第2章 新興国経済:金融危機の影響と今後の展望 |
第4節 世界金融危機とインド
インド経済は、景気過熱や原油価格上昇に伴う物価上昇率の高まりなどを背景に2008年半ばから金融引締めを強化していたところに、世界的な金融危機の影響が加わって、一段と減速している。金融危機のインドへの影響についてみると、国内金融機関がアメリカの証券化商品等のリスク資産をほとんど保有していなかったことなどから、金融面での直接的な損失は比較的軽微とみられるものの、他方で輸出の落ち込みや投資の減速等といったマイナスの影響が実体経済に現れている。ただし、金融危機直後のインドの実質経済成長率は他のアジア新興国に比べて高めに推移しており、主要国が景気後退に直面する中、インドは世界における存在感を着実に高めつつある。
以下では、こうしたインド経済の現状や金融危機の影響及び今後の経済見通しについてみていきたい。