付注2-5 企業特殊資本の影響を考慮した転職後賃金の分析

1.概要

神林(2011)を参考に、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2020~2024年)におけるフルタイム労働者の疑似パネルデータを作成した。企業特殊資本が転職後賃金に与える影響を確認するため、様々な属性をコントロールしたうえで、転職の有無による賃金水準の違いを、転職からの期間や職種ごとに推計を行った。

2.データとデータセットの作成方法

(1)データ

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の個票データ

(2)データセットの作成方法

賃金構造基本統計調査(以下「BSWS」という。)による疑似パネルデータの作成にあたって、同一事業所の接続については、事業所ごとの固有コードである共通事業所コードが連続する2か年で同一であることを基準に行った。また、同一人物の接続については、同一事業所のフルタイム労働者について、性別、学歴、年齢、勤続年数の組み合わせが一人しかいない場合に、翌年の同一事業所においても同一人物の候補(同一の性別及び学歴、1を加えた年齢及び勤続年数)が一人であった時、両者を同一人物とみなしている。

「転職ダミー」の作成にあたっては、BSWSにおける最終学歴と年齢の情報を用いて、労働者を「生え抜き労働者」と「転職を経験した労働者」に分類した。まず、生え抜き労働者については、最終学歴を修了後に就職したと想定される「想定就業開始年齢」を学歴区分に応じて設定1し、実際に観測された年齢から勤続年数を差し引いて得られる「観測就業開始年齢」が、この想定就業開始年齢と一致する者を生え抜き労働者とした。一方、この条件に当てはまらない者は、転職経験者と分類した。さらに、この転職経験労働者に転職後の勤続年数に応じて区分した「転職後勤続年数ダミー2」を別途作成した。

なお、分析に用いるサンプルについて、第2-2-20図(1)では全年齢、第2-2-20図(2)では59歳以下を対象とし、それぞれ基本給の上下2.5%を除外している。

3.推計方法

付注2-5 推計方法の数式
付注2-5 推計方法の推計結果

1 BSWSが毎年6月時点の調査であること等を踏まえ、中学卒は15~16歳、高校卒は18~19歳、高専・短大卒は20~21歳、大学卒は22~24歳、大学院卒は24~26歳で就職とした。
2 転職直後(0~2年)、転職後3~5年、6~8年、9~11年、12~15年、16~20年、21年以上の7区分に分類した。