付注1-2-2 価格が上がりやすくなった品目
足下で物価が上がりやすくなった品目について、構造的な変化をみる。まず、消費者物価の各品目を、2011年~13年の3年間における物価上昇率の平均について、下落(-0.5%以下)、不変(-0.5~+0.5%)、上昇(+0.5%以上)の3つのグループに分類し、これらの品目の価格が、2014年以降の3年間において、同様に、下落、不変、上昇のどの状態へと推移していったかを比較し、3×3のマトリックスを作成した。
財の価格の推移については、2011年~13年に下落していたものの2014年~16年では価格が上昇の動きに転じたもの(図(1)中、左上の欄)が25.5%存在している。一方で、不変の動きに転じたものが10.9%、不変から上昇に転じたものが17.5%となり、以前よりも物価上昇方向に転じたものが総じて、53.9%と半分を超えていることが分かる。なお、下落から上昇に転じたグループに含まれる品目の例としては、教養娯楽財を中心とする耐久財や衣服等が挙げられる。
サービスについては、2011年~13年の時期に価格が下落し、2014年~16年に上昇ないし横ばいに転じた品目は、全体の16%であり、逆に、上昇ないし横ばいから下落に転じた品目も11%と、ネットでみて上昇に転じた割合がわずかに増えている程度となっている。2つの期間において価格が不変である品目が26.7%、共に上昇している品目が22.8%と大きな割合を占めており、サービスについては、財と比べると一部の品目において価格上昇のトレンドが続いている状況が読み取れる。個別の品目でみると、特に外食やエンターテイメント等の品目で、物価が上昇するようになった傾向が読み取れる。これは、人件費や円安等になった際の輸入財の上昇等を価格に反映している結果とみられる。
財について、為替の転嫁の影響は物価上昇にも下落にも影響すると考えられ、振れを伴うことが想定されるが、サービスについては、為替だけではなく、人件費の上昇を反映して緩やかに上昇すると考えられる。