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付注2−1 「企業の新しい成長戦略に関するアンケート」について

1. 調査時期
 平成19年2月16日〜平成19年3月12日にかけて実施

2. 調査手法
 郵送法

3. 調査対象
 標本数3,697社(金融・保険などを除く全国全市場上場会社)
 有効回答数979社(回収率26.4%)
※質問項目によって回答社数が異なるほか、分析過程でマッチングする調査票以外のデータの欠損値なども存在するため、分析内容によって社数ベースは若干異なる。また、本質問票の内容はガバナンスの実態も含めて企業の経営戦略全般にわたる内容となっており、回答は経営企画部門長を中心に依頼している。

4. 調査項目
 I.競争環境、コーポレート・ガバナンス
 II.M&A
 III.有形固定資産等
 IV.人的資本投資

5. アンケート結果と財務データのマッチング
 企業行動と業績パフォーマンスの関係をみる際には、マッチングさせる財務データとして、基本的にROA(総資産営業利益率)ないし実物資本の収益率である有形固定資産利潤率を利用している。本来であれば、生産性と企業行動の関係をみるに際して、労働生産性やTFPを利用することが望ましいと考えられるが、企業の財務データを使って比較的容易に抽出できるROAないし有形固定資産利潤率を使用することとした。
 第2章第1節でみたとおり、労働生産性の上昇は、資本装備率の上昇とTFPの上昇に要因分解できる。TFPの上昇は企業レベルでみれば、ROAを上昇させる。一方で、リストラによる人員削減や設備投資の抑制は、資本装備率の低下を通じて短期的にROAを向上させるが、資本ストックの老朽化や労働の質の低下が、むしろ長期的にはROAの低下につながる可能性がある。したがって、ROAを生産性に代わるパフォーマンス指標としてみていくに際しては、この点に留意しながら、企業行動とROA(業績パフォーマンス)の関係を中期的に把握していく必要がある。なお、ROAなどのパフォーマンス指標をマッチングさせるに際して、アンケート回答企業を母数とした分布と財務データが取得可能な全企業を母数とした分布の比較を行った。両者の分布は非常に似通った形となっており、アンケート企業の財務状況に特定の偏りはないと判断できた。ROAを軸としたクロス集計を行う際には、当期ROAの閾値(高収益企業とその他の企業の境界値)を「5%」に設定し(中央値は4.2%、平均値5.3%)、2段階に分けてカテゴリ化をしている。

ROAの分布


6. 競争環境に基づく企業分類の考え方
 本節では、グローバル化や技術の高度化といった経営環境の変化が、企業行動に与える影響についてもみている。企業のグローバル化については、「海外売上高比率(=海外売上高÷売上高)」、企業の技術の高度化については、「研究開発比率(=研究開発費÷売上高)」の2指標を用いている。こちらについてもアンケート回答企業における2指標の累積分布状況を確認しており、財務データから指標作成が可能な全企業による分布とほぼ同じであることが確認できた。この結果に基づき、海外売上高比率の閾値(グローバル型企業と国内型企業の境界値)は「25%」、研究開発比率の閾値(技術型企業とそれ以外の企業の境界値)は「1%」と設定し、2段階に分けてカテゴリ化をしている。

海外売上高比率、研究開発比率の分布


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