第9回記者会見要旨:令和8年 会議結果

城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨

1.発言要旨

 本日は冒頭、私より1点ご報告申し上げます。令和8年第9回経済財政諮問会議についてです。本日の議題は2つです。「予算編成の抜本的な見直しに向けて」及び「骨太方針の骨子案」について議論を行いました。
 それぞれの議題について、民間議員や閣僚からご意見をいただいた後、「財政運営」について、民間議員提案である「5つの原則」に沿った形で、高市総理からご発言がございました。
 民間議員提案の原則1は、「財政運営の中核目標として、債務残高対GDP比の安定的な低下を目指す」です。この原則に関連して、内閣府の試算では、日本成長戦略の経済効果が十分に発現した場合、一定の追加的な財政支出の下で、債務残高対GDP比が、概ね安定的に低下する姿となり、「経済成長」と「財政の持続可能性」の双方が実現できるとの見通しが示され、こうした姿の実現に取り組むこととし、財政運営の目標としては、国・地方の総債務残高対GDP比の安定的低下を、中核として位置付けること。PBについては、債務残高対GDP比の安定的低下に向けて確認する指標とし、その安定的な低下と整合するよう、複数年で改善・管理していくこと、その上で、今後の予算編成に当たっては、税収動向等を見極めつつ、歳出・歳入両面の見直しを進めることとあわせて、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく中でも可能となる財政規模を精査し、市場の信認確保に配意しつつ、通年の国債発行額などを具体化していくこと、といったご発言がございました。
 原則2は、「物価・賃金を的確に反映しつつ、経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしい予算編成に転換する」です。原則2に関連して、令和8年度当初予算から実現した「経済・物価動向等の的確な反映」をさらに進めるなど必要な財政需要に確実に対応することとし、経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしい予算編成に転換すること。歳出規模の総額は、物価・賃金、名目経済規模、歳入見通し、政策効果、財政目標との整合性を踏まえ、経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしいものとしていくこと。その際、予算全般において、歳出改革努力を継続する中で、伸ばすべき歳出と見直すべき歳出を峻別する、規律ある資源配分を実現する枠組みとするとともに、租税特別措置や補助金の補助金の点検・見直しを進め、施策の優先順位を洗い直し、大胆に重点化すること。社会保障関係費については、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」との方針の下、国費だけでなく、給付費全体、公費・保険料負担、現役世代の可処分所得などを踏まえ、給付と負担の改革努力を継続していくこと、といったご発言がございました。
 原則3は、「危機管理投資・成長投資のための新たな投資枠を創設する」です。原則3に関連して、「危機管理投資」・「成長投資」をはじめ、国内投資を通じた潜在成長率の引上げにつながる施策を予見可能性を持って実施できるよう、通常の歳出とは別に、『「強く豊かな日本」投資枠』を創設すること。『「強く豊かな日本」投資枠』に関しては、一つ目は、「日本成長戦略」や「地域未来戦略」などを踏まえ、「国内民間設備投資」や「潜在成長率」を大きく引き上げる効果の高い措置を対象とすること、二つ目は、真に効果的な投資支援策を取り込めるよう、要求上限、いわゆる「シーリング」を設けず、事項要求も含めて必要な額を適切に要求できるようにすること、三つ目は、予見可能性を高め、「継続的な取組」を後押しするため、複数年度の計画に基づくものを基本とすること、四つ目は、基金について、成果管理の徹底や、柔軟で効率的な資金管理を前提に、一律・機械的な期間設定に囚われない予算措置が可能となるよう、「予算措置は原則3年以内」とする現行ルールの不適用も含め、基金ルールを抜本的に見直すこと、五つ目は、財政の持続可能性を実現しながら必要十分な規模を確保することとし、経済安全保障上、特に重要な分野等については、複数年度で財源を確保した上で、「償還財源の裏付けのあるつなぎ国債」の発行により、「特別会計において別枠管理」すること、といったご発言がございました。
 原則4は、「補正依存から脱却し、恒常的な施策は当初予算に計上」です。原則4に関連して、従来続いていた、秋の大規模経済対策に基づく補正予算に依存した財政運営から脱却し、恒常的な施策については当初予算で措置すること。今秋以降に補正予算が必要となる場合であっても、真に緊要性の高い施策に限定すること、といったご発言がございました。
 原則5は、「不確実性に備えるとともに、コミュニケーションの強化を通じて市場の信認を確保」です。原則5に関連して、コミュニケーションの強化を通じ、市場の信認を確保していくため、国民の皆様や国内外の市場関係者に、こうした見直しを含め、財政運営について透明性高く、一貫した説明を丁寧にしていくこと。そのためにも、様々な経済指標や財政指標を示し、多角的に分析・検証していくこと、といったご発言がございました。
そして、私に対して、本日の様々な活発な議論を踏まえた上で、こうした新たな経済財政運営の取組を、「責任ある積極財政に基づく『中長期経済財政計画』」と位置づけ、骨太方針や予算編成の基本方針に反映させること、といったご指示がございました。
 また、片山財務大臣に対して、骨太方針や予算編成の基本方針を踏まえて、「概算要求基準」を含め、「予算編成の抜本改革」に向けた必要な対応の具体化を進めるようご指示がございました。
 骨太方針の骨子案について、私に対して、本日の様々な議論を踏まえた上で、骨太方針の取りまとめに向け、関係府省や与党との調整を進めるよう、ご指示がございました。諮問会議のより詳細な内容については、後ほど事務方からご説明いたします。
 

2.質疑応答

(問)財政の持続可能性について伺います。政府は債務残高対GDP比の低下に重きを置いていますが、名目GDPは物価上昇によって膨らむため、賃金上昇を伴わないインフレが進んでいても、見かけ上は財政目標に近づいてしまう危険性をはらんでいます。見かけ上にとどまる債務比率の改善では、市場の不安は強まりかねません。確認や複数年での管理ではなく、単年度のPB黒字化目標を堅持すべきだとするエコノミストもいますが、こうした指摘について大臣のお考えをお聞かせください。


(答)高市内閣発足以降、「責任ある積極財政」の考え方の下、危機管理投資・成長投資といった投資すべき分野に大胆に投資するなど、強い経済の実現に向けて取り組むとともに、予算全体のメリハリ付けなどを通じて、財政の持続可能性にも十分配慮した経済財政運営を行ってきたと認識しております。その結果、1月の中長期試算では、債務残高対GDP比は、今年度から来年度、更にはその後の期間においても着実に低下する姿となっており、国・地方のPBについても改善が続き、2026年度のPBは、PB目標を掲げた2001年度以降で最も改善した姿となり、歳出と歳入がおおむねバランスした姿を実現するとともに、2027年度以降も一定の黒字幅となる見込みとなっております。
 単年度のPB黒字化目標が重要とのご指摘がございましたけれども、本日の諮問会議において、民間議員の皆様から、PBについては、単年度の黒字化時期を機械的に追うのではなく、経済・金利環境、歳入歳出の動向を踏まえ、景気変動や危機管理投資・成長投資の必要性に応じて一時的な悪化も許容しうるものとしつつ、債務残高対GDP比の安定的な低下に向けて、改善・管理していくべきとのご提言もいただいたところでございます。
 こうしたご提言も踏まえ、高市総理から、財政運営の目標としては、国・地方の総債務残高対GDP比の安定的低下を中核と位置付ける、PBについては、債務残高対GDP比の安定的低下に向けて確認する指標とし、その安定的な低下と整合するよう、複数年で改善・管理していくとのご発言があったところです。本日の諮問会議の議論も踏まえ、骨太方針の取りまとめに向けて、検討を加速してまいる考えです。


(問)先ほどの総理発言のご紹介で、債務残高は総債務残高対GDPということか。今までそこは議論検討中ということだったと思いますが、今日何か議論があったのか、どういう経緯かご説明ください。


(答)今日の総理のご発言では、国・地方の総債務残高対GDP比ということで、それについて、こういう理由でこうした、という発言は特にございませんでした。


(問)総理のご発言ということは、それが骨太に向けた政府の現時点での方針という理解でよろしいのでしょうか。


(答)政府の考え方とご理解いただいて良いと思います。民間議員は民間議員のお考えがあるかもしれませんが、常に申し上げているように、様々な経済指標や財政指標を示し、多角的に分析・検証していくということですので、それが絶対ということではなく、今日の総理の発言では、国・地方の総債務残高というご発言がございました。


(問)原則1ということは、それは中核目標だという理解でよろしいわけですね。


(答)原則1は、国・地方の総債務残高対GDP比を安定的に中核として位置付けると、これは総理がそのとおり申し上げましたので、そういうことだと思います。


(問)今、大臣のご発言の中で、27年度のPBについては黒字とおっしゃいましたけれども、昨日公表の新たな試算では、27年度赤字になっているかと思います。従来の政府経済見通しと昨日の試算とどちらを、現時点の政府見解と考えればよろしいのでしょうか。


(答)先ほど申しましたのは、1月の中長期試算です。また夏に中長期試算を行いますので、その時にどういう姿になっているかということは、その時お示ししたいと思っております。


(問)昨日の試算は現時点ではどういう位置づけになるんでしょうか。


(答)これは、成長戦略実現ケース①、成長戦略実現ケース②及び現状投影ケースとして機械的に計算した結果出てきた数字です。より精緻な数字は、この夏の中長期試算で出しますので、今年の1月の中長期試算では2027年度PB黒字化の見通しであるということを踏まえ、現時点で確定的なことを申し上げることはできませんが、夏の見通しでも、2027年度のPBについては黒字の可能性もありうるのではないか、ということでご理解いただきたいと思います。いずれにしましても、昨日の数字は機械的に計算した結果出てきた数字です。
 

3.堤内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 第9回経済財政諮問会議について概要を報告いたします。
 議題は2つです。1つ目が「予算編成の抜本的見直しに向けて」です。若田部議員から資料1の説明、片山財務大臣から資料2の説明があった後、意見交換を行いました。2つ目が「骨太方針の骨子案」です。私から資料3を説明した後、意見交換を行いました。それぞれの議題について主な意見をご紹介いたします。
 1つ目の議題です。
 1人目の民間議員です。
 分野横断的課題に位置づけられているとおり、スタートアップは戦略17分野の全ての分野に横串的に関連する。そのため、各分野においてスタートアップを最大限活用すべき。今後投資される多額の資金の大半が大企業に吸い込まれては何も変わらない。スタートアップはイノベーションを起こす最適なメカニズムである。過去30年間、日本では起きていないイノベーションが持続的に起こり続ける土壌をつくり、それが知的創造、イノベーションの拠点となり、強く豊かな日本となるために、特に危機管理投資に関しては強いリーダーシップの高市政権の下、スタートアップを堂々と優遇していただきたい。令和9年度予算編成においては、スタートアップ政策を単独の取組とするのでは、経済政策全般を貫く思想として、スタートアップ・エコシステムの拡大という視点を取り入れるべきである。
 2人目の民間議員です。
 1点目、個人向け国債市場の拡大について、日本では家計の国債保有割合は昨年末時点で2%以下だが、イタリアでは2023年に新しい個人向け国債を導入し、個人の国債保有割合がこれまでの8%弱から14%台に上昇した。理由としては、保有期間に応じて段階的に利率が上昇する仕組みとなっていて、満期保有でボーナス金利を支給し、3か月ごとにクーポンを出すなどもしているためである。利息や売却益についても、軽減税率の適用、相続税の課税対象からの除外、一定の範囲まで社会保障サービス受給の資産判定基準の計算からも除外するなどしている。こうした仕組みを導入することで市場の動揺を抑え、海外からの信頼や需要を取り戻すなどの効果を上げている。日本もイタリアの事例などを参考にすべき。
 2点目、資料2について、秋以降に補正が必要でも基本的に国債は増発しないとしていて、例外として経済危機や災害などが生じた場合には機動的に対応すると記載されている。この文面だと、リーマン・ショックやコロナ禍のような目に見える巨大な危機が起きない限り、補正予算で踏み込んだ対応を行わないと誤解される可能性がある。未然に危機を防ぐ財政運営も重要であり、必要な局面では財政の運用余地を残しておくことも重要と考える。
 3人目の民間議員です。
 今回の予算編成の抜本的見直しは、「責任ある積極財政」を象徴する画期的取組である。「強い経済」の実現に向け、潜在成長力強化を図る成長戦略と車の両輪で財政の持続可能性を確保する具体的方針を打ち出すべき。
 1点目、財政運営目標について、債務残高対GDP比の安定的低下を中核にして、財政の持続可能性と市場の信認を確保する観点から複眼的に財政状況を見るべき。プライマリーバランスは債務残高対GDP比に影響を与える要素の一つとして引き続き重要な指標。持続的な経済成長を実現していく状況下で、将来の金利上昇や利払い費の増加は避けられない。債務残高対GDP比の安定的低下のパスを維持する上で、プライマリーバランスは複数年度でのバランスも念頭に、適切にコントロールすべき。
 2点目、市場の信認確保について、政府がコントロールできているという市場の受け止めが不可欠である。国と地方の債務残高対GDP比を構成する分母であるGDPを拡大することが最重要課題である。加えて、債務残高のコントロールに関わるアプローチも必要。先般の補正予算で、総理から国債発行額に目配りした具体的な対応を発信された。こうしたことは、マーケットとコミュニケーションの観点から本質的に重要と高く評価する。今後も財政運営目標実現へのコミットメントとともに、単年度の新規国債発行額や国債の市中発行額にも配慮をすべき。政府が財政の持続可能性を確保し、これをコントロールできているという発信を継続的に行っていただきたい。
 4人目の民間議員です。
 5つの原則を骨太に書くだけで終わらせず、実際の予算編成プロセスに接続することが重要。施策の効果を明らかにしながら骨太や成長戦略などを、概算要求や年末の予算編成へしっかりと接続すべき。複数年の予算要求は初めての試みであることから、各省が事務的な積み上げで要求するのではなく、政治のリーダーシップを発揮していただいて、予算要求や予算編成を新しい設計につなげていくべき。
 内閣府の試算は重要な試み。他方、試算を固定的な上限にするのではなく、政策判断の出発点とすべき。加えて、試算の前提やモデルを不断に改良し、毎年度ローリングで見直しながら投資枠の在り方を考えていくべき。
 片山大臣の報告は、「責任ある積極財政」を実施する指針として大変意義深いもの。通年の国債発行額という考え方も、来年度の当初予算の規模を大きくするという中で、市場の信認をどう確保していくかという観点から理解できる。令和10年度以降の通年の国債発行額については、令和9年度予算の結果を評価・検証し、その後どう取り扱うかを考えるべき。
 続いて、閣僚の発言です。
 赤澤経済産業大臣です。
 昨日の合同会議で議論となった、370兆円を超える「危機管理投資」・「成長投資」を実現するには、国が一歩前に出て投資の予見可能性向上に向けた思い切った政策を実行する必要がある。
 こうした中で、片山大臣から資料でご説明のあった「新たな財政運営ルール」については、従来の予算の在り方を大きく変えて、各省からの思い切った政策提案を喚起するものであるとともに、既に創設を決めた大胆な投資促進税制をはじめ、税制によるインセンティブと併せて投資の予見可能性向上に向けた高市政権の本気度を産業界に示すものになっていると考えている。経済産業省としても、経済安全保障上特に重要な分野についての投資スキームについて関係省庁の協力を得ながら具体的な制度設計を急ぎたい。
 他方で、投資の主役は民間企業である。企業の成長ステージや業績に関係なく、安易な株主還元に走るのではなく、預貯金など内部資本も活用して、まずは積極果敢に成長投資にチャレンジする企業経営者の投資行動を期待するとともに、経済産業省としても必要な環境整備を進めていきたい。
 続いて、2つ目の議題です。
 1人目の民間議員です。
 第1に、「強い経済」の実現に向けた成長戦略について、官民連携による国内投資の拡大や労働供給制約への対応に取り組み、潜在成長力の引上げの実現することが重要である。今後の日本成長戦略の具体化に大いに期待している。目標の実現に当たっては、経営者のマインドセットとともに、人口減少下での貴重な労働力が戦略17分野をはじめとして重要性の高い分野に向かうように、労働市場改革のさらなる実現が不可欠。政府にはPDCAを回しながら国内投資の拡大と労働改革の推進を車の両輪としてお願いしたい。
 第2に、持続可能な社会保障制度への継続的な取組について、社会保障国民会議において、社会保障と税の一体改革の議論から社会保障制度や税制の課題が提起されるとともに、デジタル技術の活用の必要性の認識が共有されたたと聞いている。社会保障制度と税制を一体と捉えて、国民一人一人の受益と負担の全体像の見える化をすること。特に世代間のバランス、現役世代への保険料負担を考慮した持続可能な社会保障制度を構築する抜本的な改革に継続して取り組むことが必要。
 2人目の民間議員です。
 骨太について、概算要求基準から事項要求の運用、年末の予算編成等に強力に接続させることが必要。一方で、複数年度の仕組みとして機能させるためには、新たな投資枠については、通常の歳出とは別枠で事項要求を可能とする運用を概算要求基準に明確にしていくべき。
 一方で、当初予算の野放図な拡大を防ぐことも重要であり、目的や実施期間、民間投資の誘発効果など、明確なKPIを盛り込んだ共通の整理様式でチェック機能を働かせることも重要。投資枠を管理するためには、既存の行政事業レビューなどとも連動した新たな政策効果検証の仕組みを検討することも必要。
 内閣府の中長期試算は、「責任ある積極財政」の前提や政策効果を市場や国民に分かりやすく示すために極めて重要な基盤。半年ごとの公表には、計画が目指すべき経済財政の姿の実現に向けた道筋を描くべき。分析や政策効果を分かりやすく示すことが、市場の信認の確保につながる。こういったことを進めるためにも、専門性を有する政府内外の人材を積極的に登用して、政府内の分析能力を抜本的に強化すべき。加えて、中長期試算のモデルを改善し、好循環を描き出すことで、「責任ある積極財政」を具体化していくことが重要。
 3人目の民間議員です。
 骨太の骨子案について異論なし。本文作成に当たって、第2章に成長基盤の強化とあるが、AIの重要性を強調していただきたい。AIはインターネット以来の大きな波で、技術の進化を超えて産業全体が根本的に変わらざるを得ない場替えを強いられている。ビジネスチャンスとしても大きい。米国を中心とする巨大プレーヤーや基盤モデル、クラウドが最近では非常に話題になっている。一方、民間企業にとっての成長機会はバーティカルAIとフィジカルAIである。自民党のAIホワイトペーパー2.0で、フィジカルAIとバーティカルAIに活路があると提言されたが、同じ認識。特にバーティカルAIは適用範囲が広がって、中途半端な専門性では太刀打ちできないため、「○○×AI」の「○○」の部分の深さというのが極めて重要。
 教育について、資源の乏しい日本の最大の資産は人材であるため、他国並みではなく、世界を圧倒する水準で人材に投資すべきだと思う。高等教育段階の資金のうち公的財源が占める割合は38%と、OECD平均の67%を大きく下回っており、他国並みどころか他国に劣後している。教育の観点からも、研究成果の社会実装によるイノベーション創出の観点からも、高等教育段階における公的資金を充実させるべき。特に大学生の留学に対する公的資金を充実させるべき。海外との接触機会が少ないと、世界における日本や日本人の立ち位置に気づけず、グローバルリーダーシップを振るえない。
 また、昨今の議論の中で、理系偏重の考え方に対して危惧している。AIの進展によって国際的に発生している、人間とAIの役割分担をめぐる議論を主導するためには、技術的知見に加えて、社会学、経営学、経済学、哲学、人間学といった人文社会科学的な知見が不可欠である。加えて、経営学、経済学など、人文社会科学の分野で劣後していることが、日本が技術で勝ってビジネスで負ける一因である。技術に合わせた産業を興すということが大事。
 4人目の民間議員です。
 AIの重要性と教育の重要性については同意。
 今回の骨太では、「責任ある積極財政」を具体化し、新たな経済財政運営の方向性を明確に示す必要がある。これまではデフレ・低成長時代を前提に、財政健全化や歳出改革を中心に組み立てられていたが、現在は名目の経済規模を拡大していく局面。従来の考え方を発展的に刷新し、「強い経済」をつくることを財政の持続可能性にもつなげていく、新しい中長期的な経済財政運営の姿を示すべき。
 その際、国民への分かりやすい発信が重要。単に財政拡大という側面だけではなく、投資を通じて経済の供給力、賃金、所得、地域経済を高め、その成果を現在及び将来世代に幅広く還元していくという考え方を伝えるべき。内閣広報官のXアカウントでの発信は、政策の方向性を平易かつ国民に直接伝える取組として良いと思う。専門的な議論だけでなく、「強い経済」をつくることが国民の生活や地域にどのような成果を届けるのか、分かりやすく発信していただきたい。また、これは英語での発信もお願いしたい。
 骨太は政策の旗柱。「責任ある積極財政」を理念にとどめず、日本成長戦略や地域未来戦略と一体で定め、概算要求や年末の予算編成と接続し、実際の政策運営を変える起点として位置づけるべき。
 続いて、閣僚の発言です。
 林総務大臣です。
 資料4として、地方財政審議会の意見の概要を配付している。この意見を踏まえ、経済・物価動向等を反映することにより、増加する経費を地方財政計画の歳出に計上し、それに見合った一般財源総額の水準を確保すること。
 自動車税等の環境性能割の廃止、軽油取引税の当面の間税率の廃止、いわゆる教育無償化に係る安定財源を確保すること、都市と地方の財政力格差などが拡大している中、偏在性の小さい地方税体系の構築に向けた具体的な取組を講じること。地方財政の健全化として必要な地方財源を確保し、臨時財政対策債の新規発行額ゼロを継続するよう努力することなどに取り組んでいくほか、地域未来戦略や官公需の価格転嫁などの重要課題へ対応していく必要があると考えている。こうしたことを十分に考慮した上で今年の基本方針の策定を行っていただきたい。
 続いて、片山財務大臣です。
 骨子案に関連して、財政制度審議会における議論の状況について、資料5に基づき説明する。同審議会では、我が国が抱える大きな課題として、人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営という観点から大所高所の議論をいただいている。
 1枚目の財政総論に焦点を当ててポイントを説明する。まず、上段のように経済力の強化と投資と賃上げの好循環の確立、人材希少社会における人材力の強化、不確実性が高まる中での経済社会の設計などについて重要性を指摘した上で、財政運営については下段のように「危機管理投資」・「成長投資」を含め、多様な財政需要が同時に存在する中、全体として財政規律との整合性を確保しながら、予算編成改革を進めること。不確実性の時代において、リスクマネジメントの視点が不可欠であり、有事への対応余力を確保するため、平時から債務残高対GDP比を安定的に引き下げる必要があることなどの指摘がなされる方向である。
 こうした内容は、当会議における予算編成改革をめぐる議論や、議題1で私から説明した改革の具体化に向けた考えとも方向を一にするものと受け止めている。このほか、2枚目と3枚目では、こうした財政総論の議論を踏まえた社会保障を含む各政策分野についての議論を紹介している。同審議会において近日、建議を取りまとめる予定と承知しており、骨太方針にも反映していただきたいと考えている。
 最後、総理から締めくくりの発言がございましたが、皆様お聞きいただいたとおりかと思いますので、割愛いたします。
 以上です。
 
                                                             (以上)