中国では、景気は内需を中心に拡大しているが、内需の伸びの一服や政府の政策スタンスの変化による影響等から、10年半ば頃から拡大テンポはやや緩やかになっている。先行きについては、輸出は、欧米の景気回復が緩やかなことから力強さに欠ける動きが続く一方、内需は、11年以降、4兆元の対策や消費刺激策の一部終了の影響もあるものの、引き続き堅調な推移が見込まれる。こうしたことから、テンポは緩やかになるものの拡大傾向が続くとみられる(第3-3-1図)。
インドでは、景気は内需を中心に拡大している。先行きについては、引き続き内需が堅調に推移すると見込まれることから、拡大傾向が続くとみられる。
韓国、台湾、ASEAN地域をみると、総じて景気は回復しているが、中国向けを中心とした輸出の鈍化やIT製品を中心とする在庫調整の動き等から、回復テンポはやや緩やかとなっている。これらの地域では、総じて輸出のGDP比が高いことから、景気は世界経済、とりわけ中国経済の動向の影響を受けやすい。先行きについては、世界経済は基調としては緩やかな回復が続くと見込まれること、中国経済はテンポが緩やかになるものの景気拡大が続くと見込まれることなどから、これらの地域もテンポは緩やかになるものの回復傾向が続くと見込まれる。
国際機関の見通しをみると、11年の成長率は、中国では8~9%台へ、韓国・台湾・ASEAN地域については、インドネシアを除き、おおむね4~5%台へと、10年からは鈍化する見込みとなっている。インドネシアについては、内需の力強い拡大により10年と同程度の成長を維持する見込みとなっている。また、インドについては、8%台の成長が見込まれている(第3-3-2表)。こうした見方は、おおむね妥当と考える。