第1章 民間債務からみた世界経済のリスクの点検

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世界金融危機後、経済の急速な落ち込みに対応するため、主要中央銀行は大規模な金融緩和を実施し、市場に資金供給を行ってきた。こうした資金供給や緩やかな世界経済の回復を背景に世界金融危機後、家計や企業は債務を積み上げており、その残高は歴史的にみても高水準となっている。仮に民間部門の債務が過剰に積み上がった場合、経済成長や金融安定性へのリスクとなるおそれがある。

本章では、長期の金融緩和の下で、世界経済にリスク・ぜい弱性が蓄積されている可能性について民間(家計・企業)債務の側面から検証していく。まず民間債務が問題とされる背景について概観し、次に世界における民間債務の動向を民間債務全体、家計部門の債務、企業(非金融)部門の債務、国際的伝播(ぱ)に分けて検証する。家計部門の債務の議論に際しては、特に先進国では家計部門の債務の大半が住宅ローンであることから、住宅市場の動向についてもみていく。

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