第3章 世界経済の見通しとリスク |
第2節 ヨーロッパ経済の見通しとリスク
1. 見通し(メインシナリオ)−10年後半に持ち直し
ユーロ圏及び英国では景気は後退しており、金融危機と実体経済悪化の悪循環により、引き続き深刻な状況にある。ヨーロッパは、アメリカと並び今回の世界金融危機の震源地であり、今後も、金融危機と実体経済悪化の悪循環が続くとみられる。このため、先行きについては、減少のテンポは徐々に緩やかになっていくものの、09年中はマイナス成長が続く可能性が高い。また、その後についても、自律的な回復の可能性は小さく、各国における金融システム安定化策により金融市場が徐々に安定化に向かうとともに、アメリカ経済が10年に持ち直すと仮定すると、10年後半には、回復に向かうと見込まれる。
ちなみに、国際機関による実質経済成長率見通しをみると、09年中はマイナス成長が続き、09年全体では、大幅なマイナス成長となることが見込まれている。その後、10年に入っても景気はなかなか回復せず、10年全体でも若干のマイナス成長もしくは、ほぼゼロ成長となると見込まれている(第3-2-1図)。