第2節 不良債権・過剰債務は日本経済の重し(8)

注) 8. 自己資本比率の低下が銀行のリスクに対する態度をどう変化させるかについては、議論が分かれる。本文のように、バッファーがなくなることでリスクが取れなくなるとする議論や、財務情報の詳細な公表が求められなかった90年代前半の状況下では、危機的な財務状況にある銀行の経営者は、モラルハザードによるリスクの高い貸し出しを行う、とする議論がある。不良債権など財務情報のディスクロージャーが進み、早期是正措置などの枠組みが整備された現在では、モラルハザード的な行動はみられていないと思われる。また、銀行がリスクテイクできないのは、経済情勢の悪化によりリスクに見合った適正な金利が設定できない点もあると考えられる。