第1章 経済の好循環と消費税率引上げの影響

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2012年末以降、持ち直しに転じた我が国経済は、総じてみれば、企業収益の拡大が賃金上昇や雇用拡大につながり、消費の拡大や投資の増加を通じて更なる企業収益の拡大に結び付くという経済の好循環が動き始める中、個人消費を中心に内需が主導する形で回復してきた。その結果、実質GDPは2013年末までに累積で2.2%増加したが、2014年に入ると同年4月に実施された消費税率引上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受け、大きく変動することとなった。

第1章では、消費税率引上げ前後の我が国経済の動向を振り返る中で、2012年末以降の景気回復基調を支えてきた雇用・所得の動向を確認するとともに、最近みられる景気の弱さに着目し、その背景・要因を探る。第1節では、前回1997年4月の消費税率引上げ(以下、「前回引上げ」という。)前後の景気動向との比較を通して、今回2014年4月の消費税率引上げ(以下、「今回引上げ」という。)前後の景気動向の特徴を概観する。また、個人消費、住宅投資に焦点を当て、消費税率引上げに伴って発生した駆け込み需要とその反動について分析を行う。第2節では、経済の好循環の波及テンポにみられる企業規模や地域、所得階層別の差を検証する。第3節では景気回復とともに進展してきたデフレ脱却に向けた動きを点検する。

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