第1章 景気回復への展望

日本経済は、2002年1月に景気の谷を迎え、景気循環上は、景気回復局面に移行した。しかし、その後の道のりは決して平坦ではなかった。底入れ直後こそ輸出、生産は増加を続けたが、2002年末から2003年初にかけて弱い動きをみせ、景気は踊り場的な状況に入った。そうしたなかにあっても、企業収益や設備投資は改善を示し、2003年秋以降景気は持ち直しに向けた動きを示すようになっている。

本章は、このような景気の現状について分析し、将来の展望を行うことを目的にしている。第1節では、現在の景気の原動力とその効果の波及状況を分析し、全体として弱さを抱えているなかで、企業部門を中心としてみられる前向きの動きについて分析する。第2節では、そのような景気動向の下で続くデフレの現状と背景について検討し、デフレ脱却のための条件を考える。第3節では、マクロ経済政策が、景気とデフレにどのようなインパクトを及ぼしてきたのかを分析する。以上を踏まえ、第4節では、景気の先行きについてどのように展望できるのかについて論じる。