第3章 我が国の対外的な稼ぐ力
我が国経済は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少という労働供給面での制約を抱えており、さらに、グローバル競争の激化や急速な技術革新による不確実性の高まりという構造的な問題に直面している。こうした環境にあって成長力を高めていくには、国内外の新たな市場を開拓し、潜在的な需要を獲得していくための稼ぐ力(付加価値を生み出す力)を高めていくことが不可欠である。本章では、経常収支の各項目に着目して、主に我が国の対外的な稼ぐ力について論じたい。具体的には、第1節では、我が国の対外的な稼ぎ方の変化を概観した上で、稼ぐ力の現状について検証する。第2節では、我が国の対外的な稼ぐ力の背後にあるリスクと今後の可能性について分析する。