<2001年の経済>
98年より3年連続で経済成長率が3%台となる成長を続けてきたが、2001年は世界経済の減速の影響を受け、2.0%と低成長にとどまった。個人消費は比較的堅調に推移したものの、世界経済の減速に伴って輸出は伸び悩み、また、企業の景況感悪化から設備投資が大きく鈍化し、景気は減速した。
<2002年の経済見通し>
政府は、2002年下半期から景気は回復し、経済成長率は2002年1.5%、2003年には本格的に成長軌道に乗るとしている。なお、民間機関23社による見通しは平均1.4%と政府見通しを若干下回っており、2001年10月時点の1.9%から下方修正されている。
成長を支える要因としては、ユーロ12か国のうち最も低いインフレ率の継続、2001年から実施されている大型減税等の景気刺激政策による消費の堅調な推移、世界経済の回復による輸出の回復等が挙げられる。
下方リスクとしては、世界経済の回復が遅れた場合に、生産の鈍化が強まり、設備投資が更に冷え込む可能性や、また、失業者が増加することによって、これまで経済を牽引してきた個人消費に悪影響を与える可能性等が挙げられる。
<財政政策の動向>
政府は、欧州委員会に提出している複数年財政計画に則って財政運営をしている。ここ数年は経済が安定した拡大を続けていたため、税収増により歳入が堅調に増加し、財政赤字は着実に縮小していた。2001年に入ってからは、世界経済減速を受けフランス経済も減速し、歳入が伸び悩んだ。また、9月のアメリカの同時多発テロに際して、10月に景気刺激策として約33億ユーロ規模(GDP比約0.2%)の「成長強化プラン」を策定したこと等を背景に、2001年の一般政府財政赤字はGDP比1.4%に達し、欧州委員会に提出していた目標値(1.0%)を上回った。
これまで政府は、2004年までに財政赤字を解消し均衡財政を目指すとの目標を欧州委員会に提出している。この目標は維持されているものの、2002年以降も減税が引き続き実施されること等から、目標の達成は厳しさを増しているという見方が多い。