ヨーロッパ経済は、総じて持ち直しているものの、ドイツ等の主要国と南欧諸国等との違い等、国ごとによるばらつきが大きい。先行きについては、基調としては緩やかに持ち直していくと見込まれる。ただし、金融システムに対する懸念が完全に払拭されていないこと、高い失業率が継続することなどにより、景気が低迷するリスクが依然として残っている。また、各国の財政緊縮による影響に留意する必要がある。
以下では、ヨーロッパのマクロ経済動向の先行きを占う上で重要と考えられるいくつかの論点をみた後、財政・金融政策の動向を概観する。また、欧州危機の根本的な要因となったマクロ経済のインバランスや財政規律の緩みと、再発防止のための取組について検討する。