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第2章 先進国を中心とする成長力の変化と展望

2008年を契機とする世界金融危機は金融市場の混乱だけでなく実体経済の面でも大きな影響をもたらした。すなわち、世界貿易の急激な縮小により、各国の輸出が減少し、それが企業の設備投資を始めとする国内需要の低下につながり、先進主要国の多くは翌年には大幅なマイナス成長を記録した。その後リバウンドはするもののアメリカを始め主要国では危機前に比べ経済成長が鈍化した状況が続いている。

本章では、世界金融危機の影響により、その後の先進主要国の成長に循環的な変動だけでなく構造的な変化がもたらされ、潜在的な成長力すなわち潜在成長率が屈折した可能性がないか検証する。このため、第1節では、近年の成長力の変化について供給面から分析し、労働や資本といった投入される生産要素面でどのような変化が生じているかについてみていくこととする。また、第2節では、特に今後の成長力向上のポイントとなるイノベーションの役割に着目し、主要国の特徴的な事例を概観しながらイノベーション創出のための条件や有用な取組について示唆を得ることとする。

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