第I部 海外経済の動向・政策分析 |
第1章 中国経済の持続的発展のための諸課題
●大国となった中国
中国は1978年末からの改革・開放政策に沿って計画経済体制から市場経済化への移行を進めてきた。とりわけ92年の小平による「南巡講話」以降、その動きは加速し、外国から積極的に資本の受入れに努めた結果、2000年頃から加工貿易の急激な拡大を中心とした輸出主導型の高い経済成長を実現してきた。その後、中国経済は特に世界経済の中での存在感を高めており、2003年の名目GDP(ドル表示)は世界第7位となり、購買力平価
(PPP)表示では6.4兆ドル(2003年、PPP換算)と既に日本の3.7兆ドルを抜いている。一人当たりGDPも、2000年代に入って1,000ドルを超え、改革・開放直後のおよそ3倍となった。特に近年の貿易量の拡大は目覚ましく、2004年の中国の貿易量は日本を抜き、アメリカ、ドイツに次いで世界第3位となったほか、輸出、輸入各々においても第3位となり、今や世界有数の貿易大国となっている。2001年にはWTOへの加盟を果たし、関税の引き下げをはじめ金融・保険・証券業への外資参入障壁の縮小など、財・サービス等あらゆる分野における国内市場開放を段階的に実施することとしている。
こうした中国経済の躍進に伴い、我が国との経済関係も年々深化している。貿易相手国としては、中国は我が国の輸出相手国としては2004年にアメリカ、EUに次ぐ地位(3)を占め、輸入相手国としては最大の相手国となっている。
また直接投資に関しても、中国は我が国にとって最も有望な直接投資先の一つとなっており、その投資額は2000年からの5年間で約2.5倍に拡大している。