第2章 2024年前半の世界経済の動向

[目次]  [戻る]  [次へ]

本章では、2024年前半の世界経済の動向について分析する。

第1節では、アメリカの景気動向について分析する。アメリカにおいては、潜在成長率が移民流入の上振れにより上昇する中で、個人消費は、物価上昇を上回る名目賃金上昇の継続や超過貯蓄の取崩しにより、増加傾向が続いている。設備投資は、半導体法等の効果が継続し、緩やかな増加傾向が続いている。このような力強い国内需要を背景に、景気拡大が続いている。

第2節では、欧州の景気動向について分析する。ユーロ圏や英国においては、消費者マインドの改善ペースは弱いものの、物価上昇を上回る名目賃金上昇の継続等を受けて、景気は総じて持ち直しの動きがみられている。

第3節では、中国の景気動向について分析する。中国においては、政策支援による自動車販売の増加や、製造業投資・インフラ投資の増加により、景気に持ち直しの兆しがみられていたものの、不動産市場の停滞により構造的に内需が不足し、景気は足踏み状態となっている。

このように、アメリカは引き続き景気拡大を続けるとともに、ユーロ圏や英国の景気は総じて持ち直しの動きがみられており、欧米の景気は総じてみれば持ち直している。しかしながら、中国では不動産市場の停滞により構造的に内需が不足する中で景気が足踏み状態にあり、欧米の基調とは異なる例外的な動きを示している。このため、世界の景気は、一部の地域(中国)において足踏みがみられるものの、持ち直している状況にあると考えられる。

第4節では、以上の分析を踏まえて、世界経済のリスク要因について整理する。

[目次]  [戻る]  [次へ]