月例経済報告(平成13年4月)

―景気は、弱含み。―

平成13年4月13日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、弱含んでいる。

  • アメリカ経済の減速から輸出が減少し、それに伴い、生産が減少している。
  • 企業部門の自律的回復に向けた動きはなお続いているが、このところ弱まっている。設備投資は増加しているが、企業収益の伸びが鈍化し、企業の業況判断は製造業を中心に急速に悪化している。
  • 失業率は高水準で推移し、個人消費はおおむね横ばいの状態が続いている。

先行きについては、アメリカ経済の減速や設備投資に鈍化の兆しなど、懸念すべき点がみられる。

(政策の基本的態度)

政府は、経済を自律的回復軌道に確実に乗せるため、引き続き景気回復に軸足を置きつつ、我が国経済を21世紀にふさわしい構造に改革する。
政府としては、政府・与党緊急経済対策本部等での議論を踏まえ、4月6日に、(1)金融再生と産業再生、(2)証券市場の構造改革、(3)都市の再生、土地の流動化、等を柱とした緊急経済対策を決定したところであり、その着実な実行に努める。
なお、日本銀行においては、3月19日に、量的指標を主たる操作目標とした金融市場調節方式の採用に踏み切り、持続的な物価下落が終結するまで、実質的にゼロ金利政策の有する効果を実現する政策を継続する措置を講じた。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、一時的な要因もあって、年末に比べれば増加しているものの、おおむね横ばいの状態が続いている。

個人消費は、需要側統計である家計調査でみると、平成13年2月は、気候要因による暖房用燃料などの需要増や家電リサイクル法施行前の駆け込み需要もあって、前月と比べ増加している。また、購入頻度の低い高額商品等による振れの除去と国民経済計算との概念調整を行うために、自動車等購入、住居、仕送り金等を除いたベースでみても、3ヶ月連続で増加している。
販売側統計をみると、小売業販売額やチェーンストア売上高は改善の動きがみられる。家電販売金額は、パソコン販売が伸び悩んだものの、家電リサイクル法施行前の駆け込み需要などもあって引き続き前年を上回っている。旅行は、国内旅行が前年割れとなったものの、海外旅行は前年を上回っており、総じてみれば引き続き好調に推移している。
一方、百貨店販売額は弱い動きが続いており、新車販売台数は年初から伸び悩んでいる。
こうした需要側、販売側の動向を総合してみると、個人消費は、気候要因や家電リサイクル法施行前の駆け込み需要などの一時的な要因もあって、年末に比べれば増加しているものの、おおむね横ばいの状態が続いている。
個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期収入が2ヶ月連続で減少となるなど弱い動きがみられ、2月は現金給与総額、実質賃金とも前年割れとなった。

設備投資は、増加している。当面は堅調に推移すると見込まれるものの、先行きについては鈍化の兆しがみられる。

設備投資は、平成11年末に持ち直しに転じて以降増加基調が続いており、景気を支える要素となっている。これまで電気機械を中心とする製造業から他の業種へと広がりをみせながら増加してきた。「法人企業統計季報」でみると、10-12月期は、製造業は増加を続け、非製造業も前年比プラスに転じている。また、1-3月期についても、機械受注や資本財出荷の動きなどから、増加基調が続いているとみられる。
設備投資の先行きについては、先行指標である機械受注が、昨年後半は増勢が続いていたため、当面は堅調に推移すると見込まれる。しかしながら、日銀短観の平成13年度設備投資計画において非製造業を中心に減少が見込まれていること、1-3月期の機械受注が減少の見通しとなっていることなど、先行きについては鈍化の兆しがみられる。

住宅建設は、弱含みとなっている。

住宅建設は、平成11年以降おおむね年率120万戸前後で推移してきたが、直近の動きをみると、マンション着工の大幅増などにより12月に増加した後、2ヶ月連続で減少し、2月は年率113.5万戸となった。12ヶ月振りに持家、貸家、分譲住宅の全てが前月比で減少し、全体の水準を押し下げた。
また、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少していることなど、先行き、住宅着工を減少させる要因もみられる。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、公共工事請負金額が昨年6月以降継続して前年を下回るなど、総じて低調に推移している。平成12年度の公共事業関連予算の動向をみると、国においては、前年度の予算が比較的高水準であったため、補正後予算は前年度の規模を下回っている。地方においては、厳しい財政状況から投資的経費を抑制する動きが続いている。
工事の受注動向をみると、10月以降前年を上回る動きがみられ、前年を下回っている指標についてもマイナス幅は年度前半に比較して縮小していた。これは、平成11年度が前倒し執行を実施した後に反動で低調な動きとなったのに対し、平成12年度は前倒し執行をしておらず、年度内での発注時期の差異による影響が考えられる。しかし、年度内での発注時期の差異がおおむね解消されてきたことから、2月の受注には再び前年を大きく下回る指標がみられる。
1-3月期の公共投資については、比較的高水準であった前年度に比べれば、総じて下回って推移すると見込まれるが、11月に編成された補正予算による下支え効果が本格的に発現するものと考えられる。

輸出は、減少している。輸入は、伸びが鈍化している。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。

輸出は、アメリカ向けはアメリカ経済の減速の影響から、EU向けは既往のユーロ安の影響から、それぞれ減少している。また、アジア向けはアメリカやアジアの景気減速を背景として、アジアNIEs向けを中心に急速に減少しており、輸出全体としても減少している。今後は、アメリカ経済の減速が持続した場合、我が国輸出の下押し要因として作用するものと見込まれる。
輸入は、平成11年初めから増加基調を続けてきたが、これまでの増加を牽引してきたIT関連財を中心とした機械機器が減少していることなどから、全体の伸びが鈍化している。EUからの輸入は既往のユーロ安の影響から増加傾向にあるが、足元での伸びにはやや一服感もみられる。アジアからの輸入は増加テンポが緩やかになっており、アメリカからの輸入は弱含みで推移している。
国際収支をみると、輸出数量が減少していることから、貿易・サービス収支の黒字は、基調としては減少している。しかし、2月単月では、輸入金額が大幅に減少したことを主因に、黒字額は大幅に増加した。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、減少している。

鉱工業生産は、平成11年初めの景気回復初期から増加基調を続けてきたが、平成12年秋頃から増加のテンポが緩やかになり、このところ減少している。輸出が減少していることに加え、この影響等によりIT関連品目の生産も減少に転じたことが要因である。
生産の先行きについては、3月は減少、4月は増加が見込まれているが、3月が見込み伸び率どおりに推移した場合、1-3月期は前期比で大幅な減少に転じることには留意しておく必要がある。
鉱工業の在庫は、全体としてはおおむね横ばいで推移しているが、半導体需給の緩和等により生産財の在庫の増加が続いている。
第3次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。

企業収益は、これまでの高い伸びが鈍化している。また、企業の業況判断は、製造業を中心に急速に悪化している。

企業収益は、平成11年以降改善しており、特に平成12年半ば以降は大幅な改善が続いていた。今回の改善の背景としては、企業のリストラ努力が挙げられるが、製造業において売上高が伸びていることや、非製造業において平成12年初までは変動費を削減してきたことも大きく寄与していた。しかし、日銀短観によると平成12年度下期から平成13年度上期にかけて、伸びが鈍化する見込みとなっている。
企業の業況判断は、日銀短観をみると、電気機械等の製造業を中心に急速に悪化している。大企業・中小企業、製造業・非製造業別にみても、それぞれ悪化がみられる。

倒産件数は、やや高い水準となっている。

2月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで1,460件となるなど、やや高い水準となっている。原因別にみると、いわゆる「不況型倒産」(販売不振、赤字累積、売掛金回収難を主因とする倒産)が7割前後と大きな割合を占めている。業種別にみると、建設業や卸小売業などの倒産が増加している。

雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率が高水準で推移し、求人も弱含んでいる。

完全失業率は、2月は4.7%とやや低下したものの、依然として高水準にある。
また、これまで続いてきた雇用情勢の改善の動きは足踏み状態にあり、先行きを懸念すべき動きもみられる。新規求人数は、前年同月比でみると引き続き増加となっている(2月前年同月比13.1%増)が、前月比では2ヶ月連続で減少した(2月前月比1.9%減)。生産の動きを反映して最近減少がみられている製造業の残業時間は、4ヶ月連続で前月比減となった。企業の雇用過剰感も、製造業では強まっている。

3.物価と金融情勢

国内卸売物価、消費者物価は、ともに弱含んでいる。

国内卸売物価は、電気機器や鉄鋼の下落などにより、平成13年入り後弱含んでいる。3月は、石油・石炭製品などが上昇したものの、鶏卵などの食料用農畜水産物が前月上昇した反動で下落したほか、電気機器や一般機器などが値下がりしたことから、前月比0.1%の下落となり、前年比でみても0.5%の下落とマイナス幅を拡大している。輸出物価(円ベース)は、契約通貨ベースでは電気機器(集積回路)を中心に値下がりしたものの、円安の影響を受けて上昇した。輸入物価(円ベース)は、契約通貨ベースで原油などが上昇したことに加え、円安の影響を受けて上昇した。なお、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、繊維製品や外食の下落などにより、平成12年秋以降弱含んでいる(生鮮食品を除く総合:2月前年同月比0.6%下落)。なお、3月の東京都区部では、前年同月比下落幅は前月と同じであった(同:3月前年同月比1.1%下落)。
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

金融情勢については、短期金利は、2度にわたる日本銀行の金融緩和措置を受けて、大幅に低下した。

短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、3月は、2月末の誘導目標水準の引下げ(0.25%から0.15%へ)により、中旬まで0.15%前後で推移し、その後は19日の日本銀行による一段の金融緩和措置を受けて、おおむね0.03%前後で推移した。2、3ヶ月物は、2度にわたる日本銀行の金融緩和措置を受けて、大幅に低下した。長期金利は、景気の先行きを懸念する市場の見方などもあって、昨年秋より低下基調で推移しており、3月は、日本銀行の金融緩和措置などを受けて大幅に低下した後、下旬には上昇した。
株式相場は、昨年春より下落基調で推移している。3月は、月半ばにかけて、東証株価指数(TOPIX)で99年3月以来の水準まで下落(日経平均株価は1万1,819円まで下落)したが、不良債権処理の進展に対する期待等もあって、その後やや持ち直している。
対米ドル円相場は、昨年末から円安が進み、3月は99年5月以来の水準となる124円台まで下落した。対ユーロ円相場は、昨年末からユーロ独歩高が進んできたが、3月は一進一退で推移した。
M2+CD(月中平均残高)は、昨年後半以降、おおむね前年同月比2.0%増程度で推移してきたが、年明け以降、郵便貯金からの資金シフト等を受けて、やや伸び率を高めている (3月速報:前年同月比2.6%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、96年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷などを背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、ゼロ金利政策解除後緩やかに上昇してきたが、2月はやや低下した。
なお、日本銀行は、3月19日の金融政策決定会合において、金融市場調節に当たり、主たる操作目標をこれまでの無担保コールレート(オーバーナイト物)から日本銀行当座預金残高に変更し、当面、日本銀行当座預金残高を5兆円程度に増額することを決定した。また、これに併せて、新しい金融市場調節方式は、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続するとともに、必要に応じて、日本銀行が保有する長期国債の残高(支配玉<現先売買を調整した実質保有分>ベース)は銀行券発行残高を超えないとの条件の下、長期国債の買い入れを増額することが決定された。

4.海外経済

アメリカの景気は、昨年末に比べれば減速は緩やかになっているものの、株価下落などで先行きに不透明感がある。アジアでは景気の拡大テンポは鈍化している。

世界経済をみると、全体として成長に減速がみられる。
アメリカでは、耐久財消費や住宅投資などに底堅い動きがみられるものの、企業収益の悪化から設備投資が抑制されているなど、内需は緩やかな伸びにとどまっている。一方で、消費者心理や企業の景況感に下げ止まりの兆しもみられる。製造業では、在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し雇用調整が行われているが、建設業、サービス業等では雇用の拡大が続いている。景気は、昨年末に比べれば減速は緩やかになっているものの、株価下落などで先行きに不透明感がある。
ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに拡大している。フランスでは、固定投資が内需の伸びを支え、景気は安定した拡大を続けている。イギリスでは、原油生産の減少はみられるものの、景気は安定した拡大を続けている。
アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはやや鈍化している。韓国では、生産や個人消費の伸びの鈍化に加えて、輸出の伸びが鈍化したことから、景気は減速している。
金融情勢をみると、アメリカでは、3月20日に短期金利の誘導目標水準が0.5%ポイント引き下げられ、5.00%とされた。イギリスでは、4月5日に政策金利が0.25%ポイント引き下げられ、5.50%とされた。
国際商品市況をみると、景気減速による需要減少の見通しなどから原油価格は下落基調で推移した。

(注)

<個人消費>

総務省「家計調査」の全世帯実質消費支出は、平成13年1月季節調整済前月比1.4%減の後、2月(速報値)は同2.3%増(前年同月比0.1%増)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、2月(速報値)は季節調整済前月比1.7%増(前年同月比2.0%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、2月(速報値)は季節調整済前月比0.5%増、前年同月比0.6%減となった。
チェーンストア売上高(日本チェーンストア協会調べ)は、2月は、前年同月比6.2%減(店舗調整後)(季節調整済前月比0.4%増(店舗調整前))となった。
家電小売金額(日本電気大型店協会調べ)は、1月前年同月比9.5%増の後、2月は同2.5%増となった。
大手旅行業者13社取扱金額の2月は、前年同月比で国内旅行が2.8%減、海外旅行が同3.5%増となった。
商業販売統計の百貨店販売額は、2月(速報値)は、前年同月比3.1%減(店舗調整後)(季節調整済前月比0.9%増(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、2月は前年同月比0.2%減の後、3月(速報値)は同0.7%増となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では、1月前年同月比1.3%増の後、2月(速報値)は同0.2%減(事業所規模30人以上では同0.4%増)となり、うちきまって支給する給与は、2月(速報値)同0.2%減(事業所規模30人以上では同0.6%増)となった。実質賃金は、事業所規模5人以上では、1月前年同月比1.3%増の後、2月(速報値)は同0.2%減(事業所規模30人以上では同0.4%増)となった。

<設備投資>

10-12月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業)でみると、前年同期比で7.1%増(うち製造業10.4%増、非製造業5.7%増)となっている。
経済産業省「通産統計」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、季節調整済前月比で1月は3.8%減(前年同期比11.9%増)の後、2月は0.7%増(前年同期比7.9%増)となっている。
日本銀行「企業短期経済観測調査」(3月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成13年度設備投資計画は、製造業で前年度比2.3%増、非製造業で同9.5%減となっており、全産業では同4.7%減となった。また、中小企業では製造業で同22.9%減、非製造業で同20.7%減となっており、全産業では同21.3%減となった。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で1月は11.8%減(前年同月比0.8%増)の後、2月は5.0%増(同5.9%増)となり、一進一退の傾向が続いている。なお、1-3月期(見通し)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で6.4%減(前年同期比7.5%増)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、1月は季節調整済前月比4.7%減(前年同月比31.5%減)の後、2月は同7.4%増(同7.7%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、12月に1.0%増となった後、1月は4.6%減、2月は5.7%減となった。また、公庫を利用した持家の着工(同)は、12月に4.4%減、1月に24.8%減、2月に0.3%減となった。さらに、共同建分譲住宅の着工(同)は、12月に27.4%増、1月に34.1%減、2月に4.1%増となった。
住宅金融公庫を利用した持家の着工(全体の新設住宅着工の約15%)の先行指標である公庫への融資申込み戸数(個人向けマイホーム新築資金)は、第2回募集(受付期間:8月7日-9月22日)に51,192戸(前年同回比42.1%減)となった後、第3回募集(受付期間:10月30日-12月22日)は35,486戸(同4.5%減)、第4回募集(受付期間:1月22日-3月23日)は33,375戸(同11.5%減)となり、低水準にとどまっている。

<公共投資>

平成12年度の国の一般会計予算(補正後)をみると公共事業関係費は前年度比6.2%減となっている。また、同じく都道府県及び市町村の普通会計予算(9月補正後、単純合計)をみると、普通建設事業費は前年度比7.1%減となっている。
公共機関からの建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年の公共工事着工統計調査と比較して、1月は9.8%増 (参考値)の後、2月は1.6%減(同)となった。同じく大手50社の受注額は、前年同月比で1月は2.7%減の後、2月は28.9%減となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で1月は17.1%減の後、2月は16.0%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で1月5.9%減の後、2月は3.5%増(前年同月比5.8%減)となった。また、前期比で10-12月期は1.4%減(前年同期比3.2%増)となった。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で1月1.3%減の後、2月4.3%減(前年同月比2.9%増)となった。また、前期比で10-12月期は4.0%増(前年同期比9.6%増)となった。
対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、99年1月の発足時の134円台から2000年10月下旬の89円台までユーロ安が進み、以降、ユーロ高方向に反転している。
貿易・サービス収支の黒字は、1月は1,008億円(季節調整値)と前月比で4ヶ月連続の減少となった後、2月は6,347億円となった。

<生産・出荷・在庫>

2月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、輸送機械や一般機械等が増加したことから、前月比0.4%増となっている。
製造工業生産予測指数は、前月比で3月は一般機械や輸送機械等により0.8%減の後、4月は輸送機械や電気機械等により0.6%増となっている。この予測伸び率どおりに推移した場合、1-3月期の生産は前期比3.3%減(速報値による試算)になる見込みである。
2月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比0.7%増となっている。また生産財の在庫指数は、昨年10月以降5ヶ月連続で増加している。
1月の第3次産業活動指数(季節調整値、速報)は、サービス業や卸売・小売業,飲食店等が減少した結果、前月比0.5%減となった。

<企業>

企業収益は、平成11年以降改善している。今回の収益改善の特徴をみると、企業の人件費抑制等のリストラ努力が挙げられる。業種別にみると、製造業では、変動費は収益の圧迫要因であるが、売上高が増加したことの寄与が大きく、特に平成12年4-6月期以降は人件費抑制も増益に寄与している。一方、非製造業では、平成12年1-3月期までは主に変動費を減少させることで収益を増加させてきていたが、4-6月期以降は人件費抑制の寄与が大きくなっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、全規模・全産業では、平成12年度下期の経常利益は前年同期比1.0%の減益の後、平成13年度上期には同1.6%の増益が見込まれている。
また、同調査で企業の業況判断についてみると、全規模で製造業は13%ポイント悪化して△19%ポイントとなり、非製造業は4%ポイント悪化して△24%ポイントとなった。

<倒産>

東京商工リサーチ「倒産月報」によると、2月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,460件(前年同月比2.3%増)、負債総額は11,340億円(同4.9%減)となっている。また、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,448件(同0.3%増)、負債総額は11,153億円(同7.6%減)となっている。
原因別にみると、「不況型倒産」は69.2%となっており、業種別にみると、建設業は32.8%、卸小売業は29.0%となっている(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」の2月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差11万人減の318万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の有効求人倍率(季節調整値)は、1月0.65倍の後、2月0.64倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は1月1.11倍の後、2月1.08倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では1月季節調整済前月比1.7%減(前年同月比4.2%増)の後、2月は同1.3%減(同2.9%増)(速報値)となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」によると、企業の雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、12月調査の9%ポイントから、3月調査では11%ポイントとなった。

<物価>

日本銀行「卸売物価指数」の3月の国内卸売物価は前月比0.1%の下落(前年同月比0.5%下落)、輸出物価(円ベース)は前月比2.4%の上昇(前年同月比4.9%上昇)、輸入物価(円ベース)は前月比3.7%の上昇(前年同月比10.0%上昇)となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の2月の企業向けサービス価格は前年同月比0.7%の下落(前月比0.1%下落)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の2月の生鮮食品を除く総合は、前年同月比0.6%の下落(前月比0.2%下落、季節調整済前月比0.1%上昇)となった。「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の3月の生鮮食品を除く総合は、前年同月比1.1%の下落(前月比0.1%上昇、季節調整済前月比0.1%下落)となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、3月は中旬まで0.15%前後で推移した後、0.03%前後で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、3月は0.29%から0.11%に低下した。10年物国債流通利回りは、3月は1.3%台前半から1.0%台前半に低下した後、1.3%台前半まで上昇した。
東証株価指数(TOPIX)は、2月末の1,241ポイントから、3月半ばには1,161ポイントまで下落した後、下旬には、一時1,337ポイントまで上昇したが、月末には1,277ポイントまで再び下落した。日経平均株価は、2月末の12,833円から、3月半ばには11,819円まで下落した後、下旬には、一時13,862円まで上昇したが、月末には再び12,999円まで下落した。
対米ドル円相場はインターバンク直物中心相場、対ユーロ円相場はインターバンク17時時点の相場。
広義流動性は、3月(速報)は前年同月比3.2%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、3月(速報)は前年同月比3.6%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.8%減)となった。3月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が350億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、6,530億円(うち銀行起債分200億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、2月は前月比で短期は0.014%ポイント低下し、長期は0.159%ポイント低下したことから、総合では0.051%ポイント低下し1.835%となった。