月例経済報告(平成13年1月)
平成13年1月19日
内閣府
概観
景気は、家計部門の改善が遅れるなど、厳しい状況をなお脱していないが、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが継続し、全体としては、緩やかな改善が続いている。
需要面をみると、個人消費は、収入がやや回復してきたものの、おおむね横ばいの状態が続いている。住宅建設は、持家及び貸家の着工が増加したため、直近ではやや水準を戻している。設備投資は、製造業を中心に増加している。公共投資は、総じて低調に推移しているが、工事の受注にはこのところ前年を上回る動きがみられる。輸出は、おおむね横ばいとなっている。
生産は、増加のテンポが緩やかになっている。
雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きが続いている。
企業収益は、大幅な改善が続いている。また、企業の業況判断は、全体としては改善のテンポが緩やかになってきており、先行きに慎重な見方もみられる。一方、倒産件数は、やや高い水準となっており、負債金額の増加がみられる。
政府は、経済を自律的回復軌道に確実に乗せるため引き続き景気回復に軸足を置きつつ、我が国経済を21世紀にふさわしい構造に改革する。
なお、平成12年12月19日に「平成13年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」を閣議了解し、同月24日に平成13年度一般会計予算(概算)を閣議決定した。また、本年1月6日に経済財政諮問会議を発足させた。
我が国経済:需要面をみると、個人消費は、収入がやや回復してきたものの、おおむね横ばいの状態が続いている。住宅建設は、持家及び貸家の着工が増加したため、直近ではやや水準を戻している。設備投資は、製造業を中心に増加している。公共投資は、総じて低調に推移しているが、工事の受注にはこのところ前年を上回る動きがみられる。産業面をみると、生産は、増加のテンポが緩やかになっている。企業収益は、大幅な改善が続いている。また、企業の業況判断は、全体としては改善のテンポが緩やかになってきており、先行きに慎重な見方もみられる。一方、企業倒産件数は、やや高い水準となっており、負債金額の増加がみられる。
雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きが続いている。
輸出は、おおむね横ばいとなっている。輸入は、緩やかに増加している。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、原油価格の上昇などから、緩やかに減少している。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、12月は110円台から112円台で推移した後、1月上旬にかけて117円台に下落した。
物価の動向をみると、国内卸売物価は、おおむね横ばいで推移している。また、消費者物価は、やや弱含んでいる。
最近の金融情勢をみると、短期金利は、12月は月末にかけて上昇した後低下し、1月上旬はおおむね横ばいで推移した。長期金利は、12月から1月上旬にかけて一進一退で推移した。株式相場は、12月は上旬に一進一退で推移した後、中旬から1月上旬にかけて大幅に下落した。マネーサプライ(M2+CD)は、12月は前年同月比2.2%増となった。民間金融機関の貸出は依然低調である。また、企業金融のひっ迫感緩和は一服している。
海外経済:主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は、拡大テンポが低下してきている。実質GDPは、2000年4~6月期前期比年率5.6%増の後、7~9月期は同2.2%増となった。個人消費は増加しているが、うち耐久財消費は2か月連続で減少した。設備投資は増加している。住宅投資は減少している。鉱工業生産(総合)はこのところ減少している。雇用は拡大している。物価は総じて安定している。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、依然高水準である。連邦準備制度は、12月19日に、今後の物価及び景気動向に対するリスク評価を「インフレ警戒」から「景気低迷警戒」に変更した。2001年1月3日に、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を0.50%引き下げ6.00%とし、公定歩合を0.25%引き下げ5.75%とした。さらに1月4日に、公定歩合を引き下げ5.50%とした。12月の長期金利(10年物国債)は、低下基調で推移した。株価(ダウ平均)は、月初に上昇し、その後は軟調に推移したが、下旬には回復した。
西ヨーロッパをみると、ユーロ圏では景気は安定した拡大が続いている。ユーロ圏主要国をみると、ドイツ、フランスでは景気は安定した拡大が続いている。鉱工業生産は、ドイツでは横ばいで推移している。フランスでは増加している。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準ながらも低下している。物価は、ドイツ、フランスでは、エネルギー価格の上昇から消費者物価上昇率がやや高まっている。
イギリスでは、景気は安定した拡大が続いている。鉱工業生産はこのところ横ばいで推移している。失業率は低水準で推移している。物価は安定している。
東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはやや鈍化している。物価はやや高まっている。貿易は、輸出の伸びがこのところ鈍化している。韓国では、景気は拡大を続けてきたが、このところ生産の伸びが鈍化するなど、先行きに不透明感が広がっている。貿易は、輸出入ともに伸びが鈍化している。
国際金融市場の12月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、減価基調で推移した。
国際商品市況12月の動きをみると、CRB商品先物指数は月初は強含んだものの、中旬にかけ大幅に下落し、その後228ポイント前後で推移した。原油スポット価格(北海ブレント)は、ほぼ一本調子で下落し、月末にかけては、ほぼ8か月ぶりに23ドル割れを記録した。
1.国内需要:住宅建設は、持家及び貸家の着工が増加したため、直近ではやや水準を戻している
個人消費は、収入がやや回復してきたものの、おおむね横ばいの状態が続いている
家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で10月0.2%減の後、11月(速報値)は1.3%減(季節調整済前月比1.5%減)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比2.3%減、勤労者以外の世帯では同1.0%増となった。形態別にみると、財、サービスともに減少となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比1.0%減、勤労者世帯では同1.6%減となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で10月1.1%増となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で10月2.2%減の後、11月(速報値)は0.7%減(季節調整済前月比0.2%増)となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で10月3.7%減の後、11月(速報値)2.0%減となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で10月4.9%減の後、11月5.1%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を含む)新車新規登録・届出台数は、前年同月比で12月(速報値)は3.2%増となった。また、家電小売金額(日本電気大型店協会)は、前年同月比で11月は12.0%増となった。レジャー面を大手旅行業者13社取扱金額でみると、11月は前年同月比で国内旅行が0.4%増、海外旅行は8.2%増となった。
賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では前年同月比で10月0.9%増の後、11月は0.7%増(事業所規模30人以上では同0.5%増)となり、うち所定外給与は、11月は同4.4%増(事業所規模30人以上では同4.8%増)となった。実質賃金は、前年同月比で10月2.0%増の後、11月は1.5%増(事業所規模30人以上では同1.2%増)となった。
住宅建設は、持家及び貸家の着工が増加したため、直近ではやや水準を戻している。
新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で10月は4.6%減(前年同月比1.5%増)となった後、11月は5.4%増(前年同月比2.2%増)の10万2千戸(年率122.6万戸)となった。11月の着工床面積(季節調整値)は、前月比4.9%増(前年同月比2.1%増)となった。11月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比6.7%増(前年同月比5.2%増)、貸家は同9.0%増(同5.7%増)、分譲住宅は同0.9%増(同6.6%減)となっている。
設備投資は、製造業を中心に増加している。
日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の12年度設備投資計画は、製造業で前年度比16.4%増(9月調査比2.3%上方修正)、非製造業で同2.5%増(同1.0%上方修正)となっており、全産業では同7.6%増(同1.5%上方修正)となった。また、中堅企業では、製造業で前年度比14.6%増(9月調査比4.1%上方修正)、非製造業で同0.1%増(同1.6%上方修正)となり、中小企業では製造業で同11.3%増(同5.8%上方修正)、非製造業で7.2%減(同3.4%上方修正)となっている。
なお、12年7~9月期の設備投資を、財務省「法人企業統計季報」(全産業)でみると前年同期比で0.2%増(うち製造業13.0%増、非製造業5.9%減)となった。
先行指標の動きをみると、当府「機械受注統計調査」によれば、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で10月は8.3%増(前年同月比25.4%増)の後、11月は2.9%減(同22.0%増)となり、基調は、全体として増勢が続いている。
なお、10~12月期(見通し)の機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前期比で7.6%増(前年同期比26.4%増)と見込まれている。
民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、おおむね横ばいで推移しており、10月は季節調整済前月比5.2%減の後、11月は季節調整済前月比15.5%増(前年同月比5.9%減)となった。内訳をみると、製造業は季節調整済前月比5.0%増(前年同月比27.8%増)、非製造業は同25.8%増(同14.3%減)となった。
公的需要関連指標をみると、公共投資は、総じて低調に推移しているが、工事の受注にはこのところ前年を上回る動きがみられる。
公共機関からの建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年の公共工事着工統計調査と比較して、10月は2.3%減(参考値)の後、11月は18.1%増(同)となった。同じく大手50社の受注額は、前年同月比で10月は27.5%増の後、11月は1.0%増となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で11月は7.9%減の後、12月は0.7%減となった。
2.生産雇用:生産は、増加のテンポが緩やか
鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、増加のテンポが緩やかになっている。在庫は、11月は減少した。
鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で10月1.5%増の後、11月(速報)は、一般機械、輸送機械等が増加したものの、電気機械、金属製品等が減少したことから、0.8%減となった。また製造工業生産予測指数(季節調整値)は、前月比で12月は電気機械、一般機械等により2.0%増の後、1月は電気機械、鉄鋼等により、1.5%増となっている。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で10月0.9%増の後、11月(速報)は、耐久消費財、資本財等が減少したことから、0.3%減となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で10月1.5%増の後、11月(速報)は、窯業・土石製品、非鉄金属等が増加したものの、輸送機械、石油・石炭製品等が減少したことから、0.7%減となった。また、11月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値)は99.5と前月を1.8ポイント下回った。
主な業種について最近の動きをみると、電気機械では、生産は11月は減少し、在庫は2か月連続で増加した。一般機械では、生産は11月は増加し、在庫は11月は減少した。化学では、生産は3か月連続で減少し、在庫は11月は減少した。
第3次産業の動向を経済産業省「第3次産業活動指数」(10月調査、季節調整値)でみると、前月比で9月1.1%減の後、10月(速報)は、運輸・通信業、サービス業等が減少したものの、不動産業、金融・保険業が増加した結果、0.1%増となった。
雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きが続いている。
労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、10月0.64倍の後、11月0.65倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、10月1.11倍の後、11月1.15倍となった。総務省「労働力調査」による雇用者数は、10月は前年同月比1.0%増(前年同月差52万人増)の後、11月は同1.3%増(同72万人増)となった。常用雇用(事業所規模5人以上)は、10月前年同月比0.1%減(季節調整済前月比0.0%)の後、11月は同0.0%(同0.1%増)となり(事業所規模30人以上では前年同月比1.0%減)、産業別には製造業では同1.1%減となった。11月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差8万人増の325万人、完全失業率(同)は、10月4.7%の後、11月4.8%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では10月前年同月比11.5%増(季節調整済前月比0.2%増)の後、11月は同10.5%増(同0.5%減)となっている(事業所規模30人以上では前年同月比13.0%増)。
企業の動向をみると、企業収益は、大幅な改善が続いている。また、企業の業況判断は、全体としては改善のテンポが緩やかになってきており、先行きに慎重な見方もみられる。
前記「企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、大企業(全産業)では、経常利益は12年度上期には前年同期比33.3%の増益の後、12年度下期には同3.1%の増益が見込まれている。産業別にみると、製造業では12年度上期に前年同期比41.4%の増益の後、12年度下期には同20.5%の増益が見込まれている。また、非製造業では12年度上期に前年同期比26.6%の増益の後、12年度下期には同11.9%の減益が見込まれている。売上高経常利益率は、製造業では12年度上期に4.45%になった後、12年度下期は4.58%と見込まれている。また、非製造業では12年度上期に2.98%となった後、12年度下期は2.34%と見込まれている。こうしたなかで、企業の業況判断をみると、製造業は横ばいとなり、非製造業は「悪い」超幅が拡大した。
また、中小企業の動向を同調査でみると、製造業では、経常利益は12年度上期には前年同期比46.1%の増益の後、12年度下期には同10.3%の増益が見込まれている。また、非製造業では、12年度上期に前年同期比13.9%の増益の後、12年度下期には同1.5%の減益が見込まれている。こうしたなかで、企業の業況判断をみると、製造業、非製造業ともに「悪い」超幅が縮小した。
企業倒産の状況をみると、やや高い水準となっており、負債金額の増加がみられる。
銀行取引停止処分者件数は、11月は1,033件で前年同月比8.9%増となった。件数の業種別構成比を見ると、建設業(34.1%)が最大のウエイトを占め、次いで製造業(19.9%)、小売業(18.1%)の順となった。
3.国際収支:輸出は、おおむね横ばい
輸出は、おおむね横ばいとなっている。
通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で10月4.3%減の後、11月は4.0%増(前年同月比5.1%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース、季節調整値)にみると、一般機械等が減少した。同じく地域別にみると、EU等が減少した。
輸入は、緩やかに増加している。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で10月3.8%増の後、11月は1.4%増(前年同月比4.6%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース、季節調整値)にみると、機械機器、鉱物性燃料等が増加した。同じく地域別にみると、アジア、アメリカ等が増加した。
通関収支差(季節調整値)は、10月に6,097億円の黒字の後、11月は6,224億円の黒字となった。
国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、原油価格の上昇などから、緩やかに減少している。
11月の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が縮小したものの、貿易収支の黒字幅が縮小したことから、その黒字幅は縮小し、4,849億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、貿易・サービス収支の黒字幅が縮小し、経常移転収支の赤字幅が拡大したものの、所得収支の黒字幅が拡大したことから、その黒字幅は拡大し、9,980億円となった。投資収支(原数値)は、6,484億円の赤字となり、資本収支(原数値)は、6,769億円の赤字となった。
12月末の外貨準備高は、前月比71億ドル増加して3,616億ドルとなった。
外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、12月は110円台から112円台で推移した後、1月上旬にかけて117円台に下落した。一方、対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、12月は96円台から98円台で推移した後、1月上旬にかけて111円台まで下落した。
4.物価:消費者物価は、やや弱含み
国内卸売物価は、おおむね横ばいで推移している。
12月の国内卸売物価は、電気機器(集積回路)等が下落したが、食料用農畜水産物(鶏卵)等が上昇したことから、前月比0.1%の上昇(前年同月比0.1%の下落)となった。輸出物価は、契約通貨ベースで下落したが、前月に比べ為替相場が円安となったことから、円ベースでは前月比2.1%の上昇(前年同月比1.7%の上昇)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで上昇したことに加え、前月に比べ為替相場が円安になったことから、円ベースでは前月比3.0%の上昇(前年同月比11.9%の上昇)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比0.6%の上昇(前年同月比1.1%の上昇)となった。
企業向けサービス価格は、11月は前年同月比0.4%の下落(前月比0.1%の下落)となった。
商品市況(月末対比)は非鉄等は上昇したものの、石油等の下落により12月は下落した。12月の動きを品目別にみると、アルミ地金等は上昇したものの、灯油等が下落した。
消費者物価は、やや弱含んでいる。
全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で10月0.6%の下落の後、11月は家賃の上昇幅が拡大したこと等により0.5%の下落(前月比保合い、季節調整済前月比0.1%の上昇)となった。なお、総合は、前年同月比で10月0.9%の下落の後、11月は0.5%の下落(前月比0.2%の下落、季節調整済前月比0.4%の上昇)となった。
東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で11月0.9%の下落の後、12月(中旬速報値)は、家賃の下落幅が拡大したこと等により1.0%の下落(前月比0.2%の下落、季節調整済前月比0.1%の下落)となった。なお、総合は、前年同月比で11月1.0%の下落の後、12月(中旬速報値)は0.6%の下落(前月比保合い、季節調整済前月比0.1%の上昇)となった。
5.金融財政:13年度予算(概算)を閣議決定
政府は平成12年12月24日、82兆6,500億円(前年度当初比2.7%減)の平成13年度一般会計予算(概算)を閣議決定した。
最近の金融情勢をみると、短期金利は、12月は月末にかけて上昇した後低下し、1月上旬はおおむね横ばいで推移した。長期金利は、12月から1月上旬にかけて一進一退で推移した。株式相場は、12月は上旬に一進一退で推移した後、中旬から1月上旬にかけて大幅に下落した。M2+CDは、12月は前年同月比2.2%増となった。
短期金融市場をみると、オーバーナイトレートは、12月から1月上旬にかけておおむね横ばいで推移した。2、3ヶ月物は、12月は月末にかけて上昇した後低下し、1月上旬はおおむね横ばいで推移した。
公社債市場をみると、国債利回りは、12月から1月上旬にかけて一進一退で推移した。
国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、11月は前月比で短期は0.040%ポイント低下し、長期は0.118%ポイント低下したことから、総合では0.059%ポイント低下し1.871%となった。
マネーサプライをみると、M2+CD(月中平均残高)は、12月(速報)は前年同月比2.2%増となった。また、広義流動性は、12月(速報)は同3.1%増となった。
企業金融の動向をみると、金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、12月(速報)は前年同月比3.8%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.9%減)となった。12月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が300億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は7,299億円(うち銀行起債分1,500億円)となった。
「企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、資金繰り判断は、横ばいとなっている。金融機関の貸出態度判断は、横ばいとなっており、「緩い」超が続いている。
以上のように、民間金融機関の貸出は依然低調である。また、企業金融のひっ迫感緩和は一服している。
株式市場をみると、東証株価指数(TOPIX)は、12月は上旬に一進一退で推移した後、中旬から1月上旬にかけて大幅に下落した。日経平均株価もほぼ同様の動きとなった。
6.海外経済:アメリカ、利下げ
主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は、拡大テンポが低下してきている。実質GDPは、2000年4~6月期前期比年率5.6%増の後、7~9月期は同2.2%増となった。個人消費は増加しているが、うち耐久財消費は2か月連続で減少した。設備投資は増加している。住宅投資は減少している。鉱工業生産(総合)はこのところ減少している。雇用は拡大している。雇用者数(非農業事業所)は11月前月差5.9万人増の後、12月は同10.5万人増と拡大している。失業率は12月4.0%となった。物価は総じて安定している。11月の消費者物価は前年同月比3.4%の上昇、12月の生産者物価(完成財総合)は同3.6%の上昇となった。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、依然高水準である。連邦準備制度は、12月19日に、今後の物価及び景気動向に対するリスク評価を「インフレ警戒」から「景気低迷警戒」に変更した。2001年1月3日に、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を0.50%引き下げ6.00%とし、公定歩合を0.25%引き下げ5.75%とした。さらに1月4日に、公定歩合を引き下げ5.50%とした。12月の長期金利(10年物国債)は、低下基調で推移した。株価(ダウ平均)は、月初に上昇し、その後は軟調に推移したが、下旬には回復した。
西ヨーロッパをみると、ユーロ圏では景気は安定した拡大が続いている。ユーロ圏の実質GDPは4~6月期前期比年率3.3%の後、7~9月期同2.7%となった。ユーロ圏主要国をみると、ドイツ、フランスでは景気は安定した拡大が続いている。7~9月期の実質GDPは、ドイツ前期比年率2.3%増、フランス同2.3%増となった。鉱工業生産は、ドイツでは横ばいで推移している。フランスでは増加している (鉱工業生産は、ドイツ11月前月比0.4%増、フランス10月同0.8%増)。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準ながらも低下している (失業率は、ドイツ12月9.2%、フランス11月9.2%)。物価は、ドイツ、フランスでは、エネルギー価格の上昇から消費者物価上昇率がやや高まっている (消費者物価上昇率は、ドイツ12月前年同月比2.2%、フランス12月同1.6%)。
イギリスでは、景気は安定した拡大が続いている。7~9月期の実質GDPは前期比年率2.8%増となった。鉱工業生産はこのところ横ばいで推移している(11月前月比0.1%増)。失業率は低水準で推移している(11月3.6%)。物価は安定している(消費者物価上昇率は11月前年同月比2.2%)。
東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはやや鈍化している。物価はやや高まっている。貿易は、輸出の伸びがこのところ鈍化している。韓国では、景気は拡大を続けてきたが、このところ生産の伸びが鈍化するなど、先行きに不透明感が広がっている。貿易は、輸出入ともに伸びが鈍化している。
国際金融市場の12月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、減価基調で推移した。モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(1990年=100)をみると、12月31日現在114.9、11月末比2.1%の減価となっている。内訳をみると、12月31日現在、対円では11月末比3.6%増価、対ユーロでは同8.0%減価した。
国際商品市況の12月の動きをみると、CRB商品先物指数は月初は強含んだものの、中旬にかけ大幅に下落し、その後228ポイント前後で推移した。原油スポット価格(北海ブレント)は、ほぼ一本調子で下落し、月末にかけては、ほぼ8か月ぶりに23ドル割れを記録した。
トピック:成長の減速が見込まれる世界経済
国際機関の見通しによれば、2001年の世界経済は、アメリカの景気拡大テンポが低下することなどから、2000年よりはやや低めの成長となることが見込まれている。
ただし、世界のGDPシェアの約3割をしめるアメリカ経済の動向は、アジア諸国をはじめ世界経済に大きな影響を与えることから、持続可能な景気拡大ペースに落ち着くかどうかを今後とも注視する必要がある。