で8月は電気機械や輸送機械等により4.3%増の後、9月は輸送機械や一般機械等により3.0%減になると見込まれている。
7月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比1.4%減となった。また、7月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は112.9となっている。
6月の第3次産業活動指数(季節調整値・速報)は、卸売・小売業,飲食店やサービス業等が増加した結果、前月比0.6%増となった。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、4-6月期の経常利益は全産業で前年同期比1.0%増、製造業は21.2%減、非製造業は17.1%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、全規模・全産業では、平成13年度上期の経常利益は前年同期比7.5%の減益の後、平成13年度下期には同8.7%の増益が見込まれている。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、全規模で製造業は11%ポイント悪化して△30%ポイント、非製造業は1%ポイント悪化して△25%ポイント、全産業では5%ポイント悪化して△27%ポイントとなった。また、内閣府「法人企業動向調査」(6月調査)で企業の業界景気の判断(3か月前との業況比較で「上昇」-「下降」)をみると、製造業は11%ポイント悪化して△38%ポイントとなり、非製造業は5%ポイント悪化して△29%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、7月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,534件(前年同月比8.2%減)、負債総額は8,718億円(同79.5%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,567件(同3.1%減)、負債総額は7,470億円(同82.5%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は127件(同0.8%減)となっており、主な大型倒産としては、ゴルフ場経営のナイス・ミドル・スポーツ倶楽部(負債額503億円)、不動産業のアポロ不動産(同340億円)、東洋建物管理(同213億円)など(東京商工リサーチ調べ)。上場企業の倒産はなし。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」の7月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差8万人増の338万人となった。7月の完全失業率(季節調整値)は、前月比0.1%上昇し5.0%となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、季節調整済前月比で6月6.8%減の後、7月は5.5%増となった(7月前年同月比3.1%増)。新規求職申込件数は、季節調整済前月比で6月6.1%減の後、7月は8.7%増となった(7月前年同月比8.2%増)。新規求人倍率(季節調整値)は6月1.07倍の後、7月1.04倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、6月0.61倍の後、7月0.60倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では6月季節調整済前月比2.8%減(前年同月比8.2%減)の後、7月は同1.6%減(同10.2%減)(速報値)となった。
労働力調査によると、雇用者数は、全産業計では季節調整済前月比で6月0.1%減の後、7月は0.1%減となった(7月前年同月比0.5%増)。製造業の雇用者数(原数値)は、6月前年同月比1.7%減の後、7月同3.6%減となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合(調査産業計)は、平成13年1-3月期の23%から平成13年4-6月期は26%となった。

<物価>

日本銀行「卸売物価指数」の輸出物価(円ベース)は、8月は前月比1.6%の下落(前年同月比3.2%上昇)、6-8月平均の3ヶ月前比(3-5月平均対比、以下同じ)は1.1%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、8月は前月比3.3%の下落(前年同月比5.0%上昇)、6-8月平均の3ヶ月前比は0.6%の下落となった。また、国内卸売物価は、8月は前月比0.1%の下落(前年同月比0.9%下落)、3ヶ月前比は0.1%の下落となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の7月の企業向けサービス価格指数は前年同月比0.9%の下落(前月比0.1%上昇)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、7月は前年同月比0.9%の下落(季節調整済前月比保合い)、5-7月平均の前年同期比は0.9%の下落となった。一般サービスは、7月は前年同月比0.1%の上昇、5-7月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、7月は前年同月比1.9%の下落、5-7月平均の前年同期比は1.8%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、8月は前年同月比1.2%の下落(季節調整済前月比0.1%上昇)、6-8月平均の前年同期比は1.1%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、8月は0.01%近傍で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、8月中旬まで0.06%台で推移した後、0.05%台で推移した。10年物国債流通利回りは、8月は上旬に1.4%台まで上昇した後1.3%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、5月上旬には1,440ポイントまで上昇した後、8月末には1,103ポイントとなった。日経平均株価は、5月上旬には14,529円まで上昇した後、8月末には10,713円となった。
対米ドル円相場はインターバンク直物中心相場、対ユーロ円相場はインターバンク17時時点の相場。
広義流動性は、8月(速報)は前年同月比1.6%増となった。マネタリーベースは、8月は前年同月比9.0%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、8月(速報)は前年同月比4.2%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.0%減)となった。7月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が140億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、6,155億円(うち銀行起債分3,700億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、7月は前月比で短期は0.134%ポイント上昇し、長期は0.102%ポイント上昇したことから、総合では0.122%ポイント上昇し1.710%となった。