第3節 高齢化・人口減少に対応した公的部門の構築(74)
(74) 年金制度のように長期間の時点の差のある給付と負担を評価する際に、時間の経過をどのように評価するかについては様々な考え方がある。ここで用いた運用利回りを使う方法のほか、賃金上昇率や物価上昇率を用いて換算する方法も提案されている。
世代間扶養を基本的な考え方として運営している現在の公的年金制度においては、賃金の一定割合の保険料拠出を求め、給付額も賃金水準の上昇を反映することが基本的な仕組みとなっている。この考え方に従い、賃金上昇率を用いて保険料総額や年金給付総額を評価した厚生労働省の試算(「年金制度における世代間の負担と給付の関係について」(平成15年8月))によると、事業主負担を含めたとしても、どの世代も自らが払った年金保険料以上に年金を受給することとなる。
ただし、いずれの方法を用いても、給付比率(年金受給額/年金保険料)倍率が若い世代ほど小さくなる傾向は、世代会計の手法と変わりはない。