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19  ロシア連邦    Russian Federation

ロシア経済のこれまで

<2001年の経済>
 98年の金融危機によるマイナス成長から一転し、通貨切り下げによる国際競争力の回復及び原油・天然ガス等主要輸出産品の国際価格の上昇等を背景に、経済は回復した。個人消費の増加等、内需主導で景気は拡大し、2001年の経済成長率は5.0%となった。

<2002年の経済見通し>
 政府は、原油価格の下落リスクは残るものの、2002年の経済成長率は4.3%になると予測している。国際機関もおおむね、2002年も安定した拡大を続けるとみている。なお、民間機関4社による見通しは平均3.5%となっており、2001年10月時点の予測値4.3%から下方修正されている。

ロシアの主要経済指標

 成長を支える要因としては、失業率の低下等を背景に個人消費が堅調に推移し、生産や固定投資が増加するという好循環が続くこと及び構造改革の進展等が挙げられる。
 下方リスクとしては、世界経済の回復の遅れによって、既に減速している輸出が一段と伸び悩む可能性等が挙げられる。また、主要輸出品である原油価格の動向はロシア経済に大きな影響を及ぼすことから、その動向には注意が必要である。

<財政金融政策の動向>
 財政をみると、99年にロシア連邦成立以来初の財政黒字を記録し、以降、黒字基調で推移している。財政収支の改善は、歳出抑制や税制改革といった政策要因と原油価格上昇といった経済要因が背景にある。しかし、原油価格上昇のような対外要因に大きく依存した財政黒字が今後も持続可能かどうか注視する必要がある。また、政府はこの黒字分を対外債務の返済に充てている。
 金融政策は、ロシア中央銀行が物価及び為替レートの安定を主要目標としてその舵取りを行っている。こうした政策効果もあって、かつての高インフレを脱し、インフレ率も年を追って低下している。また、ルーブルの安定がロシア経済の成長を持続させる条件として重要との観点から、実質為替レートのある程度の上昇は許容しつつ、名目為替レートをおおむね安定した水準に維持するよう努めている。一方、この為替政策により外貨準備高が増加しているため、マネーサプライが増加する傾向にあり、物価への影響が懸念されている。


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