第13回記者会見要旨:令和8年 会議結果

城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨

1.発言要旨

 本日、私の方から二点ご報告いたします。まず、経済財政諮問会議の概要についてです。本日の議題は二つでございまして、「年内に取り組むべき新内閣の課題」及び「マクロ経済運営」について議論を行いました。
 一つ目の議題の「年内に取り組むべき新内閣の課題」では、民間議員から、令和9年度予算が「責任ある積極財政元年」にふさわしい予算となるよう、『「強く豊かな日本」投資枠』や複数年度での予算管理の在り方などを具体化すること、『予算編成の基本方針』、『政府経済見通し』、『中長期試算』、「多角的な分析・検証」、「政策の点検・見直し」を「経済財政運営の一連のサイクル」として、来年度以降も具体化・定着させていくこと、また、令和9年度予算の在り方を議論するに当たっては、「足下の税収実績」等を十分に分析し、より的確な「税収見積もり」とすること、などについてご提案がございました。
 二つ目の議題の「マクロ経済運営」では、日銀の植田総裁から、今後の経済・物価見通しについてご説明の後、意見交換を行いました。民間議員からは、世界的に「原油価格高騰」によるインフレが加速する中、官民で長期資金への需要が高まり、長期金利も上昇傾向にあること、我が国も、こうした世界経済の動きの中にあること、金利上昇は、様々な要因によって変動しており、「家計」「企業」「財政」への影響を丁寧にみていく必要があること、そのためにも、政府と日本銀行は経済・物価情勢について認識を共有し、緊密に連携していくこと、また、「住宅ローン減税」などの施策が活用されるよう、積極的な周知を行うことや、「中所得」・「低所得」世帯の負担増に対応する観点から、「飲食料品に係る消費税率の引下げ」や、その後の「就業者負担軽減支援金」の導入を着実に進めること、などのご提案がございました。
 高市総理からは、高市内閣は「物価上昇」と「金利」のある経済の下、「国内投資」や「生産性向上」を通じて供給力を強化し、「強い経済」を実現していくこと、そのためにも、年末までの経済財政諮問会議において、私(城内大臣)が中心となって、令和9年度予算編成を含め、『骨太方針2026』でお示ししました「責任ある積極財政」の下での「強い経済」の実現と「財政の持続可能性の確保」を両立する「経済財政運営の道筋」をより一層明らかにする必要があること、といったご発言がございました。
 具体的には、『「強く豊かな日本」投資枠』や「複数年度の予算管理」、「補正予算への依存から脱却する方針」を具体化するとともに、税収動向等をより的確に見極めつつ、歳入・歳出両面の見直しを進めることとあわせて、「債務残高対GDP比」を安定的に引き下げていく中でも可能となる「財政規模」を精査し、当初予算と補正予算を通じた「通年度の国債発行額」を昨年同様、適切にコントロールしながら、様々な「財政需要」に対応していくこととし、こうした内容を、「予算編成の基本方針」などを通じて具体化した上で、予算編成を行っていくこと、その上で、来年度以降も、「政策の点検・見直し」を含めた「経済財政運営の一連のサイクル」を定着させていくこと、などのご発言がございました。なお、諮問会議の詳細については、後ほど事務方からご説明させていただきます。
 二つ目、市場関係者へのヒアリングについてでございます。先の7月30日の諮問会議において、高市総理から「市場とのコミュニケーションを丁寧に行う」というご発言がございまして、その取組の一環として市場関係者のヒアリングを行いました。その概要についてご報告申し上げます。私、あるいは事務方幹部などから、政府の取組を説明するとともに、最近の金融資本市場の動向について聞き取りを行ったところでございます。
 内容については、本日の諮問会議で配布した資料のとおりでありますが、政府の「責任ある積極財政」の取組に高い期待が寄せられると同時に、今後の取組の具体化にもやはり高い関心が見られました。また、昨今の長期金利の上昇については、様々な要因があるとの指摘もございました。今後も必要に応じて、こうした取組を行い、市場の信認をしっかり確保するよう努力してまいる考えです。
 

2.質疑応答

(問)民間議員からは、予算編成の基本方針を改定する過程で、大型経済対策に基づく補正予算への依存から脱却する中、当初予算編成段階で税収などの歳入見通しの精度をこれまで以上に把握することが重要だと指摘されました。税収見積もりについて、財務省と連携して具体的にどのように取り組むか、大臣のお考えを教えてください。


(答)本日の経済財政諮問会議において、民間議員からご指摘があったとおり、名目GDPの見通しや、税収見積もりは、実績や決算との間で一定の乖離が生じているということでありました。経済・物価・税収等について、足下の動向や、的確な将来見通し等を踏まえ、マクロ経済の観点から令和9年度予算の在り方を議論することが重要だと認識しております。このため、内閣府と財務省が実務レベルでもよりしっかり連携し、マクロ・ミクロ双方の観点から、足下の税収実績、名目成長率、企業収益等の動向について、十分に分析してまいる考えです。



(問)先週と重ねての質問で恐縮ですが、先週、日銀総裁がこの前のMPM後の記者会見で基調的物価が2%に接近しつつあるとか、2%周辺に収束し、だんだん収束しつつあるというご発言をされたことについて、認識を共有されているかとお尋ねしたところ、差し控えるというお答えだったのですが、本日の諮問会議で今大臣も読み上げられたとおり、経済物価情勢について認識を共有し、と指摘されておりますし、その上で、植田総裁は本日も2%に近づいていると資料で書かれておりまして、この2%近づいているという認識は大臣は共有されているんでしょうか。


(答)まず、ご指摘の25日の会見については、要人の発言でもありますので、この場で逐一コメントすることは差し控えさせていただきたいという趣旨で申し上げたものでありますので、その点、是非ご理解いただきたいと思います。政府と日本銀行は、様々なレベルで、日頃から密接な意思疎通、意見交換を行っておりますので、日本銀行との間で、経済・物価動向の認識に大きな齟齬があるとは考えておりません。政府としては、昨日の月例経済報告でもお示ししたとおり、消費者物価は緩やかに上昇していると認識しており、こうした見方は日本銀行とも共通しているものと考えております。いずれにしましても、日本銀行には、引き続き、政府と緊密に連携し、十分な意思疎通を図りながら、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向け、適切な金融政策運営を行うことを期待しております。



(問)市場関係者とのヒアリングで様々な意見が聞かれたとのことですが、これを受けて政府としてどういうふうに反映していくというか、何かお考えがあればお願いします。


(答)今般の市場関係者のヒアリングでは、例えば、財政への信認を高める観点から、潜在成長率を底上げすることが重要であるといったご意見、また、成長戦略の実行に関して、モニタリングやPDCAサイクルが重要であるというご意見もいただいたところです。こうしたご意見を踏まえつつ、「責任ある積極財政」の考え方の下、国内投資の促進に徹底的にてこ入れをし、我が国の供給構造を強化しながら潜在成長率を引き上げていく。その上で、成長率の範囲内に、債務残高の伸び率をしっかり抑え、政府債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくことが重要だと思っております。また、「日本成長戦略」については、今後、着実かつスピード感を持って実行していくことが重要だと考えております。定期的なPDCAプロセスを通じて、施策の実行状況や技術の開発動向等を踏まえたブラッシュアップや見直しをしっかり行ってまいります。これらを含め、「強い経済」の実現と「財政の持続可能性の確保」を両立する経済財政運営の道筋をより一層明らかにしつつ、「中長期経済財政計画」の具体化・実行に取り組んでまいります。



(問)25日の会見で、城内大臣は、リフレ政策の局面は終わりましたというご発言をされたと思います。一方で、金融市場は政権の財政政策運営について警戒が続いていると思います。これは市場の方が誤解しているということなのか、仮に誤解しているとすれば、どういう要因があったと分析されているか、改めてお願いします。


(答)先日、私から、この会見の場で、「リフレーションの定義にもよるが、アベノミクス的な意味でのリフレーション政策は、もうその局面は終わっていると考えています」というような趣旨を申し上げたところでございます。事実、日本銀行の政策をみますと、2024年3月に金融政策の枠組みを見直して、イールド・カーブ・コントロールを廃止、2024年7月から国債の市場機能発揮のために買い入れ減額等を行っており、その結果、日銀の国債保有残高やバランスシートは着実に縮小していると承知しております。その上で、高市政権の経済財政運営は、「責任ある積極財政」の考え方の下、供給能力を強化することに力点を置いた「強い経済」の構築と「財政の持続可能性」を一体的に実現していくものであり、いわゆる大規模な金融緩和によってデフレ状態から抜け出すという意味でのリフレーション政策とは全く異なるものだと認識しております。金融市場の様々な受け止めについては、私からこの記者会見の場でコメントすることは従来通り差し控えさせていただきたいと思いますが、今回の金融機関に対するヒアリング・意見交換においても、こうした高市政権の経済財政の考え方をしっかりご説明してまいりました。こうした政策全体の説明をすることは有益でありますので、引き続き、わかりやすく、しっかり発信してまいりたいと思っております。いずれにしても、いわゆる情報の非対称性をしっかり埋めていくことが重要ではないかと思います。

3.堤内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 第13回経済財政諮問会議について概要を報告いたします。
 本日の議題は2つありました。1つ目が年内に取り組むべき新内閣の課題です。筒井議員から資料1に基づいて提案の説明をしていただいた後に意見交換を行いました。2つ目がマクロ経済運営(金融、物価集中)であります。こちらは日銀の植田総裁から資料3の説明、その後に永濱議員から資料4の民間議員提案の説明をした上で、意見交換を行いました。それぞれの議題についての主な意見を紹介いたします。
 まず、第1の議題に関連して、1人目の民間議員からです。
 私からは2点。1点目が消費税減税の効果について。政府はこれまでも各種の物価高対策を実施してきたことで、全国の消費者物価指数の上昇率は1%台後半に抑えられている。政策効果として1%ポイント程度の押下げ効果が出ているはず。にもかかわらず、国民にその実感が十分に行き届いていない。これは購入頻度の高い食料品の値上がりがあるということだ。こうしたことから、食料品の消費税率の引下げは、日常的な物価高に対してピンポイントで効果をもたらす施策となり、国民にとって非常に実感を伴う物価高対策として位置づけられると見ている。
 日本の食料品に対する税率は諸外国の中でも高い水準。これまで税率を機動的に引き下げる仕組みが存在しなかった。対して欧州諸国では、コロナ禍などの危機時に付加価値税を迅速に引き下げ、景気や状況の改善に伴って元の数字に戻すといった柔軟な運用を行ってきている。今回の措置は日本でも、災害時などに機動的に税率を変更できるインフラを整備するという観点からも、重要な意味を持っているのではないか。
 また、食料品は購入頻度も高いため、税率の引下げは実際に店頭で買物を行った際に効果を実感しやすいのではないか。実務面においても、現場では税率が下がった分だけ値下げを実施しなければ、競合店に顧客を奪われてしまうので、民間における価格競争が誘発されやすくなると見ている。
 エコノミストの予測のコンセンサスでは、消費税減税の実施によりインフレ率が1%ポイント以上押し下げられる見通しとなっている。消費税は、所得に対する消費の割合が大きい低所得者ほど税負担が重くなる逆進性があるため、家計に占める食料品の購入割合が高い中・低所得者層に対して税率を引き下げることは、負担軽減をもたらすメリットがあると考える。
 2点目、税収についてです。金融市場の一部では、財政懸念や消費税減税の財源不足が語られる傾向にあるが、税収データを見ると市場の見方との間にギャップがある。資料2の4ページ目のグラフの通り、26年度当初予算の税収見積りは83.7兆円。その後に公表された25年度の税収実績84.2兆円よりも少なく、これは過少見積りとなっている。他方で、過去のデータから名目GDPと税収の間には非常に高い連動性があり、エコノミストが想定する今年度の名目GDPが3%程度の成長を前提にすると、税収は90兆ぐらいに達する試算もあり、税収は順調に増加すると見込まれると思う。
 ただ、一部の報道関係者やメディアでは、税収やPBが改善している事実から目を背けて、歳出拡大のみを強調している傾向にあると見ている。こういった確かな事実に基づいて、冷静かつバランスの取れた市場やメディアとの対話を行っていくことが重要。
 2人目の民間議員です。
 「挑戦しない国に未来はない、守るだけの政治に希望は生まれない」と高市総理が改造時に言われた言葉に全面的に賛同。現状維持でなく、変化に富む企業や人が報われる形に軸足を移してほしい。その象徴がスタートアップ。スタートアップ振興を引き続き内閣のトップアジェンダに位置づけるとともに、イノベーションを創出する仕組みを定着させるための政策を加速させてほしい。
 「責任ある積極財政」における日本版DOGEの各省庁の自主点検の結果が不十分。高市総理や片山大臣のリーダーシップの下、成果を上げるために必要な権限などを担当室に与え、効果検証と、各省庁の枠を超えて日本全体で最適化するメリハリをつけた予算への反映を可能とするなど、日本版DOGEの取組を抜本的に強化してほしい。
 続いて、AIが経済・社会に与える影響について。国家のトップマターとして議論を活性化すべき。AIの影響の先は読めない部分があり一つの未来像に固定化した政策設計はリスクが高く、適応的に修正し続ける仕組みや、複数のシナリオで機能する頑健な政策設計の必要性を主張するレポートを、OECDやIMF、NBERが発表している。どのようなシナリオを想定し、どのような政策を設計するのかに関する議論を活性化するべきであり、この思考訓練が様々なシナリオへの備えとなる。
 AIと人間の役割分担は刻一刻と変化している。AIが担うことができる役割が広がる変化である以上、人が担う仕事は変わり続け、人材を新しい仕事へ移せるかどうかが企業の力を左右する。不確実な中でも間違いないのは、労働移動が起きにくい国は国際競争力の面で不利ということである。AIの進展によって仕事を恒久的に失い、リスキリングや労働移動から構造的に閉ざされ続け、所得、資産、社会参加の機会から排除され続けるPermanent Underclassの議論が米国で盛んに行われている。このリスクは日本のような労働の流動性の低い国ほど高くなる。今の日本は、AIによって仕事が変わる人材の雇用維持や生活保障について、民間企業が調整弁の役割を果たしている程度が大きい。この構造のままでは、民間企業がAIの進化に対応しきれず、国際競争力が低下し、収益を上げられず、税収が減り、国による支援もままならなくなりかねない。民間企業がAIの変化に適応し、稼ぐことに集中し、納められた税金で、ミスマッチ的になっている人材に国が必要な支援を行う姿が望ましい。そのためにも労働移動を妨げる制度、規制の見直しを大胆に進めてもらいたい。
 3人目の民間議員です。
 「責任ある積極財政元年」に向けて予算編成を行う重要な時期。予算編成に向けて2点述べる。
 1点目、「責任ある積極財政」の「責任」の部分だが、全体像をきちんと伝えなければならない。「積極財政」という言葉から、あたかも放漫財政であるかのような印象がまだ残っている。
 資料2の1ページ目にあるように、非常に重要なのは市場の信認を得るためにマクロ財政状況の全体像を提示するということである。市場の信認を支える経済財政運営のサイクルというものを重視し、その時々の状況に応じて必要な政策の修正をするという、いわばPDCAサイクルの発想がある。
 単一指標や単年度の実績だけではなく、中期の見通しや複数指標、様々なリスクを多角的に点検することが重要。この点は、資料2の1ページ右側にあるように、財政スタンスと記載している。歳出や歳入、債務残高対GDP比に加えて、どの程度その財政が経済に対してインパクトを持つのかということを適宜適切に示すことが重要。
 2つ目、「責任ある」だけでなく、「積極財政」というのが大事。そこについては予算作成についてのマインドの切替えが必要。複数年度での予算管理、そして、単年度予算主義からの脱却、補正予算依存からの脱却をうたっているので、実際にそれが実現するかどうかが問われている。今回、予算要求が複数年度を見越しての要求であったかどうかということも随時検証が必要。
 また、必要なものや効果が高いものには予算をつけ、必要でない、効果が低いものには予算をつけないという方針は正しいとしても、更に検討が必要なのは、査定で何が議論されているかである。財務大臣へのお願いになるが、予算の査定に当たっては、必要性と効果を科学的、客観的に議論し、予算の査定過程というのをできるだけ説明可能な形で透明化していただきたい。
 4人目の民間議員です。
 新しい内閣が発足し、課題をさらに前進させる総理のリーダーシップを期待する。3点申し上げる。
 1点目に、「強い経済」の実現について。予算編成の抜本見直しを通じ、民間の予見可能性や、政策効果が高まる予算を編成してほしい。規制・制度改革を含めた環境整備も不可欠。特に産業競争力強化と社会課題解決に向けて、例えば、フィジカルAI、データ利活用、自動運転、医療DX、労働市場改革、人材活用などの切り口から、実際の生産性向上に直結する規制・制度改革を加速してほしい。また、地域の経済界と対話すると、日本成長戦略と一体となった地域未来戦略への関心、期待が高まっていると実感する。こうした動きを後押しし、政府としてもぜひ積極的に推進してもらいたい。
 2点目に、財政の持続可能性と市場の信認の確保について。骨太で打ち出した運営の考え方や狙いを継続的に発信していただいており、心強い。市場とのコミュニケーションと来年度の予算編成で確かな結果を出してほしい。特に、予算編成改革の要となる補正依存からの脱却、投資枠の設定や運用に関するPDCA、EBPM、実効性あるガバナンスの構築をしてもらいたい。
 3点目は社会保障分野における改革である。社保改革において個別縦割りの対応は重要だが、全体最適の視点から中福祉・中負担を念頭に置いた社会保障負担率の在り方も検討してほしい。医療・介護など制度改革や就労促進改革の具体化も示してほしい。
 続いて、閣僚です。
 赤澤経済産業大臣です。
 世界では、大規模かつ長期的な財政出動を伴う産業政策を展開する国家間競争が激化する中、供給力の強化を通じて潜在成長率を引き上げて日本経済を持続的な成長軌道に乗せていくことが急務。
 日本経済はデフレではない状況に移行、新たな成長型経済の本格的な移行に向けて、「強く豊かな日本」投資枠も活用しつつ、日本成長戦略の戦略17分野を中心として危機管理投資・成長投資の加速、賃上げ起点の成長戦略の推進に全力で取り組む。こうした取組を通じ、潜在成長率を高め、雇用と所得を増やし、消費マインドと事業収益を改善することで、税率を上げずとも税収が増える日本をつくるべく、「責任ある積極財政元年」にふさわしい産業政策を実行してまいりたい。
 片山財務大臣です。
 民間議員の皆様のご議論を踏まえ、「責任ある積極財政元年」として位置づけられている令和9年度予算編成にしっかりと取り組んでいく。具体的には、「強く豊かな日本」投資枠の創設、補正予算依存の財政運営からの脱却、租税特別措置・補助金等の見直しなどを含む予算編成改革を着実に実行する。特に投資枠については予算編成過程において成長への寄与、民間投資の誘発効果などを精査し、その政策が真に効果的なものかについてしっかりと見ていく。歳出及び歳入全般の見直しを行う中では、税収の見積りを適切に行うことも重要なことだと認識。税収見積りの手法はこれまでも不断に改善を図っているところだが、引き続き経済・物価などの見通しを踏まえつつ、適切な見積りに努めていく。こうした点も踏まえつつ、市場の信認を確保しながら強い経済の構築と財政の持続可能性を両立する。
 2つ目の議題です。
 1人目の民間議員です。
 日本経済は基調として緩やかな回復を続けていると認識。予断を許さない中東情勢の中にあっても、企業経営や設備投資計画は先々の見通しも含め、堅調と受け止め。企業や経営者自身のマインドセットを転換し、稼ぐ力、成長意欲を強化しようという意欲の表れと前向きに捉えている。
 他方、個人消費はGDPの大きな割合を占め、かつ国内投資の拡大にとっても重要だが、力強さを取り戻せていないことが気がかり。来年の春季労使交渉においても、賃上げの強いモメンタムを着実に継続させ、さらに定着、進化を図っていきたい。この流れが特に中小企業を含め国全体に広がっていくには、適正な価格転嫁、適正な取引を通じたサプライチェーン全体での取組や、適切な販売価格アップの受入といった社会全体での付加価値の適正配分が進まなければならない。これらを通じ、賃金引上げ原資の安定的な確保が不可欠。この点、官公需における対応も重要。賃上げが個人消費にしっかりと回っていく好循環を生み出すために実質所得の向上が必須。そのためにも、社会保障制度改革を中心に、特に現役世代の社会保険料負担増を軽減する継続的な取組が必要。
 長期金利については民間議員ペーパーで提言したとおり、様々な要因で動くものだが、日本の経済全体の視点からは、強い経済で持続的な経済成長を実現することが基本。投資牽引型経済を定着させ、潜在成長率を引き上げていく。他方、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けては、政府、日銀それぞれが適切な政策運営を進めていただきたい。
 2人目の民間議員です。
 1点目、財政の持続可能性を実現し、市場の信認を確保していく観点から、飲食料品に係る消費税率は2年後に確実に元に戻すことが重要。そのためには税率を元に戻しても家計が負担に耐えられるよう、2年の間に、付加価値創造力を向上させることで賃金が引き上げられる土台を整備するとともに、給付付き税額控除の具体的な制度設計を行うことが求められる。
 2点目は「強く豊かな日本」投資枠など、成長に結びつく施策を精査し、着実に実行すること。しかし、想定しているほど成長に結びつかない場合のアクションプランを準備しておくべき。また、成長に結びつかない兆しを早期に捉えるほど悪影響は小さく抑えられるため、指標をあらかじめ検討しておき、継続してモニタリングすべき。
 3人目の民間議員です。
 2%の物価安定目標を持続的・安定的に達成するということは、日銀総裁もおっしゃったように依然として課題。
 最近、リフレ政策という言葉が話題になっているが、リフレ政策とは、デフレをマイルドなインフレに戻すことを意味するので、デフレではない状況のときにリフレ政策が終焉を迎えているのは当然。高市政権の財政が原因であるかのような報道がなされているが、資料にもあるように、米国の長期金利上昇に引きずられている面も大きい。
 金利上昇は財政や経済に影響を与えるので注視が必要。金利上昇の影響は家計の主体の状況により影響が異なることに注意。平成22年の年次経済財政報告(経済財政白書)によれば、世帯属性別に限界消費性向が異なっている。例えば59歳以下や、低・中所得層、18歳未満の子供がいる世帯ほど限界消費性向は高い。こうした世帯は負債のほうが大きいので、金利上昇の影響が出やすく、その場合には限界消費性向を通じた消費への影響も出る可能性がある。
 マクロ経済政策の最終的な責任は政府にある。中長期の予想物価が2%程度に安定することが重要。日銀の自主性を尊重しつつ、認識を共有し、それぞれの役割の下で連携すべき。
 MITのクリスティン・フォーブス教授が言っていることだが、これからの経済は外部からのショックが連続的に到来するおそれがある。例えば自然災害、感染症、気候変動等々がどの程度いつやってくるかということを予測しつつ対応することが必要。こういうことは日銀だけでなく、政府も緊密に連携して対処していくべき。
 国債の魅力向上策として個人向け国債を政府の直接販売も一案。米国財務省の「トレジャリーダイレクト」というものがあるが、OECDによると債務管理当局プラットフォームから販売する国は10か国程度ある。マイナンバーを利用してネットで購入可能な仕組みをつくるのも一案。マイルドなインフレをヘッジする意味でも、物価連動債の発行を増やしてほしい。
 4人目の民間議員です。
 2点です。1点目は金利上昇の影響について。コストやリスク要因ばかり注目されがちだが、市場機能や需給の面から、利回りの上昇が投資家を呼び戻す効果にも注目すべき。例えば、ノルウェー政府の年金基金の資産運用主体が日本国債や円の保有割合を引き上げる動きを見せていると聞いている。利回りが確保できるようになったことで機関投資家が日本国債をポートフォリオの主軸に組み入れることは、円安抑制の支援材料にもなるだろう。家計においても利子所得の増加が恩恵となる。金利の機能回復が健全な資金循環をもたらすといった前向きな効果にも注目すべきである。
 2つ目、タームプレミアムの動向とその波及についてである。金利の上昇は世界的な現象であるものの、2024年以降のデータで見るとその波及経路としては、アメリカから日本への方向性が明確に表れている。世間では日本の金利上昇によるアメリカへの影響を心配する声もあるが、統計的にはあくまで逆で、アメリカから日本の経路が示されている。日本が金利ある世界に突入し、世界と連動性を帯びたためと評価。タームプレミアムの上昇を通じた利払い費のコスト増が財政に与える影響には警戒が必要。成長率を高めて財政の信認を確保することが重要。
 続いて、閣僚の発言です。
 赤澤経済産業大臣です。
 これまで中東情勢による原油価格高騰を受け、燃料油の緊急的な激変緩和措置等、足下の物価対策を講じてきた。また、日本成長戦略を実行に移し、圧倒的に足りない国内投資をてこ入れするとともに、日本成長戦略の起点としての賃上げについて実質賃金増の流れを腰折れさせないよう、中小企業の稼ぐ力の強化を含め、一層取組を進展させ、国民の皆様が昨日より今日、今日より明日、豊かさを実感できる社会、そして、強い日本を徹底追求していく所存。
 特に、物価高対策の効果は将来的に剥落していくことも見据え、年1%程度の実質賃金上昇をノルムとして定着できるよう、成長戦略における各取組を確実に実行して強い経済を構築するとともに、官民でたゆまぬ努力を継続し、骨太2025で掲げた最低賃金2020年代に全国平均1,500円の目標も達成してまいりたい。
 片山財務大臣です。
 日本経済は700兆円に迫る名目GDP、3年連続で5%を上回る賃上げなど、成長型経済に移行しつつあるものの、金融資本市場の変動、世界経済の不確実性、地政学リスクなど、複合的な不確実性が底留している。こうした経済・金融環境に適切に対応するため、今後の予算編成において責任ある積極財政の考え方の下、強い経済を実現していくと同時に、債務残高対GDP比を安定的に引き下げる中でも可能となる財政規模を精査し、通年の国債発行額などを具体化していくことにより財政の持続可能性を確保する。市場の動向をよく注視するとともに、こうした取組について政府としては、市場関係者を含め、透明性高く、一貫した説明をしていくことにより、市場の信認を確保していく。
 個人向け国債については、商品性の見直し、新商品の設計による魅力向上に取り組むなど、今後、丁寧に議論を行いつつ、検討を進めていく。
 最後に、税・社会保険料負担や物価高に苦しんできた中低所得者の負担軽減は現下、最重要課題の一つ。このため、先般、大綱を閣議決定し、所得に応じたきめ細やかな給付を行う就業者負担軽減支援金の導入とつなぎとしての2年間に限った飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ等を行うこととした。その財源についても市場の信認を得られるよう、先ほど申し上げた予算編成の中で、特例公債に頼らず、歳出・歳入全般の見直しにより確保していく。臨時国会に関連法案を提出することとしているところ、早急に準備を進めるとともに、丁寧な説明に努めていく。
 最後の総理の締めくくり発言は皆様お聞きいただいたかと思いますので、割愛いたします。

 
(以上)