月例経済報告（平成10年6月）
平成10年6月9日
経済企画庁調査局
概観
我が国経済：需要面をみると、個人消費は、消費性向には持ち直しの動きもみられるものの、雇用者所得の低迷もあって、低調に推移している。住宅建設は、おおむね横ばいで推移してきたものの、足元下落するなど依然その水準は低い。設備投資は、弱含んでいる。
産業面をみると、最終需要が停滞していることを背景に、在庫は高水準にあり、鉱工業生産は、減少傾向にある。企業収益は、全体として減少している。また、企業の業況判断は、一層厳しさが増している。
雇用情勢をみると、雇用者数が減少し、完全失業率が既往最高の４％台となるなど更に厳しさが増している。
輸出は、アジア向けが減少していることから、このところ頭打ちとなっている。輸入は、やや弱含んでいる。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、輸入物価の下落もあって、増加傾向にある。対米ドル円相場（インターバンク直物中心相場）は、５月は、月初の 133円台から下落し、 139円台となった。
物価の動向をみると、国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、弱含みで推移している。また、消費者物価は、安定している。
最近の金融情勢をみると、短期金利は、５月は月初にやや低下した後、おおむね横ばいで推移した。長期金利は、５月はやや低下した。株式相場は、５月はおおむね横ばいで推移した。マネーサプライ（Ｍ2+ＣＤ）は、４月は前年同月比 3.5％増となった。
海外経済：主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大している。実質ＧＤＰは、97年10～12月期前期比年率 3.7％増の後、98年１～３月期は同 4.8％増（速報値）となった。個人消費、設備投資、住宅投資は増加している。鉱工業生産（総合）はこのところ伸びに鈍化がみられる。雇用は拡大している。物価は安定している。財の貿易収支赤字（国際収支ベース）は、拡大している。５月の長期金利（30年物国債）は、やや上下したが、総じて低下した。５月の株価（ダウ平均）は、やや上下し、５月13日には最高値を更新したが、月末にかけて下落した。
西ヨーロッパをみると、ドイツ、フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気拡大のテンポは緩やかになってきている。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは拡大しており、イギリスでは鈍化している。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準で推移しているが、イギリスでは低下している。物価は、ドイツ、フランスでは安定しており、イギリスでは安定基調である。
東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は、安定している。貿易収支は、大幅な黒字が続いている。韓国では、景気は後退している。失業率は、大幅に上昇している。物価は、高騰している。貿易収支黒字は、拡大している。
国際金融市場の５月の動きをみると、米ドル（実効相場）は、総じて増価した。
国際商品市況の５月の動きをみると、弱含みでの推移となった。５月の原油スポット価 格（北海ブレント）は、石油産出国の追加減産合意の思惑に左右されたが、実行性が問われ、全体としてやや強含みで推移した。
我が国経済の最近の動向をみると、輸出は、アジア向けが減少していることから、このところ頭打ちとなっている。設備投資は、弱含んでいる。個人消費は、消費性向には持ち直しの動きもみられるものの、雇用者所得の低迷もあって、低調に推移している。住宅建設は、おおむね横ばいで推移してきたものの、足元下落するなど依然その水準は低い。このように最終需要が停滞していることを背景に、在庫は高水準にあり、生産は減少傾向にある。雇用情勢をみると、雇用者数が減少し、完全失業率が既往最高の４％台となるなど更に厳しさが増している。また、民間金融機関において貸出態度に慎重さがみられる。昨年末以来の経済の先行きに対する著しい不透明感には落ち着く兆しもみられるものの、最終需要の停滞が生産や雇用等実体経済全体に及ぼす影響が強まっており、景気は停滞し、一層厳しさを増している。
このような厳しい経済の現況に対応し、政府は、４月24日に決定した総事業費16兆円超の過去最大規模の「総合経済対策」の着実な実施を図ることとする。また、現下の雇用情勢に対応するため、６月２日、産業構造転換・雇用対策本部を開催し、当面の対処方針を取りまとめた。
１．国内需要：個人消費は低調に推移
個人消費は、消費性向には持ち直しの動きもみられるものの、雇用者所得の低迷もあって、低調に推移している。
家計調査でみると、実質消費支出（全世帯）は前年同月比で３月 5.7％減の後、４月は2.1％減（前月比3.5％減）となった。 世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比0.5％減、勤労者以外の世帯では同5.1％減となった。 形態別にみると、非耐久財は増加し、サービス等は減少となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比1.6％減、勤労者世帯では同0.2％減となった。 また、農家世帯（農業経営統計調査）の実質現金消費支出は前年同月比で１月6.9％減となった。
小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で３月13.6％減の後、４月は0.5％減（前月比2.1％減）となった。 全国百貨店販売額（店舗調整済）は前年同月比で３月18.4％減の後、４月8.1％増となった。チェーンストア売上高（店舗調整後）は、前年同月比で３月10.7％減の後、４月1.8％増となった。 一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車（軽を含む）新車新規登録・届出台数は、前年同月比で５月は0.4％減となった。 また、家電小売金額は、前年同月比で４月は0.6％増となった。
レジャー面を大手旅行業者13社取扱金額でみると、３月は前年同月比で国内旅行が2.8％減、海外旅行は14.8％減となった。
賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模５人以上では前年同月比で３月0.6％増の後、４月（速報）は0.5％減（事業所規模30人以上では同0.2％減）となり、うち所定外給与は、４月（速報）は同8.2％減（事業所規模30人以上では同8.7％減）となった。 実質賃金は、前年同月比で３月1.7％減の後、４月（速報）は0.7％減（事業所規模30人以上では同0.5％減）となった。
住宅建設は、おおむね横ばいで推移してきたものの、足元下落するなど依然その水準は低い。
新設住宅着工をみると、総戸数（季節調整値）は、前月比で３月1.3％減（前年同月比11.9％減）となった後、４月は5.7％減（前年同月比16.1％減）の10万３千戸（年率124万戸）となった。 ４月の着工床面積（季節調整値）は、前月比6.8％減（前年同月比16.2％減）となった。 ４月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比5.8％減（前年同月比10.4％減）、貸家は同0.1％増（同14.4％減）、分譲住宅は同10.4％減（同26.9％減）となっている。
設備投資は、弱含んでいる。
当庁「法人企業動向調査」（10年３月調査）により設備投資の動向をみると、全産業の設備投資は、前期比で９年10～12月期（実績）2.8％減（うち製造業4.4％増、非製造業5.8％減）の後、10年１～３月期（実績見込み）は3.0％減（同1.4％減、同4.5％減）となっている。
また、10年４～６月期（修正計画）は、前期比で1.5％減（うち製造業0.2％減、非製造業2.3％減）、10年７～９月期（計画）は1.6％増（同0.4％増、同2.3％増）と見込まれている。
なお、年度計画では、前年度比で９年度（実績見込み）0.9％増（うち製造業8.0％増、非製造業2.6％減）の後、10年度（計画）は4.5％減（同7.1％減、同3.0％減）となっている。
先行指標の動きをみると、機械受注（船舶・電力を除く民需）は、前月比で２月は11.3％減（前年同月比17.9％減）の後、３月は9.5％増（同1.4％増）となり、 全体として弱含みで推移している。なお、当庁「機械受注調査（見通し）」によれば、機械受注（船舶・電力を除く民需）は、４～６月期（見通し）は前期比で8.1％減（前年同期比14.6％減）と見込まれている。
民間からの建設工事受注額（50社、非住宅）をみると、このところおおむね横ばいで推移してきたが、４月は前月比23.5％減（前年同月比11.3％減）となった。 内訳をみると、製造業は前月比33.1％減（前年同月比26.0％減）、非製造業は同21.1％減（同6.7％減）となった。
公的需要関連指標をみると、公共投資については、着工総工事費は、前年同月比で２月11.8％増の後、３月は1.8％減となった。
公共工事請負金額は、前年同月比で３月5.8％減の後、４月は2.7％増となった。官公庁からの建設工事受注額（50社）は、前年同月比で３月6.0％減の後、４月は38.4％減となった。
２生産雇用：更に厳しさが増す雇用情勢
鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は高水準にあり、生産・出荷は、減少傾向にある。
鉱工業生産は、前月比で３月2.3％減の後、４月（速報）は、輸送機械、化学等が増加したものの、電気機械、一般機械等が減少したことから、1.1％減となった。 また製造工業生産予測指数は、前月比で５月は機械、化学等により0.4％増の後、６月は化学、機械等により1.5％増となっている。
鉱工業出荷は、前月比で３月1.4％減の後、４月（速報）は、非耐久消費財、耐久消費財が増加したものの、建設財、生産財等が減少したことから、2.8％減となった。
鉱工業生産者製品在庫は、前月比で３月0.4％減の後、４月（速報）は、鉄鋼、輸送機械等が減少したものの、電気機械、石油・石炭製品等が増加したことから、0.5％増となった。 また、４月（速報）の鉱工業生産者製品在庫率指数は116.3と前月を3.4ポイント上回った。
主な業種について最近の動きをみると、電気機械では、生産は４月は減少し、在庫は増加した。一般機械では、生産は４月は減少し、在庫は３か月連続で減少した。 鉄鋼では、生産は３か月連続で減少し、在庫は２か月連続で減少した。
第３次産業活動の動向をみると、１～３月期は前期比0.4％減と２四半期連続で減少し、低調に推移している。
雇用情勢をみると、雇用者数が減少し、完全失業率が既往最高の４％台となるなど更に厳しさが増している。
労働力需給をみると、有効求人倍率（季節調整値）は、３月0.58倍の後、４月0.55倍となった。新規求人倍率（季節調整値）は、３月0.92倍の後、４月0.96倍となった。
雇用者数は、減少している。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、４月は前年同月比0.6％減（前年同月差32万人減）となった。
常用雇用（事業所規模５人以上）は、３月前年同月比0.5％増（季節調整済前月比0.1％減）の後、４月（速報）は同0.3％増（同0.2％減）となり（事業所規模30人以上では前年同月比0.2％減）、産業別には製造業では同0.8％減となった。
４月の完全失業者数（季節調整値）は、前月差17万人増の281万人、完全失業率（同）は、３月3.9％の後、４月4.1％となった。
所定外労働時間（製造業）は、事業所規模５人以上では３月前年同月比13.9％減（季節調整済前月比3.4％減）の後、４月（速報）は同17.1％減（同2.6％減)となっている（事業所規模30人以上では前年同月比17.1％減）。 また、労働省「労働経済動向調査」（５月調査）によると、「残業規制」等の雇用調整を実施する事業所割合は、１～３月期は製造業を中心に急上昇した。
企業の動向をみると、企業収益は、全体として減少している。また、企業の業況判断は、一層厳しさが増している。
大企業の動向を前記「法人企業動向調査」（３月調査、季節調整値）でみると、売上高、経常利益の見通し（ともに「増加」－「減少」）は、10年４～６月期は「減少」超幅が拡大した。 また、企業経営者の景気見通し（業界景気の見通し、「上昇」－「下降」）は10年４～６月期は「下降」超幅が拡大した。
また、中小企業の動向を中小企業金融公庫「中小企業動向調査」（３月調査、季節調整値）でみると、売上げＤ．Ｉ.（「増加」－「減少」）は、10年１～３月期は「減少」超幅が拡大し、純益率Ｄ．Ｉ.（「上昇」－「低下」）は、「低下」超幅が拡大した。 業況判断Ｄ．Ｉ．（「好転」－「悪化」）は、10年１～３月期は「悪化」超幅が拡大した。
企業倒産の状況をみると、件数は、このところ前年の水準を大きく上回る傾向にある。
銀行取引停止処分者件数は、４月は1,238件で前年同月比26.3％増となった。業種別に件数の前年同月比をみると、製造業で33.2％、卸売業で25.4％の増加となった。
３．国際収支：輸出はこのところ頭打ち
輸出は、アジア向けが減少していることから、このところ頭打ちとなっている。
通関輸出（数量ベース、季節調整値）は、前月比で３月4.4％減の後、４月は4.5％増（前年同月比1.3％減）となった。 最近数か月の動きを品目別（金額ベース）にみると、一般機械、電気機器等が減少した。 同じく地域別にみると、アジア、中南米等が減少した。
輸入は、やや弱含んでいる。
通関輸入（数量ベース、季節調整値）は、前月比で３月6.1％増の後、４月は4.1％減（前年同月比4.0％減）となった。 最近数か月の動きを品目別（金額ベース）にみると、製品類（機械機器）、鉱物性燃料等は減少した。同じく地域別にみると、アジア、中東等が減少した。
通関収支差（季節調整値）は、３月に9,005億円の黒字の後、４月は１兆2,271億円の黒字となった。
国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、輸入物価の下落もあって、増加傾向にある。
３月（速報）の貿易・サービス収支（季節調整値）は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が縮小し、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、7,475億円となった。
また、経常収支（季節調整値)は、貿易・サービス収支の黒字幅が縮小したことに加え、所得収支の黒字幅が縮小し、経常移転収支の赤字幅も拡大したため、その黒字幅は縮小し、１兆1,160億円となった。 投資収支（原数値）は、１兆6,193億円の赤字となり、資本収支（原数値）は、２兆16億円の赤字となった。
５月末の外貨準備高は、前月比12億ドル増加して2,070億ドルとなった。外国為替市場における対米ドル円相場（インターバンク直物中心相場）は、５月は、月初の133円台から下落し、139円台となった。 一方、対マルク相場（インターバンク17時時点)は、５月は、月初の74円台から下落し、月末はおおむね77円台で推移した。
４．物価：国内卸売物価は弱含みで推移
国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、弱含みで推移している。
４月の国内卸売物価は、加工食品（炭酸飲料）等が上昇したものの、電気機器（ルームエアコン）等が下落したことから、前月比0.3％の下落（前年同月比2.3％の下落）となった。
輸出物価は、契約通貨ベースで下落したものの、円安から円ベースでは前月比1.2％の上昇（前年同月比0.8％の下落）となった。
輸入物価は、契約通貨ベースで下落したものの、円安から円ベースでは前月比0.4％の上昇（前年同月比8.0％の下落）となった。この結果、総合卸売物価は、前月比保合い（前年同月比2.7％の下落）となった。５月上中旬の動きを前旬比でみると、国内卸売物価は上旬、中旬ともに保合い、輸出物価は上旬が0.7％の上昇、中旬が0.6％の上昇、輸入物価は上旬が0.6％の上昇、中旬が0.5％の上昇、総合卸売物価は上旬が0.1％の上昇、中旬が0.2％の上昇となっている。
企業向けサービス価格は、４月は前年同月比0.1％の下落（前月比保合い）となった。
商品市況（月末対比）は「その他」等は上昇したものの、鋼材等の下落により５月は下落した。５月の動きを品目別にみると、天然ゴム等は上昇したものの、厚鋼板等が下落した。
消費者物価は、安定している。
全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で３月1.8％の上昇の後、４月は消費税要因のはく落等により0.2％の上昇（前月比0.3％の上昇）となった。 なお、総合は、前年同月比で３月2.2％の上昇の後、４月は0.4％の上昇（前月比0.2％の上昇）となった。
東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で４月0.5％の上昇の後、５月（中旬速報値）は持家の帰属家賃の上昇幅の縮小等により0.3％の上昇（前月比0.1％の上昇）となった。 なお、総合は、前年同月比で４月0.7％の上昇の後、５月（中旬速報値）は0.8％の上昇（前月比0.4％の上昇）となった。
５．金融財政：長期金利はやや低下
最近の金融情勢をみると、短期金利は、５月は月初にやや低下した後、おおむね横ばいで推移した。 長期金利は、５月はやや低下した。株式相場は、５月はおおむね横ばいで推移した。 マネーサプライ（Ｍ2+ＣＤ）は、４月は前年同月比3.5％増となった。 短期金融市場をみると、オーバーナイトレートは、５月はおおむね横ばいで推移した。 ２、３か月物は、５月は月初にやや低下した後、おおむね横ばいで推移した。 公社債市場をみると、国債流通利回りは、５月はやや低下した。なお、国債指標銘柄流通利回り（東証終値）は５月25日に1.210％となり、史上最低を更新した。 国内銀行の貸出約定平均金利（新規実行分）は、４月は短期は0.013％低下し、長期は0.145％上昇したことから、総合では前月比で0.009％低下し1.866％となった。 マネーサプライ（Ｍ2+ＣＤ）の月中平均残高を前年同月比でみると、４月（速報）は3.5％増となった。 また、広義流動性でみると、４月（速報）は2.4％増となった。
企業金融の動向をみると、金融機関の貸出平残（全国銀行）は、４月（速報）は前年同月比2.5％減となった。 ５月のエクイティ市場での発行（国内市場発行分）は、転換社債がゼロとなった。また、５月の国内公募事業債の起債実績は１兆2,060億円となった。 民間金融機関において貸出態度に慎重さがみられる。 株式市場をみると、日経平均株価は、５月はおおむね横ばいで推移した。
６．海外経済：アジア経済、総じて減速
主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大している。 実質ＧＤＰは、97年10～12月期前期比年率3.7％増の後、98年１～３月期は同4.8％増（速報値）となった。 個人消費、設備投資、住宅投資は増加している。 鉱工業生産（総合）はこのところ伸びに鈍化がみられる。雇用は拡大している。雇用者数（非農業事業所）は３月前月差2.4万人減の後、４月は同26.2万人増となった。 失業率は４月4.3％となった。物価は安定している。４月の消費者物価は前月比0.2％の上昇、４月の生産者物価（完成財総合）は同0.2％の上昇となった。 財の貿易収支赤字（国際収支ベース）は、拡大している。５月の長期金利（30年物国債）は、やや上下したが、総じて低下した。 ５月の株価（ダウ平均）は、やや上下し、５月13日には最高値を更新したが、月末にかけて下落した。
西ヨーロッパをみると、ドイツ、フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気拡大のテンポは緩やかになってきている。 １～３月期の実質ＧＤＰは、ドイツ前期比年率3.9％増、フランス同2.3％増、イギリス同2.0％増となった。 鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは拡大しており、イギリスでは鈍化している（鉱工業生産は、ドイツ３月前月比0.8％増、フランス３月同1.8％増、イギリス３月同0.7％増）。 失業率は、ドイツ、フランスでは高水準で推移しているが、イギリスでは低下している（４月の失業率は、ドイツ11.4％、フランス11.9％、イギリス4.8％）。 物価は、ドイツ、フランスでは安定しており、イギリスでは安定基調である。（４月の消費者物価上昇率は、ドイツ前年同月比1.4％、フランス同1.0％、イギリス同4.0％）。
東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は、安定している。貿易収支は、大幅な黒字が続いている。韓国では、景気は後退している。 失業率は、大幅に上昇している。物価は、高騰している。貿易収支黒字は、拡大している。
国際金融市場の５月の動きをみると、米ドル（実効相場）は、総じて増価した（モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数（1990年＝100)５月29日112.4、４月末比1.9％の増価）。 内訳をみると、５月29日現在、対円では４月末比4.6％増価、対マルクでは同0.6％減価した。 国際商品市況の５月の動きをみると、弱含みでの推移となった。５月の原油スポット価格（北海ブレント）は、石油産出国の追加減産合意の思惑に左右されたが、実行性が問われ、全体としてやや強含みで推移した。