第1章 欧米主要国における賃金の伸び悩み
近年、主要先進国においては、物価上昇率が各国・地域の中央銀行が設定する物価目標等を下回る状況が続いている。賃金は、通常、個人所得を通じて消費に影響を与えるほか、生産コストに占める割合が高いことから、物価上昇率に大きな影響を与えると考えられている。世界経済の緩やかな回復が続く一方、主要先進国の賃金上昇率は伸び悩んでおり、そのことが低インフレの要因の一つであると考えられている。
本章では、先進国のうちアメリカ、ユーロ圏、ドイツ、フランス及び英国を取り上げ、失業率及び賃金の動向を確認した上で、賃金伸び悩みの要因と考えられている事項について検証していく。