第2章 アジアの世紀へ:長期自律的発展の条件 |
アジアは、これまで「東アジアの奇跡」と呼ばれた1965〜90年の高い成長や、近年の中国の急速な成長等、世界の中で相対的に高成長の地域として注目されてきた。その背景の一つには、生産年齢人口の総人口に占める割合が増加する「人口ボーナス期」が成長を後押ししたことがあると考えられている。しかし、2010年以降、アジアでは出生率の低下が継続することにより、少子高齢化が進行するとともに、総人口に対する労働力人口の割合が減少することから、これまでのような高成長を維持することは難しいと見込まれる。第2節では、アジアにおける人口動態と経済発展の関係について概観した後、今後のアジアの成長率に対する人口動態の変化のインパクトを検討し、2030年までの長期的な展望を行う。