付注2-1 無形資産投資が労働生産性に与える効果の推計について

1 概要

企業の無形資産投資が労働生産性に与える影響について、企業を(1)従業者一人当たり教育訓練ストックの伸び率別と(2)社齢別にグループ分けし、森川(2018)の手法を参考に分析を行った。

2 データ

経済産業省「企業活動基本調査」の調査票情報(2009~2019年度)

3 推計方法

(1)教育訓練投資の伸び率別の推計(第2-2-4図)

教育訓練投資を積極的に行っている企業グループでは、その他のグループに比べてソフトウェア投資による労働生産性の押上げ効果が大きいかつ有意といえるかについて検証するため、固定効果モデルによる推計を行った。

グループ分けにおいては、各企業について2013年度から2019年度にかけての従業者一人当たり教育訓練ストックの伸び率を計算し、伸び率が66パーセンタイル超の企業を「上位グループ(年平均増加率の中央値:+18.2%)」、33パーセンタイル超~66パーセンタイル以下の企業を「中位グループ(同:+2.4%)」、33パーセンタイル以下の企業を「下位グループ(同:▲12.4%)」に分類した。なお、2013年度又は2019年度の従業者一人当たり教育訓練ストックが0(又は未回答)の場合、分析対象から除外している。

推計式は以下のとおり。

付注2-1 数式を画像化したもの

LPi,tは労働生産性、Trainingi,tは従業者一人当たり教育訓練ストック、Dum1iDum3iはそれぞれ上位~下位グループに属する場合に1をとるダミー変数、Softwarei,tは従業者一人当たりソフトウェアストック、Tangiblei,tは従業者一人当たり有形固定資産ストック、RDi,tは従業者一人当たり研究開発ストック、Advi,tは従業者一人当たり広告宣伝ストック、Parti,tはパート比率、λj,tは産業×年ダミー、ηiは企業固定効果である。

(2)社齢別の推計(第2-2-9図)

社齢の若い企業グループでは、その他のグループに比べて無形資産投資による労働生産性の押上げ効果が大きいかつ有意といえるかについて検証するため、固定効果モデルによる推計を行った。

グループ分けにおいては、各企業について2019年度時点の社齢を設立年をもとに計算し、社齢が66パーセンタイル超の企業を「高齢グループ(社齢の中央値:70)」、33パーセンタイル超~66パーセンタイル以下の企業を「中齢グループ(同:51)」、33パーセンタイル以下の企業を「若齢グループ(同:27)」に分類した。推計は、各グループごとに行った。

推計式は以下のとおり。

付注2-1 数式を画像化したもの

推計に用いた変数については、(1)と同様である。その他の分析の詳細については、森川(2018)を参照。

付注2-1 表1を画像化したもの
付注2-1 表2を画像化したもの
付注2-1 表3を画像化したもの