これまでみてきたように、2000年代以降、「財市場」「資本市場」「労働市場」のそれぞれにおいて、新興国のプレゼンスの拡大と全球一体化という2つの大きな構造変化が進行している。こうした構造変化は、新たな投資先や消費市場が創出され企業にとってビジネスチャンスが広がるといったメリットがある一方、世界経済や日本経済が直面するリスクも増大すると考えられる。
本節では、こうした構造変化の長期的見通しと歴史的な文脈での位置づけを確認するとともに、世界経済にとってのリスクを考察する。最後に、日本も含め先進国の経済政策への示唆を探る。