第3節 高齢化・人口減少に対応した公的部門の構築(78)
(78) 賦課方式による公的年金制度が世代間扶養を基本とせざるを得ない理由として「初期段階効果」(公的年金制度発足の初期段階における現役世代が老親を私的に扶養するための負担と自らが将来受給する年金の積立を二重に負担することを避けるため、保険料を低く設定する一方、老後の生活に十分な給付水準を維持するために後世代の保険料収入を投入しなくてはならなかったという事情によるもの)や、将来の社会経済変動が予測できないなかで、長期間の社会経済の変動に対応し、高齢期の生活の支えとなる給付を保障しなければならなかったことが挙げられる。また、公的年金制度がない場合にも、少子・高齢化が進行すれば、高齢期の生活を支えるため私的な扶養負担も同様に増えることとなる。