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第3章 世界経済の見通しとリスク

第2節 ヨーロッパ経済の見通しとリスク

1.経済見通し(メインシナリオ)― 持ち直しのスピードは非常に緩やか

 ヨーロッパの景気は、失業率が高水準であるなど引き続き深刻な状況にあるが、景気は下げ止まっている。ただし、10年1〜3月期の成長率は、ユーロ圏、ドイツ、フランス等多くの国・地域でプラス成長となったものの、前期比年率でおおむね1%以下の成長率となっており、アメリカや日本と比べて緩やかである。
 先行きについては、景気は緩やかな持ち直しに向かい、ユーロ圏の10年全体の実質経済成長率は、1%程度になると見込まれる。ただし、ギリシャ財政危機により、他のヨーロッパ諸国の財政状況やヨーロッパの金融システムに対する懸念が高まり、金融資本市場の変動が更に深刻化するリスクに留意する必要がある。また、新興国向け貸出の不良債権化による信用収縮や自動車買換え支援策の反動の広がり、雇用の悪化等により、景気が低迷を続けるリスクがあり、成長率を押し下げる可能性がある。
 内外需に分けてみると、内需については、自動車買換え支援策の終了に伴う反動や、失業率が高水準で推移することにより、消費の回復の動きは弱いものになると見込まれる。
 外需については、過去の景気回復局面において回復をけん引した2000年代以降シェアを高めているロシア、中・東欧向け輸出の本格回復には時間がかかるとみられる反面、アジア向けやアメリカ向けの輸出の伸びは持ち直しが見込まれる。また、このところユーロが主要通貨に対して減価していることから、輸出の増加が見込まれる(第3-2-1図第3-2-2表)。


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