月例経済報告(平成13年8月)

―景気は、さらに悪化している。―

平成13年8月10日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、さらに悪化している。

  • 個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、足元で弱い動きがみられる。住宅建設は、減少している。
  • 失業率は高水準で推移し、求人や残業時間も弱含んでいる。
  • 輸出、生産が大幅に減少し、設備投資も減少している。

先行きについては、世界経済の減速や在庫の増加など、懸念すべき点がみられる。

(政策の基本的態度)

政府は、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」に従い、不良債権問題を抜本的に解決するとともに、構造改革のための7つの改革プログラムをパッケージとして実施するなど、日本経済の再生のための構造改革を断行する。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、足元で弱い動きがみられる。

消費総合指数をみると、このところ減少している。
また、需要側統計である家計調査でみると、実質消費支出は、平成13年5月は前月比増加したものの、6月は減少した。
販売側統計をみると、百貨店販売額は、夏物クリアランスセールや中元ギフトセールの開催時期を早めたことの影響などにより、前年を上回った。一方、小売業販売額やチェーンストア販売額は、依然として弱い動きが続いている。
耐久消費財についてみると、新車販売台数は、新車投入効果などにより、前年を大きく上回った。一方、家電販売金額は、エアコンが大幅に増加したものの、パソコンの大幅な減少が続いていることなどから、弱い動きとなっている。
旅行は、海外旅行は前年を上回ったものの、国内旅行は前年比減少に転じており、総じてみると引き続き減速感がみられる。
こうした需要側と販売側の動向を総合してみると、個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、足元で弱い動きがみられる。
個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期給与は6ヶ月ぶりに前年をやや上回ったものの、現金給与総額は特別給与の大幅な減少により引き続き前年を下回っており、弱い動きが続いている。また消費者マインドは、このところ弱含んでいる。

設備投資は、減少している。

設備投資は、平成11年末に持ち直しに転じて以降増加基調が続き、これまで景気を支える要素であったが、「法人企業統計季報」でみると、1-3月期の設備投資は、全体として頭打ちとなった。大中堅企業について「法人企業動向調査」でみると、4-6月期(実績見込み)は、製造業、非製造業ともに前期比で減少している。また、機械設備投資の参考指標である資本財出荷は、年明け以降減少を続けている。
設備投資の今後の動向については、日銀短観の平成13年度設備投資計画において非製造業を中心に減少が見込まれていること、機械設備投資の先行指標である機械受注が1-3月期は前期比マイナスとなっており4-6月期もほぼ横ばいの見通しとなっていることなどからみて、減少が続くものとみられる。

住宅建設は、減少している。

住宅建設は、平成11年以降おおむね年率120万戸前後で推移してきたが、平成13年4-6月期は115万戸程度となり、前期と比べ2四半期連続で減少している。これは、昨年堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、年明け以降公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移していることが主因である。この背景としては、資産価格が長期的に下落傾向にある中、雇用・所得環境が厳しさを増していることなど、消費者の住宅取得マインドが低下していることが考えられる。6月については、持家は増加したものの、貸家、分譲住宅が大幅に減少したことから年率110.6万戸となった。
先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少していることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。工事の前払金保証契約実績に基づく公共工事請負金額は、昨年6月以降3月まで継続して前年を下回り、年度末にかけて発注が集中する1-3月期の受注においても、前年を大きく下回る指標がみられた。
平成13年度当初における公共事業関連予算をみると、国の公共事業関係費は前年度に近い予算現額を確保しているものの、地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。
新年度に入り、4月には大手50社受注額、請負金額が前年を上回ったが、いずれも5月には再び大きく前年を下回り、6月も前年比マイナスが続いている。これらには前年度当初の発注が5月以降にずれ込んだために、前年4月の水準が大きく落ち込んでいたことなどの影響が考えられる。また、年度当初は発注額が比較的小さく、前年比が振れやすいことにも留意する必要がある。
7-9月期の公共投資については、予算状況や執行方針などを踏まえると、引き続き前年を下回る可能性がある。

輸出は、大幅に減少している。輸入は、減少している。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。

輸出は、世界経済の減速を背景として、半導体等電子部品などの電気機器に加え一般機械などが減少していることから、大幅に減少している。地域別にみると、アジア、アメリカ、EUのいずれの地域向けも減少している。今後は、世界経済の減速が続いた場合、これが我が国輸出の下押し要因として作用するものと見込まれる。
輸入は、内需の弱さを反映して、半導体等電子部品などの機械機器を中心に減少している。地域別にみると、アジアからの輸入はアジアNIEsからの輸入が機械機器を中心に大幅に減少するなど減少傾向で推移しており、アメリカ・EUからの輸入は減少している。
国際収支をみると、輸出数量が輸入数量の減少を上回って減少していることを要因として、貿易・サービス収支の黒字は、減少している。

2.企業活動と雇用情勢

生産は大幅に減少する中で、在庫が増加している。

鉱工業生産は、1-3月期は前期比3.7%減の後、4-6月期は同4.0%減と今年に入ってから2期連続で大幅に減少している。輸出の減少等により、IT関連品目の生産が減少していることが主因である。鉱工業生産は、1-3月期は前期比3.7%減の後、4-6月期は同4.0%減と今年に入ってから2期連続で大幅に減少している。輸出の減少等により、IT関連品目の生産が減少していることが主因である。
生産の先行きについては、7月は減少、8月は増加が見込まれている。また、4-6月期は、IT関連品目において、在庫が減少しているものの、化学、鉄鋼等の生産財を中心に在庫の増加が続いていることは、生産の先行きに関して懸念すべき点である。生産の先行きについては、6月は増加、7月は減少が見込まれているが、6月がこの見込みどおりに推移した場合、4-6月期も前期比減少となることには留意しておく必要がある。また、電子部品や化学、鉄鋼等の生産財を中心に在庫が増加していることも、生産の先行きに関して懸念すべき点である。
一方、第3次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。

企業収益は、頭打ちとなっている。また、企業の業況判断は、製造業を中心に引き続き悪化している。倒産件数は、やや高い水準となっている。

企業収益は、平成11年以降改善しており、特に平成12年半ば以降は大幅な改善が続いていた。今回の改善の背景としては、企業のリストラ努力が挙げられるが、製造業において売上高が伸びていることや、非製造業において平成12年初までは変動費を削減してきたことも大きく寄与していた。しかし、「法人企業統計季報」によると平成13年1-3月期における経常利益は前年同月比横ばいとなっており、日銀短観によると平成13年度上期は減益に転じる見込みとなっている。また、「法人企業動向調査」によると4-6月期における大中堅企業の経常利益の判断(前期比「増加」-「減少」)は、「減少」超幅が拡大した。
企業の業況判断について日銀短観をみると、大企業・非製造業では横ばいとなったが、電気機械を中心に製造業で引き続き大幅に悪化するなど、厳しさがみられる。また、「法人企業動向調査」で大中堅企業の業界景気の判断をみると、製造業、非製造業ともに悪化している。

また、6月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで1,510件となるなど、やや高い水準となっている。

雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率がこれまでの最高水準で推移し、求人や残業時間も弱含んでいる。

完全失業率は、6月は前月比同水準の4.9%と過去最高水準で推移した。
また、他にも雇用情勢の厳しさを示す動きがみられる。新規求人数は、前年同月比でみると、製造業の減少幅が拡大したことを背景に、全体で減少に転じ(6月前年同月比1.1%減)、前月比でも減少となった(6月前月比6.8%減)。製造業の残業時間についても、8ヶ月連続で前月比減となっている。雇用者数は横這いで推移しているものの、自営業主・家族従業者数の減少を受け、就業者数は減少している。

3.物価と金融情勢

国内卸売物価、消費者物価は、ともに弱含んでいる。

輸入物価は、このところ、契約通貨ベースでは下落しているが、円ベースでは円安の影響を受けて上昇している。国内卸売物価は、平成13年入り後弱含んでいる。最近の動きをみると、石油・石炭製品などは値上がりしているものの、電気機器や輸送用機器などが値下がりしていることから、下落している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、外食の下落の効果が一巡したことなどにより一般サービスは前年と比べやや上昇しているものの、繊維製品の下落幅拡大や石油製品の上昇幅縮小などにより一般商品は下落幅を拡大していることから、全体としては下落している。
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

金融情勢については、株式相場は、昨年春より下落基調で推移し、7月は、一段と下落した。

短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、7月は、日本銀行による金融緩和措置を反映して、0.01%から0.02%で推移した。2、3ヶ月物は、年明け以降、低下傾向で推移しているが、7月は、横ばいで推移した。長期金利は、昨年秋より低下基調で推移してきたが、7月は、国債の需給悪化を懸念する市場の見方などもあって、上昇した。
株式相場は、昨年春より下落基調で推移している。4月末から5月上旬にかけて一旦上昇したものの、7月は、企業業績の悪化を懸念する市場の見方などもあって、一段と下落した。
対米ドル円相場は、6月以降、円安基調で推移し、7月上旬には126円台まで下落した後、横ばい圏で推移している。対ユーロ円相場は、5月下旬から6月初めにかけて100円台まで大きく上昇した後下落に転じ、7月末には109円台に下落した。
M2+CD(月中平均残高)は、昨年後半以降、おおむね前年同月比2.0%増程度で推移してきたが、年明け以降、郵便貯金からの資金シフト等を受けて、やや伸び率を高めている(7月速報:前年同月比3.3%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、96年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷などを背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和などを背景に、年明け以降低下している。

4.海外経済

アメリカの景気は、弱い状態となっている。アジアでは景気は減速している。

世界経済をみると、全体として成長に減速がみられる。
アメリカでは、企業収益の悪化から設備投資が大幅に減少する一方で、個人消費に底堅い動きがみられ、住宅投資が増加していることなどから、内需は緩やかながら増加している。在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し、稼働率が低下している。雇用は製造業等を中心に減少しており、失業率は上昇傾向にある。景気は、弱い状態となっている。先行きについては、所得税減税の効果が注目される一方、企業収益の悪化、稼働率の低下などが懸念材料となっている。
ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気の拡大テンポは鈍化している。フランスでは、景気は安定した拡大を続けているものの、企業の先行き見通しは悪化している。イギリスでは、景気の拡大テンポは鈍化している。
アジアをみると、中国では、個人消費や固定資産投資が堅調に推移しているが、輸出の伸びが鈍化したことから、景気の拡大テンポはやや鈍化している。韓国では、生産や輸出が減少するなど、景気は減速している。
金融情勢をみると、アルゼンチンでは財政悪化懸念から金融不安が生じ、歳出削減策がとられることとなった。イギリスでは、8月2日に政策金利が0.25%ポイント引き下げられ、5.00%とされた。
国際商品市況をみると、原油価格は下落基調で推移していたが、7月25日のOPECの減産決定を受け持ち直した。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(需要側、内閣府試算値、後方3ヶ月移動平均)は、平成13年5月(速報値)季節調整済3ヶ月前比0.9%減の後、6月(速報値)は同1.6%減となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベースにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペーパー (https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、5月季節調整済前月比1.4%増の後、6月(速報値)は同2.8%減(前年同月比3.8%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、6月(速報値)は季節調整済前月比1.3%減(前年同月比2.6%減)となった。
経済産業省柊商業販売統計稗の小売業販売額は、6月(速報値)は季節調整済前月比横ばい(前年同月比2.7%減)となった。また、百貨店販売額は、6月(速報値)は、前年同月比2.1%増(店舗調整後)(季節調整済前月比0.1%増(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、6月は、前年同月比4.8%減(店舗調整後)(季節調整済前月比1.2%増(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、6月は前年同月比0.9%増の後、7月(速報値)は同7.3%増となった(なお、今年の7月は稼働日数が昨年より1日多い)。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、5月前年同月比4.4%減の後、6月は同0.0%増となった。
大手旅行業者13社取扱金額の6月は、前年同月比で国内旅行が1.4%減、海外旅行が同5.4%増となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では、5月前年同月比0.1%減の後、6月(速報値)は同1.7%減(事業所規模30人以上では同0.9%減)となり、うちきまって支給する給与は、6月(速報値)同0.1%増(事業所規模30人以上では同0.9%増)となった。特別に支払われた給与は、6月(速報値)同4.0%減(事業所規模30人以上では同2.7%減)となった。実質賃金は、事業所規模5人以上では、5月前年同月比0.5%増の後、6月(速報値)は同0.9%減(事業所規模30人以上では同0.1%減)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、3月前期差2.8ポイント低下(悪化)の後、6月同0.7ポイント上昇(改善)となった。

<設備投資>

1-3月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業)でみると、前年同期比で2.5%増(うち製造業22.6%増、非製造業5.8%減)となっている。
4-6月期(実績見込み)の設備投資を内閣府「法人企業動向調査」(大中堅企業)でみると、季節調整済前期比8.6%減(前年同期比6.1%増)となっており、うち製造業では同9.6%減(同9.8%増)、非製造業では同10.4%減(同4.2%増)となっている。
経済産業省「経済産業統計」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、季節調整済前月比で5月は3.6%増(前年同期比3.7%増)の後、6月は3.3%減(同5.4%減)となっている。
日本銀行柊企業短期経済観測調査稗(6月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成13年度設備投資計画は、製造業で前年度比7.7%増、非製造業で同7.1%減となっており、全産業では同1.3%減となった。また、中小企業では製造業で同20.4%減、非製造業で同18.4%減となっており、全産業では同18.9%減となった。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で4月は6.3%増(前年同月比10.5%増)の後、5月は2.1%減(同4.3%増)となり、このところ弱含み傾向にある。なお、4-6月期(見通し)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で0.4%増(前年同期比0.6%増)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、5月は季節調整済前月比7.6%増(前年同月比10.1%減)の後、6月は同2.1%減(同8.9%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成13年1-3月期は5.5%減、4-6月期は1.6%減、5月は5.6%増、6月は7.9%減となった。内訳をみると、公庫持家の着工(同)は、1-3月期は25.6%減、4-6月期は22.5%減、5月は2.9%減、6月は15.6%増となり、民間資金貸家の着工(同)は、1-3月期は3.1%増、4-6月期は10.9%増、5月は23.8%増、6月は18.9%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、1-3月期は9.1%減、4-6月期は5.2%減、5月は2.1%増、6月は4.6%減となった。
住宅金融公庫を利用した持家の着工(全体の新設住宅着工の約15%)の先行指標である公庫への融資申込み戸数(個人向けマイホーム新築資金)は、平成12年度第2回募集(受付期間:8月7日~9月22日)に51,192戸(前年同回比42.1%減)となった後、第3回募集(受付期間:10月30日~12月22日)は35,486戸(同4.5%減)、第4回募集(受付期間:1月22日~3月23日)は33,375戸(同11.5%減)となり、低水準にとどまっている。また、平成13年度第1回募集(受付期間:4月23日~5月28日)は、28,432戸となっている(平成13年度から受付回数が年4回から年6回になったため、単純に比較できない)。

<公共投資>

平成13年度の国の一般会計予算(当初)をみると、公共事業関係費は前年度当初予算とほぼ同額の9.4兆円を確保している一方、公共事業等予備費については前年度5,000億円に対して本年度は3,000億円の計上となっている(昨年度は7月25日に使用の閣議決定)。
地方の予算についてみると、総務省がまとめた普通会計予算(当初)ベースでは、普通建設事業費は、都道府県で前年度比3.3%減、政令指定都市で同8.5%減、両者を合わせると同4.1%減となっている。また、「日経地域情報」調査によれば、一般会計予算(当初)ベースの普通建設事業費は、都道府県で前年度比2.4%減、全市で同3.1%減、特別区で同6.8%減となっており、これらを単純合計すると前年度比2.7%減となる(骨格予算を編成した地方公共団体などを除く)。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で4月7.2%減の後、5月は同15.8%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で5月30.8%減の後、6月は7.3%減となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で5月23.5%減の後、6月は7.1%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で4月8.1%減、5月0.9%減の後、6月は0.3%減(前年同月比14.2%減)となった。また、前期比で1-3月3.1%減の後、4-6月6.2%減(前年同期比11.1%減)となった。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で4月6.8%減、5月11.1%増の後、6月は12.1%減(前年同月比6.0%減)となった。また、前期比で1-3月2.0%減の後、4-6月2.9%減(前年同期比0.3%減)となった。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、5月は648億円、通関収支差(季節調整値)は、5月2,854億円の後、6月6,490億円となった。

<生産・出荷・在庫>

6月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、電気機械や化学等が減少したことから、前月比0.7%減となった。また、1-3月期で前期比3.7%減の後、4-6月期では同4.0%減となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で7月は電気機械や化学等により2.3%減の後、8月は輸送機械や電気機械等により3.4%増になると見込まれている。
6月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比0.6%減となった。また4-6月期では、前期比2.4%増となり3期連続で増加している。
5月の第3次産業活動指数(季節調整値・速報)は、運輸・通信業や金融・保険業等が増加した結果、前月比0.4%増となった。

<企業>

企業収益は、平成11年以降改善している。今回の収益改善の特徴をみると、企業の人件費抑制等のリストラ努力が挙げられる。業種別にみると、製造業では、変動費は収益の圧迫要因であるが、売上高が増加したことの寄与が大きく、特に平成12年4-6月期以降は人件費抑制も増益に寄与している。一方、非製造業では、平成12年1-3月期までは主に変動費を減少させることで収益を増加させてきていたが、4-6月期以降は人件費抑制の寄与が大きくなっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、全規模・全産業では、平成13年度上期の経常利益は前年同期比7.5%の減益の後、平成13年度下期には同8.7%の増益が見込まれている。また、内閣府「法人企業動向調査」(6月調査)によると、4-6月期の大中堅企業の経常利益の判断(前期比「増加」-「減少」)は、全産業で8%ポイント悪化して△21%ポイントとなった。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、全規模で製造業は11%ポイント悪化して△30%ポイント、非製造業は1%ポイント悪化して△25%ポイント、全産業では5%ポイント悪化して△27%ポイントとなった。また、内閣府「法人企業動向調査」(6月調査)で企業の業界景気の判断(前期比「上昇」-「下降」)をみると、製造業は11%ポイント悪化して△38%ポイントとなり、非製造業は5%ポイント悪化して△29%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、6月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,510件(前年同月比1.8%減)、負債総額は6,424億円(同65.5%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,563件(同0.2%増)、負債総額は6,907億円(同63.2%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は94件(同16.1%増)となっており、主な大型倒産としては、不動産賃貸・管理のビルディング不動産(負債額940億円)、ゴルフ場経営の秦野カントリー倶楽部(同612億円)、食品容器製造販売の中国パール販売(同380億円)など(東京商工リサーチ調べ)。上場企業の倒産はなし。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」の6月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差1万人増の330万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、季節調整済前月比で5月3.0%増の後、6月は6.8%減となった(6月前年同月比1.1%減)。製造業では、5月前年同月比7.1%減の後、6月は同20.8%減となった。有効求人倍率(季節調整値)は、5月0.61倍の後、6月0.61倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は5月1.08倍の後、6月1.07倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では5月季節調整済前月比0.8%減(前年同月比4.7%減)の後、6月は同2.8%減(同8.2%減)(速報値)となった。
労働力調査によると、雇用者数は、季節調整済前月比で5月0.2%増の後、6月は0.1%減となった。就業者数は、季節調整済前月比で5月0.3%減の後、6月は0.2%減となった。

<物価>

日本銀行「卸売物価指数」の輸出物価(円ベース)は、7月は前月比1.4%の上昇(前年同月比5.1%上昇)、5-7月平均の3ヶ月前比(2-4月平均対比、以下同じ)は0.3%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、7月は前月比1.2%の上昇(前年同月比9.1%上昇)、5-7月平均の3ヶ月前比は1.1%の上昇となった。また、国内卸売物価は、7月は夏季電力料金の適用により前月比0.1%の上昇(前年同月比0.8%下落)、3ヶ月前比は保合いとなった。
日本銀行柊企業向けサービス価格指数稗の6月の企業向けサービス価格指数は前年同月比1.0%の下落(前月比0.1%下落)となった。
総務省柊消費者物価指数(全国)稗の生鮮食品を除く総合は、6月は前年同月比0.6%の下落(季節調整済前月比保合い)、4-6月平均の前年同期比は0.6%の下落となった。一般サービスは、6月は前年同月比0.1%の上昇、4-6月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。一般商品は、6月は前年同月比1.3%の下落、4-6月平均の前年同期比は1.3%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、7月は前年同月比0.9%の下落(季節調整済前月比保合い)、5-7月平均の前年同期比は0.9%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、7月は0.01%から0.02%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、7月は0.08%台で推移した。10年物国債流通利回りは、7月は1.1%台から1.3%台へ上昇した。
東証株価指数(TOPIX)は、5月上旬には1,440ポイントまで上昇した後、7月末には1,190ポイントとなった。日経平均株価は、5月上旬には14,529円まで上昇した後、7月末には11,860円となった。
対米ドル円相場はインターバンク直物中心相場、対ユーロ円相場はインターバンク17時時点の相場。
広義流動性は、7月(速報)は前年同月比2.2%増となった。マネタリーベースは、7月は前年同月比8.0%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、7月(速報)は前年同月比4.0%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.8%減)となった7月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債の発行は無かった。また、国内公募事業債の起債実績は、6,155億円(うち銀行起債分3,700億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、6月は前月比で短期は0.019%ポイント低下し、長期は横ばいとなったことから、総合では0.014%ポイント低下し1.588%となった。