第3節 高齢化・人口減少に対応した公的部門の構築(53)
(53) 国民負担率の高まりが経済活力を低下させるという議論に対しては、(1)租税・社会保障負担の対価として種々の行政サービス、社会保障給付の提供を受けていることも事実であり、負担面だけを強調するのはバランスを欠いている、(2)公的部門が民間部門よりも非効率的となる傾向があったとしても、国民が行政サービスの提供や所得移転を望むのであれば一概に問題とすることはできない、(3)公的な所得再配分は単なる経済効率性の観点からは図り得ない社会的公正の観点から重要な役割を果たしているのであり、一概に所得再配分に伴う問題のみを強調するのは適当でない等の指摘もある。