参考1 「選択する未来」委員会報告

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はじめに

本委員会は、アベノミクスが目指す脱デフレ・経済再生のさらにその先の中長期的な経済社会の姿、50年後の日本の未来像と、2020年頃までに取り組むべき課題を中心に検討を進めてきた。

本報告のメッセージは、極めてシンプルである。現状のまま何もしない場合、極めて厳しく困難な未来が待ち受けている。しかし、未来は選択できる。未来への選択は、いつか将来に行われるものではなく、明確な選択はいまから行う必要があり、その選択によって未来を変えることができる、ということである。

これまでの日本は、人口急減・超高齢化に向けた流れが着実に進行し、慢性的なデフレが続き、力強い持続的な経済成長をなかなか実現できず、地域社会が疲弊するという悪循環に陥っていた。経済状況が好転し始め、デフレ脱却が視野に入ってきたいまこそ、人口、経済、地域社会の課題に対して一体的に取り組み、それによって相乗効果を生み出すことによって歯車の好転を図るべきである。本報告では、2020年頃までに取り組むべき対応の方向性を中心としてできるだけ具体的に提言している。

本報告の提言は、主として政府への投げ掛けである。しかし、いまの日本の課題は広範、多層的、複合的であり、政府が講ずる施策だけですべてを解決できるとは考え難い。そういう意味で、本報告が、国、地方公共団体だけでなく、地域、企業、非営利組織や一般の方々、国民の各層各人において、未来への選択を考え、選択を実行に移していく一つの契機となることを期待する。

【ポイント】

  • メッセージ
    未来は選択できる
  • キーコンセプト
    「未来」を「人口」に結びつけて描く
  • アプローチ
    人口、経済、地域社会を巡る課題に一体的に取り組む
    デフレ脱却が視野に入ってきたいまのタイミングを逃さない
    イノベーション創出による成長力強化、その基盤となるのは人の育成と多様さを活かすこと
  • 数値的な目安
    少子化対策-早期の倍増を目指す(社会保障の柱と位置付け、社会保障全体のあり方の検討などにより財源確保し、次世代につけ回ししない)
    年少人口-2020年代初めまでに減少を止める
    人口減少-2040年頃に減少幅の拡大を止め、今世紀中に人口減少を収束
    成長力-50年後においても実質GDP成長率1.5~2%程度を維持する
  • 時間軸
    2020年までのジャンプ・スタート(少子化対策の倍増、生産性の飛躍的向上、地方創生を一体的に推進。停滞、守りの姿勢を改革・変革)
    2030~2040年-厳しい状況をしのいでブレない
    2050~2060年-次世代へつないでいく
  • 具体的な取組提案
    人口-地域の実情に応じた対応強化、結婚・出産・子育て・教育支援の拡充
    経済-多様性、異能・異才を最大活用した生産性の飛躍的向上
    地域社会-地域の個性・強みを活かし、内発的で持続性があるモデルの構築
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