第3章 世界経済の見通しとリスク |
第4節 世界経済全体の見通しとリスク
1.経済見通し(メインシナリオ)−10年に持ち直し
世界の景気は後退しており、引き続き深刻な状況にあるが、一部に政策対応の効果がみられる。先行きについては、09年中は、欧米ではマイナス成長が続き、新興国でも中国等一部の国を除き、マイナス成長、もしくは相当程度の低成長となることが見込まれる。この結果、09年の世界経済は、戦後初のマイナス成長となると見込まれる。
その後は、10年には、アメリカ経済が持ち直すにつれて、世界経済全体も持ち直していくと見込まれるが、過去の世界的な景気後退からの回復局面と異なり、アメリカが回復のエンジンとはなり得ないことから、回復のテンポは緩やかなもの(1%程度)にとどまると見込まれる。
国際機関及び民間機関の見通しをみると、世界経済については、09年は、おおむね▲2%前後となっており、10年については、国際機関が1%程度となっているのに対して、民間機関は2.2%と高めの成長率となっている(第3-4-1表、第3-4-2表)。
●中国は世界経済の回復をけん引するか
このように、10年になっても世界経済の回復が緩やかなものにとどまると見込まれる中で、中国については、景気刺激策の効果もあり、足元では、景気が持ち直しつつあり、先行きについても、09年後半からは回復に向かうことが見込まれている。しかしながら、こうした中国経済の回復が、世界経済全体の回復をけん引していくかという点については、世界経済に占める中国のシェアは、08年時点で世界全体の7%強にすぎないことから、そこまでは期待できないと考えられる(第3-4-3図)。他方、アジア地域に限定して考えれば、域内のGDPに占める中国のシェアは3割強に達し、日本の約35%とほぼそん色がないことから、中国経済がアジア地域、とりわけ、韓国や台湾といった中国向け輸出のウェイトの高い国・地域の景気回復に寄与して行くことが期待される。