第2章のポイント
2006年の世界経済は2005年並の伸びで成長する見込み ●世界経済(日本に関係の深い22か国・地域)は着実に回復している。日米欧格差は縮小しつつあるものの、依然としてアメリカが世界経済のけん引役を果たしている。これら22か国の05年の成長率は3.3%となった。 ●2006年の世界経済(日本に関係の深い22か国・地域)は全体として3.4%程度の成長が見込まれている。これは、アメリカ経済が引き続き堅調なことに加え、ユーロ圏経済の持ち直しが明らかになりつつあることによる。
1. アメリカ経済は4〜6月期以降成長率が若干鈍化するものの、06年全体では潜在成長率を若干上回って成長する見込み ●05年のアメリカ経済は05年10〜12月期の成長率は1.7%と一時的に鈍化したものの、03年以降持続する原油価格の高騰にもかかわらず順調に拡大した。06年の成長率は1〜3月期に反動もあり5.3%と高い伸びをみせたものの、その後は若干伸びが鈍化するとみられており、06年全体では05年とほぼ同様に3%台半ばで推移すると見込まれる。 ●こうした景気拡大を背景に、04年半ば以降の政策金利の引上げは慎重なペースで継続された。また、原油価格が過去最高水準を更新する形で上昇、高止まりし、物価上昇等を通じた経済全体への影響が懸念されたが、エネルギーを除いた消費者物価の上昇は今までのところ落ち着いた動きを示しており、景気への下押し圧力は限定的なものにとどまっている。
2.アジア地域は中国を中心に引き続き高い成長が続く ●アジア地域全体の景気を牽引している中国経済は、政府がマクロコントロールを通じたソフトランディングを目指して注意深い政策運営を続けている中、05年の成長率は9.9%と高い伸びとなった。06年から実施される「第11次5か年計画(06〜10年)」では、従来の成長重視・投資主導型の方針を改め、全面的な小康社会(少しゆとりのある社会)建設の実現という最終目標に向け、持続可能な成長を目指す方針が示されており、引き続き高い成長が見込まれる。
3.ユーロ圏は外需依存の緩やかな回復が続く ●ユーロ圏では、原油価格の高騰等の影響もあり05年末にかけてやや減速したものの、世界経済の回復やユーロ安であったことを受けて、輸出は増加傾向が続いており、企業は輸出拡大期待を強めて景況感が目立って改善するなど、外需依存の緩やかな回復が続いている。物価については、エネルギー価格の上昇がみられるが、エネルギーを除く物価上昇率はこれまでのところ安定している。しかし、06年以降、二次的波及のリスクが強まっている。05年の成長率は、04年の2.0%から1.3%に減速したが、06年は1.9%程度に回復すると予測される。
4.2006年世界経済の抱えるリスク ●世界経済が今後抱えるリスクとしては、(1)原油価格高騰による物価上昇圧力の増大、(2)住宅市場の急減速等によるアメリカ経済の失速、(3)双子の赤字の持続可能性に対する懸念から生じる為替レートの急速な調整と長期金利の上昇等の下方リスクがある。
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