付注2-2 ROAの変動要因の分解について

1 業種分類の方法

第2-3-4図における業種別ROAは、Bloombergが各国共通に定める業種分類を、下記の通り製造業・非製造業に振り分けた上で、欠損値のない企業について集計した。

付注2-2 表を画像化したもの

2 対象企業数

対象企業はBloombergで財務データが取得可能な上場企業。各年の上下1%を異常値として除いた上で、2000年以降の各年についてデータの欠損が無い企業が対象。各国の対象企業数はそれぞれ日本1,476社(製造業896社、非製造業580社)、アメリカ1,379社(製造業700社、非製造業679社)、欧州678社(製造業301社、非製造業377社)、中国845社(製造業499社、非製造業346社)。

3 要因分解の方法

第2-3-5図におけるROAの変動要因の分解は中川(2001)を参考に、下記の通り行った。すなわち、マクロ的なROAの変化(前年差)は、各企業のROAの変化と、各企業のシェアの変動、および両者の交絡項に分解される。t年における企業iのROAをROAi,tとし、そのマクロ的な集計値(平均)をROAall,tとする。また、t年における企業iの総資産ウェイトをWi,tとすると、マクロのROAは下記の通り分解ができる。

マクロのROAの変動の要因分解式

付注2-2 数式を画像化したもの

上式の①が、企業別のROAの変化の貢献を表し、「内部効果」と呼ぶ。②は、企業間の総資産シェアの変化による貢献を表し、企業間の資源配分効率性を反映する要因として、「再配分効果」と呼ぶ。③は、「内部効果」と「再配分効果」の交絡項である。