第7回記者会見要旨:令和8年 会議結果

城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨

1.発言要旨

 本日、冒頭、私から2点ご報告申し上げます。
 1つ目は、令和8年第7回経済財政諮問会議についてです。
 本日の経済財政諮問会議の議題は2つです。「成長力強化」及び「社会保障」について議論を行いました。
 一つ目の議題の「成長力強化」では、民間議員から、「危機管理投資」・「成長投資」に関する「新たな投資枠」について、要求・規模・期間・対象を具体化していくこと、「基金」や「国庫債務負担行為」などの複数年度予算による「投資促進策」をより強化すること、戦略分野全体を「ポートフォリオ」として捉えて管理し、状況変化に対応した効果的な予算活用を行うこと、などのご提案がございました。
 高市総理からは、「予算の予見可能性」を確保することで、企業が「長期的な投資」を行いやすくすることが重要、このため、「新たな投資枠」については、前年度の「予算措置額」にとらわれず、必要な金額が確保されるよう、「通常の歳出」とは別に設け、所要額の「予算要求」を可能とし、予算編成過程で実効的に「予算措置」につなげられる仕組みとすることで、官民投資ロードマップの着実な実行に必要な「規模」と「期間」を確保していく、「基金事業」については、「成果管理」を徹底することを前提に、「予算措置は原則3年以内」とする現行ルールの不適用も含め、柔軟で効率的な資金管理の観点も踏まえた、「基金ルールの見直し」を検討していく、補助金・税制等の支援に加え、AI時代に対応する「規制・制度改革」、スタートアップエコシステムの形成などの総合的な取組によって、民間企業が投資しやすい環境を整えていく、といったご発言がありました。
 二つ目の議題の「社会保障」では、民間議員から、今後も「給付と負担」の見直しに関する改革努力を継続し、「制度の持続性確保」に取り組むことが必要、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」との方針を実現するため、マクロ的な「社会保障負担率」の目標について検討を進め、社会保障改革について、令和8年度中に「改革の具体化」と「工程の明確化」を図り、順次実施すべき、物価・賃金上昇を適切に反映し、必要なサービスを確保しつつ、「持続可能な提供体制」へ転換すべき、AIなどのイノベーションを活用し、「現場の負担軽減」と「生産性向上」を一体的に進めるべき、健康増進、疾病予防、早期発見、受診勧奨、重症化予防を一体的に進める「攻めの予防医療」を推進すべき、などのご提案がございました。
 高市総理から、私(全世代型社会保障改革担当大臣)が中心となり、厚生労働大臣、財務大臣と連携しながら、「社会保障負担率」の「目標」の検討、真に公平な応能負担を実現する「医療費窓口負担の見直し」や、年齢に関わらず働き続けることができる社会を実現するための「高齢者の定義の見直し」といった、具体的な「給付と負担」の見直しの検討、それら改革項目の今年度中の具体化と工程の明確化、労働供給制約が強まる中でも必要な医療・介護サービスを確保するための提供体制の構築、医療介護分野のDXやAI・ロボティクスの活用を通じた「生産性向上」とサービスの「質の向上」、「攻めの予防医療」等に取り組み、「強い経済」と「持続可能な財政」、「質の高い全世代型社会保障」を同時に実現する「社会保障改革」を一層強化すること、といったご指示がございました。
 なお、諮問会議の詳細については、後ほど、事務方からご説明いたします。
 2つ目は、規制改革推進会議のワーキンググループ開催についてです。規制改革推進会議では、来週26日(火)にGX・サステナビリティサブワーキング・グループを開催し、「次世代型太陽電池の普及促進」について、議論を行う予定です。会議の模様については、YouTubeの「規制改革チャンネル」にて配信いたしますので、ご関心ある方はご覧になっていただければ幸いでございます。
 

2.質疑応答

(問)2点質問させていただきます。1点目は、今日の経済財政諮問会議に関連して、民間議員の提言では、「危機管理投資」・「成長投資」に関する「新たな投資枠」を別枠で設けると、具体化についても明記されていました。マーケットの方で長期金利も上がる中でどのように財政規律を維持していくいくのか、見解をお伺いしたいと思います。2点目は、先日、スタートアップ政策推進分科会で、新たな政策パッケージがまとまりました。今後、ユニコーン企業100社創出するといった目標も掲げていらっしゃいますけども、この達成に向けた意気込みといいますか、実効性を持って、どう目標を達成していくのか、大臣の見解を問えればと思っております。


(答)1点目について、潜在成長率の引き上げに向けて、国内投資の促進を徹底的にテコ入れしてまいります。「予算の予見可能性」を確保することで、企業が「長期的な投資」を行いやすくすることを重要視しております。こうした観点から、「新たな投資枠」については、前年度の予算措置額にとらわれず、必要な金額が確保されるよう、「通常の歳出」とは別に設けることといたします。一方で、マーケットからの信認を損なうような野放図な財政政策をとるわけではございません。「責任ある積極財政」の考え方の下、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保してまいります。また、「新たな投資枠」の財源については、債務残高対GDP比を安定的に引き下げる中でも可能となる財政規模を精査し、中期的な債務経路と整合的な形で柔軟に管理してまいります。
 2点目のスタートアップについて、本年1月、日本成長戦略会議の傘下に、私を分科会長とするスタートアップ政策推進分科会を立ち上げ、これまで政策強化のあり方を検討してまいりましたが、一昨日(5月20日)の会合において、「スタートアップ総力創出パッケージ~イノベーションを生み出す、育てる、実装する~」を取りまとめました。
 今回の取りまとめにおいては、スタートアップ政策を抜本強化するため、政府が前に出て、1つ目はスタートアップのスケールアップ、2つ目はディープテック・スタートアップへの支援、3つ目は地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成、という3本柱を通じて、その副題のとおり、「イノベーションを生み出す、育てる、実装する」という政府の覚悟をお示しいたしました。
 特に、政府調達について、高市総理のご指示も踏まえて、SBIR制度を抜本強化し、従来の研究開発支援を超えて本格調達につなげる試験導入の新たな枠組みの創設を打ち出したことは、重要な成果と考えております。関係省庁で連携し、この枠組みを通じて、スタートアップからの政府調達に向けた取組を強力に進めてまいります。また、防衛調達の強化といったデュアルユース・スタートアップのエコシステム形成にも取り組んでまいります。
 今回取りまとめられました施策を迅速かつ着実に実行し、我が国発のスタートアップが主要なプレイヤーの一つとして活躍する「強い経済」を実現してまいる考えです。
 

3.堤内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 第7回経済財政諮問会議について概要をご報告いたします。
 議題は2つです。1つ目が「成長力強化」です。南場議員から資料1の説明をしていただき、城内大臣からは日本成長戦略の検討状況について短く口頭で説明がありました。その後、意見交換を行いました。2つ目が「経済財政一体改革、社会保障」です。筒井議員から資料2の説明をしていただき、上野厚労大臣から資料4の説明をしていただいた後に意見交換を行いました。それぞれの議題について主な意見をご紹介します。
 1つ目の議題です。
 1人目の民間議員です。
 官民連携の下、国内投資を拡大していくためには、「責任ある積極財政」の方針の下で、1つ目は予見可能性を高める公共投資の枠組み、2つ目は民間投資を誘発する総合的な施策が必要。この点、公共投資を多年度・別枠で管理する仕組みは投資の予見可能性向上に資するものであり、歓迎されるもの。とりわけ、中長期的な価値・創造につながる基礎研究を含む科学技術分野や産業インフラの整備など、単年度主義では十分な成果を上げにくい分野について中長期的かつ計画的な投資を強化していくことが重要。
 公共投資が真に成長力強化につながる分野へ重点的かつ効率的に配分されているかについては、PDCAやEBPMの考え方に基づいて政策効果を不断に検証・改善していく仕組みを担保することが不可欠。加えて、民間投資の誘発に当たっては、投資や社会実装のボトルネックとなる規制制度の見直しや標準化、政府調達等のあらゆる政策手段を総動員して取り組んでいただきたい。
 危機管理投資・成長投資を通じた投資牽引型経済の実現に向けて、政府には引き続き、投資の予見可能性を高めるとともに、実効性の高い投資環境の整備に取り組んでいただくことを期待。
 2人目の民間議員です。
 3点。1点目、「新たな投資枠」について、この枠は官民投資ロードマップと整合する十分な規模を複数年にわたって措置するべき。民間企業が投資や人材開発をするためには、中長期にわたる予見可能性が重要。17の戦略分野についても、どの技術を社会実装し、どの程度確保するのかターゲットを明確にすべき。また、民間投資の誘発額や税収への効果をKPIとして設定すべき。加えて、規制制度改革も一体で講じると、民間がリスクを取って投資判断を行う市場環境が整う。
 2点目、民間資金との協調が確実に見込まれる事業について、財投債を活用することは極めて合理的。その場合、対象事業の厳選、償還の可能性、官民リスクの分担、マクロ的な影響をあらかじめ明確にすべき。投資やリターンの性格に応じて最も最適な資金調達手段を選択するという原則を確立すべき。
 3点目、歳出の目安の見直しについて、物価・賃金の上昇局面において未来への成長投資が実質的に削られないように配慮しながら、政策効果や政策目標との整合性を踏まえ、伸ばすべき歳出と見直すべき歳出を峻別すべき。政策ごとにEBPM、PDCAを回して効果の乏しい歳出を見直すことで債務残高対GDP比の安定的な引下げと整合的な歳出管理体制に移行すべき。
 3人目の民間議員です。
 「強い経済」を実現するためには、政府は何を管理するかではなく、どうすれば民間投資が実際に動くのかという発想で制度を組み替えることが重要。「新たな投資枠」、複数年度予算、基金ルールの見直しは極めて重要。これまでの政策の延長線では企業の中長期の投資判断は変わらない。予算、規制制度、資金調達、供給等を一体で動かす仕組みに転換する必要がある。
 リミッターを外すための鍵として3つ提案。1つ目、対象の広さと柔軟性、スタートアップや中堅・中小企業等、民間企業の投資を引き出す取組を「新たな投資枠」の対象とすることを含め、思い切った具体策を検討するよう総理から指示があった。既存の要求額に縛られず、17の戦略分野や8つの分野横断的課題を出発点としつつ、成長戦略の実行に必要な取組、将来の供給力向上に資する取組について柔軟に対象にできる設計にしてほしい。
 2つ目、予見可能性である。政府が一定の規模と期間をもって支援し、規制制度改革や政府調達を含めて企業環境を整えることが企業の投資活動促進に影響する。そのため、基金の3年ルールは見直すべき。投資回収や効果発現に時間を要する分野について3年ルールに機械的に縛られず、基金と国庫債務負担行為を活用し、複数年で契約を行える仕組みを整えるべき。
 3点目、政策的リスク管理である。危機管理投資等は政策的不確実性の高い分野で政策的にリスクを取るものである。ポートフォリオ全体として民間投資を誘発し、供給力を高め、将来の成長を促す効果を確認していく。管理は必要だが、削るための管理ではなく、支援内容を組み替え、成功確率を高めるための管理とすべき。
 最後に、日本成長戦略会議では官民投資ロードマップにおいて、「新たな投資枠」の実際の規模感を複数年度分しっかり見せていただくようにお願いしたい。
 4人目の民間議員です。
 今回、日本成長戦略会議のスタートアップ分科会が取りまとめた「スタートアップ総力創出パッケージ」は非常によくまとまっている。内外からの成長資金の供給拡大、能力の高い人材の引きつけ、優秀な海外起業家・投資家の呼び込み、これらに向けた体制整備を図ることなど、重要なことがよく盛り込まれており、日本を世界に伍するスタートアップ・エコシステムとするためによい方向性がよく整理されている。
 方向性は示されたが、取組を強化する、あるいは支援を拡充するとされているように、具体的な制度設計はこれから。日本の政策立案ではどうしても国際標準に合わせるという発想が根強いが、日本のスタートアップ・エコシステムが他国に劣後している現状において、具体的な制度設計に当たっては、他国並みではなく、他国を凌駕する水準の措置となるようにすることが必要。
 日本企業の競争力を高めていくことは成長力の強化に向けて非常に重要。競争力については、生成AIをどれだけ活用しているかということが関係している。総務省から出た調査レポートにおいても、日本企業のAI活用・利用率は、他国に比べて進んでいないという結果が出ている。利用している企業でも、チャットやリサーチの利用が中心で、生産性を向上させるためにはAIエージェントをどれだけ使いこなすかが重要だが、そこまで到達している企業が少ない状況を心配している。
 AIと人間の役割分担が刻一刻と変化する中、米国では人間とAIの役割分担に応じて人材も入替えをしている。日本では経済の中心となる大企業を中心に、人材と企業が密に結合している。この密な結合がAIの進化に応じた柔軟な労働移動のネックとなっている。人が動きやすい環境を整備することが非常に重要。例えば退職所得控除など一つの会社で長く働いたほうが得となる制度は見直すべきであるし、人が動いたら賃金は上がるので、ぜひ人が動きやすい環境を整備してほしい。
 続いて、閣僚の発言です。
 林総務大臣です。
 総務省は、政府が掲げる戦略17分野のうち、情報通信を担当しており、オール光ネットワーク、海底ケーブル、次世代ワイヤレスを主要な製品・技術として選定し、官民ロードマップを策定している。とりわけ、情報通信産業はそれ自体が我が国の経済成長への寄与度が高いのみならず、製造業など他産業・他分野への波及効果も大きいため、全ての産業の基盤となる分野であり、危機管理投資と成長投資をより一層推進すべき分野であると考える。
 総務省としては、これらの製品・技術への支援をはじめとする情報通信産業の振興を通じて、我が国の「強い経済」の実現と経済安全保障の確保に積極的に貢献していく。
 続いて、片山財務大臣です。
 危機管理投資・成長投資によって「強い経済」を実現するためには、民間議員からもご指摘があったように政策目的を明確化し、民間投資を誘発していく、状況変化に対応して効果的に予算を活用し、成功の可能性を高めていくといった視点が重要。
 財務省としても、金融面も含めた多様な政策手段を活用し、民間による適切なリスクテイクを促すこと、事業の進捗・成果を管理し、必要に応じた見直しを行えるような適切なマイルストーン等を設け、政策効果を高めていくことが重要だと考えている。
 加えて、民間議員からご指摘のあった危機管理投資・成長投資における基金の活用に関しても、同様の視点から、事業の成果管理を徹底しつつ、柔軟かつ効果的な資金管理の観点も踏まえ、基金ルールの見直しを関係大臣と協力して検討していく。
 前回、5月11日の諮問会議において総理から、経済財政諮問会議での議論などを踏まえ、「新たな投資枠」の創設など、予算編成改革に向けた必要な対応の具体化について検討を進めるようご指示をいただいた。財務省としても、高市内閣が進めてきた「強い経済」と財政の持続可能性を両立させる取組をさらに確実なものとすべく、4月13日の会議で民間議員から提案のあった基本原則を念頭に、本日の議論も参考としながら、予算編成改革の具体化に向けて取り組んでいく。そのベースとなる考え方について、6月の会議において私からご報告したい。
 続いて、山田経済産業副大臣です。
 今般の中東情勢をはじめ、地政学リスクが上昇し、安全保障、経済安全保障を確保する重要性が高まる中、世界は産業政策の時代を迎えている。こうした中で、経済産業省としては、17の戦略分野を中心に、「新たな投資枠」も活用しながら、複数年度、大規模な予算措置を通じて企業の予見可能性を確保し、民間の投資を強力に引き出していく。
 中でも、AIトランスフォーメーション(AX)は、積極的な産業政策で実現すべき勝ち筋の根幹であり、17の戦略分野全ての基盤となる。フィジカルAIの基盤となる高齢者のヘルスケア、災害対応、廃炉技術、製造現場で蓄積されたデータや産業ロボット等の技術基盤といった日本の強みを生かし、速やかなAXの実現を図る。
 こうした戦略分野への投資促進に加え、スタートアップ・エコシステムの形成、中堅・中小企業の稼ぐ力の強化と持続的な賃上げの好循環の実現など、分野横断的な取組も併せて講じることで我が国の潜在成長率向上を実現してまいりたい。
 続いて、2つ目の議題です。
 1人目の民間議員です。
 社会保障改革についても、単なる歳出抑制や価格統制ではなく、「強い経済」をつくるための制度改革として考える。現役世代の可処分所得の増加や社会保障負担の減少は、投資行動や就労意欲につながる。社会保障の安心感が弱まれば過度な貯蓄にもつながり、消費や人的投資にも影響を及ぼす。負担を抑えることと、保険として大きなリスクに備えることの両立が重要。改革は短期的に取り組みやすい項目に偏らず、年齢によらない応能負担の在り方なども重要な論点だが、自己負担率だけに限定した議論をすべきでない。医療は高額で予見しにくい項目であるため、低所得者層への配慮を行い、保険本来の機能を高めるような社会保障改革を実施してほしい。
 また、医療費の負担増を診療報酬や薬価だけに寄せるべきではない。医療機関が利用量を増やそうとすれば、制度全体として望ましい改革にならないため、国費だけでなく、サービスの質やアクセスへの配慮を含めた包括的な改革を実施すべき。
社会保障と「強い経済」を結びつけるためにも、イノベーションが重要であり、現場でのイノベーションのインセンティブを行ってほしい。
 現役世代の手取りについて、社会保険料だけでなく、税制との関係も重要である。いわゆるブラケットクリープが生じれば、手取りの改善が実感しにくくなる。国民会議等の議論とも接続して議論してほしい。
 2人目の民間議員です。
 1点目、資料2で医療・介護DX、AI・ロボティクスなど、提供体制の持続可能性を高める改革を打ち出しているが、これは単に給付費を抑える、現場の負担を軽減するというミクロ的な効果だけでなく、深刻な労働供給制約に対して大きな解決策を提示することを意味する。一連の提供体制の効率化により、徹底的な省力化を実現することで社会保障分野に割かれざるを得なかった人材を他の成長産業へ円滑にシフトさせることもできる。
 2点目、社会保障の財源について、マクロ環境を見ると企業収益は改善しているが、家計の購買力は依然として厳しい。このため、安易に家計内での再分配に拘泥するべきではない。財源面で歳出効率化、成長による税収増も視野に家計全体のパイを底上げすることが必要。持続可能な社会保障制度には恒久財源が不可欠だが、インフレ下での増収分も社会保障の原資とするなど、将来的な調整の在り方を議論すべき。
 3点目、予防医療について、医療制度のインセンティブ設計を工夫すべき。現行の制度では、病気になった人に手厚いが、健康維持に努めている人への恩恵が乏しい。他国の例も参考に医療費増大の課題を突破するため、国民の健康行動を可視化し、テクノロジーと正しいインセンティブで予防医療の後押しをすべき。
 3人目の民間議員です。
 社会保障の給付と負担の全体像、特に負担面では税と社会保険料を一体で捉えた抜本的な改革を進めていくことが重要。その際、目指すべき方向として持続的な経済成長と両立可能なメルクマールとして「中福祉・中負担」を掲げ、その中で社会保障負担率の目標を定めるべき。
 今後、あらゆる産業で労働供給制約が一層高まり、医療・介護分野に投入できる人的資源は今以上に限られる可能性が増すと考える。医療・介護サービスを安定的に提供できるよう、効率的な提供体制の構築を従来以上に推し進めることが重要。病床の適正化、医療機関の集約化、介護事業の大規模化・共同化。さらに、医療・介護分野でのDX推進やAI活用による生産性の向上、これらをより一層促していくべき。
 高市政権が掲げる「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」方針は「強い経済」の実現につながり、社会保障制度の持続可能性確保にも寄与すると高く評価している。その実現のために、例えば全世代で公平・公正に支える制度とするために後期高齢者医療の窓口負担や介護の利用者負担の見直しを先送りせず実行すべき。本年は介護報酬の改定が議論される。生産性向上を促し、賃金・物価の上昇基調に対応するとともに、サービス類型、サービス提供の実態を確認し、報酬の適正化やメリハリ付けを行うべき。
 現在、国民会議で検討中の給付付き税額控除は、税・社会保障を一体的にみて、現役世代の中・低所得者の負担軽減や就労促進に資する画期的な仕組みであり、スピード感を持って導入すべき。
 4人目の民間議員です。
 社会保障分野については、給付拡大と負担増を繰り返す時代から転換し、現役世代の可処分所得を増やしながら持続可能性と成長を両立させる新しいステージへと移行する必要がある。負担を増やさなければ支えられない社会保障から脱却すべき。現役世代の社会保険料負担は長年にわたり手取り増加を阻害してきた。高市政権が掲げる現役世代の保険料率を下げていく方針は、この流れを転換する極めて重要なメッセージ。賃上げしても手取りが増えないという若い世代の諦めを変えなければならない。方針を掲げる以上、いつまでにどこまで下げるのかを示すことが必要。
 今回提案する社会保障負担率は、社会保障負担の全体像を示す分かりやすい指標だ。重要なのはその数字を本当に下げること。改革は必要と言い続けながら、負担率が高止まりする状況はもう終わりにすべき。社会保障負担率をいつまでにどこまで引き下げるのかを明確に掲げ、そのためのロードマップを早急に示すべき。具体的な改革項目の検討に際して、何歳以上は一律に支えるとか、何歳以上だから一律に負担が軽いといった発想は改めることが必要。年齢だけで線を引く制度は、現役世代の納得感を失いつつある。その見直しの一丁目一番地が窓口負担。
 現場の負担軽減と生産性向上も抜本的に進めるべき。人手不足社会にあって、医療・介護分野が従来型の方法を続けることは持続可能ではない。AIやデジタル技術を前提に業務プロセスそのものをつくり変えていく必要がある。制度、報酬体系、規制もその変化を促すものに改めなければならない。
 加えて、労働供給制約がさらに深刻になる中で、働きたい人が働けば手取りが増える制度に変えていくことが重要。給付付き税額控除は年収の壁を超えると損をするゆがみを和らげ、就労拡大と所得向上につながる制度であり、「強い経済」の実現の観点から待ったなしで導入すべきと考える。
 続いて、閣僚の発言です。
 片山財務大臣です。
 社会保障分野においては、現役世代の保険料負担を軽減し、可処分所得を増やすことを通じて「強い経済」の実現につなげていくことが重要。高市政権における「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す」方針の下、医療・介護を中心とした社会保障制度の改革を着実に進めることで制度の持続性を確保しつつ、成長力の強化にもつなげていく。
 本日、民間議員の皆様からは、マクロ的な社会保障負担率の目標の検討を進め、社会保障改革については令和8年度中に改革の具体化と工程の明確化を図り、順次実施するよう提言をいただいており、今後その具体化に向け関係大臣と検討を深めていく。
 加えて、具体的な改革項目についても、年齢によらない、真に公平な応能負担を実現する医療費窓口負担の見直しや軽微で日常的に利用する医療品・医療に対する必要な方策の検討などの提案をいただいた。社会の変化に応じて保険制度を不断に見直し、給付と負担のバランスを確保していくことは避けては通れない課題であり、関係省庁と議論を深めていく。
 2人目、山田経済産業副大臣です。
 挑戦する人や企業が報われる経済構造への転換を進めるためには、国民の健康寿命の延伸、社会保険料負担の軽減、経済成長の加速の3つを同時達成することが重要。
そのため、AIを活用して医療・介護、そして予防健康づくりも含めてアップデートするというAIトランスフォーメーションを強力に推進すべき。
 具体的には、①革新的な創薬や医療機器のイノベーションの加速、②介護AX等を通じた医療・介護提供体制の持続可能性の向上、③ライフログデータを用いた質の高いヘルスケアサービスの創出と健康経営の普及・強化といった「攻めの予防医療」による健康経済の実現の三本柱について取り組んでまいりたい。
 最後、総理からの締めくくり発言がございましたが、皆様お聞きいただいたと思いますので、割愛します。
 以上です。